第4話「1位セxクス、2位夜のゲーム、3位チ×ポじゃーん」
5時間目も6時間目もくぐり抜けて迎えた放課後。僕たち三人は残って顔を・机を合わせる。巡条さんがバイトある月・火・金はこうして教室で、バイトない水・木はアパート(家)で。週1で息抜きにどこか遊びに行く――が。12月頭の期末まであと半月、そろそろ控えよう。
「宿題? なんかあったっけー」
「こいついるとこで発表するの……?」
「いいじゃな~い。萌々奈の意見も聞きたいの~」
え~……くそみそに貶すよ・冷やかすよ……。こいつの意見なんか聞きたくないな~……。
「アタシの意見? 言っとくけど相談料高いからー、1時間52万だからー」
「……とんだ・ぶっとんだ悪徳弁護士だな」
「あ~ん……そんな大金、払えないわ~……」
払わなくていいよと一応忠告しつつ、お互い〝宿題〟を出す・渡す。
どちらも適当なプリント裏に手書きしたもので、昨日日曜、帰る間際にこんなやりとりを。
『昨日も今日もありがと~。けれどその~、これじゃデートじゃないわよね~……』
『まあ……今までどおりの勉強会だったね。普通に楽しかったしおいしかったし……いいよ』
『よくないわ~、苦しまぎれに大喜利よ~……。だからね~、やりたいこと、書いてこな~い?』
という〝宿題〟を出し合った。綺麗な・女性な丸っこい字で書かれていたのは――
クマくんとやりたいこと
3位 一緒にお料理
2位 公園でバトミントン
1位 書けませ~ん……
書けませ~ん!? 順にインドア・アウトドア・ッチですね!? というか降順なんですね!?
「まぁ~! うふふふふ」
片手を頬に嬉しそうに言う・笑う。欲望といえば欲望を書いたから、こっぱずかしい……。
蚊帳の外の黒川が巡条さんからプリントを分捕って見た。意地も顔も悪くニヤニヤしだす。
「えー、なになに――レンちゃんとやりたいことー?」
1位キャンプ、2位ゲーム、3位散歩ー? 口にして・馬鹿にして読むな!
「はいウソー。1位セxクス、2位夜のゲーム、3位チ×ポじゃーん。フっ、アハハハハ!」
「だ、ま、れ! か、え、せ!」
プリントを引ったくって巡条さんに再度渡す。3位チ×ポってなんだよ・ふざけんなよ!
……真の1位当てんなよ!
「意外って言うとあれかしら~、クマくんって実はお外で遊びたいタイプ~?」
「え? いや……」
インドアもインドアです。白状するとキャンプ・散歩は腕組んでめちゃくちゃ考えて出した。初めて付き合うし8歳も上のお姉さんだし……果たしてなにをしたらいいのかわからなくて。唯一ゲームはぱっと出た。好きな女の子と対戦・協力する――憧れだった。じゃあ1位だろ? いいえ、1位は書けません・できません。なお、キャンプの夜に期待も打算もございません。
僕がちょっとぼーっとした隙に、アハハハ笑う萌が『クマくんとやりたいこと』を分捕った。
「へー、あーそー。やっぱカレンも1位セxクスじゃーん」
「そ、そんなこと書いてませ~ん!」
……暗に・顔に書いてます。もっと言うと「後ろから優しく……ね?」とまで読み取れます。
「料理はアンタするしわかるけどさー、公園でバトミントンってなに?」
「なにって……ん~……憧れ~? 男の子とお付き合いできたら~、一番やりたいな~って」
「じゃあ1位じゃん」
「ち、違うの、1位は書けないの~!」
目をぎゅっと閉じて髪を・頭をぶんぶん横に振る。……僕のゲームと同じだ(実質1位だ)。
黒川がプリントを投げ返してきた。ニヤニヤからすっと真顔に戻って机をパーでバンっ!
「中学生か! いや、中学生でもこんなのやんないわ!」
実際アタシこんなのやってないわ! 中2でヤることヤったわ! そ、そうなのか……。
「ねー、昨日・おとといってなんもなかったわけー? せっかくふたりにしてあげたのにさー」
本来こいつも土日に巡条さんの家に来る。けど付き合ったんだからと気をつかってくれた。
「……なにもなかったわ~」
「……勉強して終わったよ」
ため息つかれた・肘つかれた。拳でへこむ頬が相まって、すごいアンニュイ・アングリー。
「ヤれ」
人を殺せみたいに言ってきた……。付き合ってまだ四日だぞ。なにより歳の・法の壁が――
「歳とか法とかいいからいっぺんヤれ」
「ダ~メ~! 仮にクマくんが……その~……よくても……ご両親にと~っても悪いわ~!」
「……なんでそんなヤれヤれ言うんだよ」
おまえはヤりすぎて飽きられるんだ・捨てられるんだ。前田にも歴代の彼氏(三人)にも。こいつはよく愚痴で過去の恋を・男を語る。それを聞くに自分を安売りしすぎでフられるんだ。
「逆に聞くけどヤんないとさー、付き合った意味も実感もないと思うけどー?」
◎
復讐する復讐する復讐する復讐する復讐する。赦さない赦さない赦さない赦さない赦さない。




