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24JK  作者: 百雲美呪丸◎
六章
66/214

第3話「私の余命……あと……2、3か月なのね……」

転校してきてひと目見て付き合いたいって惚れたけど……まさかそんな、こんな僕なんかと。いざ付き合ったらどうしたらいいかわからなくて、やっぱり〝花恋〟なんて呼べなくて……。だけどそれは巡条さんも同じだった。なので呼びかたは今までどおりレンちゃん・クマくん。ここぞってときに呼び捨てにすることに決めた。……ここぞっていったいいつぞ・どこぞ?

 昨日・おとといって土日、ふたりで過ごしたものの――恋人同士でまるで過ごせなかった。


『お、親指だけどうして太いのかしら~?』


 どんな話題ですか・ひきだしですか!? 考えたことありません!


『か、かいわれ大根と雇われ店長って似てな~い?』


 どんな話題ですか・ひきだしですか!? 『われ』だけですよ!


『コ、コロナ禍でやることか~! どんなこと~?』


 え? ……え? 大喜利ですか!? コロナ禍でやることか、どんなこと――か。…………。


『輪になって踊る』


 密も密。


『ふふっ、やることか~』


 ややウケ。よし、次はぶっ飛んだの考えてみよう。ありえないこと・考えられないこと……。


『飛沫テスト』


 後藤じゃないけどシュール系かつ上手いこと言った系。お題を超えて期末テストとかけて。


『ふふっ、ふふふっ、みんなでくしゃみでもするのかしら~。ふふふふっ、うふふふふふ!』


 バカウケ! ただまあ巡条さんは笑いのツボが浅いから、客観的におもしろいか不明です。

 せっかくだから回答してもらう。


『コロナ禍でやることか! どんなこと?』

『あんなことこんなこと~』

『……ふっ』


 なんというか……らしいね。割と即答で瞬発力はあったね(発想力はなかったね)。


『あ~、鼻で笑った~! 次はおなかで笑わせちゃうわ~』


 かわいく・か細くん~ん~うなっておっとり考える。やがて指を立てて意気揚々と答えた。


『おうちのリフォーム~!』


 うん。……うん? ピンとこない……お題関係あるかな?


『工事で~、ご近所さんに騒音被害~! ステイホームなのにやることか~! でしょ~?』


 説明したら負けだよ・終わりだよ……。それはむしろ笑えない現実問題じゃないかな……。


        ◎


「はぁ……はぁ……ふたりとも……速いわ・若いわ……」

「アハハ、死にそうじゃーん。おばさんにしても体力なさすぎ思うわー」

「おばさん言うな・死にそう言うな。――大丈夫?」

「ええ……なんとか……。久しぶりに……こんなに……走ったわ……」


 もうすぐチャイムが鳴る・5時間目になる。鬼ごっこはおしまい。なんだかんだ楽しかった。ドレス姫走りの巡条さんを易々鬼にして、萌にも僕にも追いつけなくてかわいそうになって。だから黒川がわざとバトンタッチ。鬼になって僕を鬼にして、でも僕は奴を鬼にできなくて。仕方なく巡条さんを鬼にして、萌にも僕にも追いつけなくて以下ループ。……じゃんけんかな。


「2、30分走っただけでそんな息あがってたらマラソン死ぬわ」

「マラソンって……いつ……?」

「1月・2月ー? まー3学期」


 真冬に8キロとか走らされる苦行・修行……。一番嫌いな強制イベント、カミングスーン。


「私の余命……あと……2、3か月なのね……」


 死なないでください……。

 疲れたけど体は温まった。校舎に戻る。下駄箱で履き替えて階段を上がろうとしたら――


「しおりん!」


 たぶん3年の男子に呼び止められた。階段の右手(ここ1階)は3年生のエリアだから。


「マジか!」「うわー!」「美しー!」


 第一発見者が近場の仲間らを呼んであっという間に集まった。学年が上で普通に怖い……。


「握手してください!」「握手してください!」「握手してください!」「握手してください!」


 横に並んで一斉に声を出す・手を伸ばす。90度頭を下げて求婚でもするかのよう。…………。


「ふふっ、は~い」


 ひとりずつ両手でやわらか~く包み込む。……嫉妬する。まだ僕と手もつないでないのに。

 巡条さんは天森栞として学園のアイドルになった。朝から毎休み時間、誰かしら会いに来る。ほとんど男子で「グラビア見た」と言いにくる。……言外に「ヌいた」と聞こえてやるせない。まあでも人気があって結構で、当のしおりんが嬉しそうで。しばらくにわかファン絶えなそう。


「ちゃんと写真集・DVD買うから! そしたら持ってくからサインしてください!」

「本当~? うふふ、ありがと~。いくらでもするわ~」


 手を振ってニコニコお別れ、階段のぼる。ちなみに僕はネットでグラビアもなにも見てない。見たいは見たいしもう嫌がらないと思うけど、僕が好きなのは天森栞じゃなくて巡条花恋だ。見るというなら今の彼女こそを見ないといけない。しっかり見て恋人として仲よくなるんだ。


        ◎


「クマくんクマくん、〝宿題〟やってきた~?」

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