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24JK  作者: 百雲美呪丸◎
六章
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第2話「童貞じゃなくてもびっくりするわ・もっこりするわ!」

 右京が僕たちの机にぶつかった。教室の外に逃げた左近を追って行ってしま――えない。


「おい。拾えよ・謝れよ」


 黒川がキレて立ちあがって腕をつかんだから……!


「あ、ああ……悪かったよモモナ」


 猫の前の鼠・鷹の前の雀。衝撃で落ちたシャーペン・消しゴムを拾って猫川鷹奈に渡す。

 教室を出て行くその背は意気も勢いもなくして見えた。


「…………」


 怖ぇ・強ぇ……。グループとしての1軍は抜けたけど、ランクとしては依然1軍か……。


「ショウケンうざいわー、外でやれっての」


 ムカっと・ドカっと座る。ショウケンとは左近翔・右京健で、それぞれ野球部・サッカー部。女子でいう黄島・緑原に相当し、男子の2軍+のダブルボス。丸坊主を指して『ハゲ』と思う。


「だからってあんなに威圧しないの~。私は元気でいいと思うわ~」


 私たちも鬼ごっこしてみる~? ……レンちゃん遅そう・萌速そう。


「お、いいじゃん、やろやろー! 佐ぁ鬼ねー」

「は? 勝手に決めんな、やるわけないだろ」

「ク~マ~くぅん……」


 悲しそうに見てくる・言ってくる。え、あの、普通に冗談かと……本当にやるんですか?


「クーマーくぅん……」


 笑いそうに見てくる・ほざいてくる。モノマネするな、ナポリタン・カタパルト発射するぞ。


「わかったよ……鬼でいいよ」


 はた迷惑だから寒いけど外でやろう。グランドな、30秒経ったら追いかけるからな。


「イェーイ、カレン行こー!」

「うふふ、10代に戻ったみた~い」


 黒ギャルと白聖女がかしましく出て行く。昨日の敵は今日の友・明日の親友、今じゃ仲よし。

 夏休み明けの2学期・8月末、僕はこの高校に転校してきた。けど9月半ばまでぼっち。で、同じくぼっちだった巡条花恋さんとふたりぼっちに。巡条さんはなんと24歳・元アイドル。優しい・美しい・かわいらしいお姉さんで、垂れ目に垂れ眉、口ぼくろが特徴的で印象的だ。髪はシュシュでまとめて左肩に流し、香水ほかいつもいい匂い。166センチ・Fカップ。

 そんな大人な・善良な女性を〝おばさん〟と嗤っていたのが黒川萌々奈ら3ギャルだった。僕は無視も我慢もできず事を構えてしまい、そうして結果として嫌がらせを招いてしまい……。ところが幸い奴らの内輪で事変(前赤不倫発覚)が起き、ソロ川へと堕してはたと終わった。激しい・図々しい・憎たらしい女で、茶金髪につけまつげ、尖ったネイルが特徴的で攻撃的だ。スカートは短く・肌は黒く、品も遠慮も羞恥心もあまりにない。160センチ・Gカップ。


「…………」


 ありありと・しみじみと振り返ってる場合じゃない。30秒なんてとっくに経った、急ごう。

 ひとつよくよく思うのは――もし萌が今も前田と変わりなかったら……どうなっていたか。当然1軍から抜けてなくて、嫌がらせはれっきとしたいじめにまで発展していたかもしれない。僕も奴も今の友好は想像できなかった。でも巡条さんはあさっての大親友って信じてたと思う。そういう人だからいまだに黒川が敵対してても――最終的に勝ったと・仲よくなったと思うな。


「遅いわ佐ぁコラぁ~~~~! 30じゃなくて300待ったわけ~~~~!?」


 グランドに出ると萌がうるさい。さすがに5分も経ってない。


「ク~~マ~~く~~ん! ここまでお~~いで~~~~!」


 萌え袖でかわいく・大きく両腕を振ってる。吐く息も肌も白く、脚もスカートも長い。


「行くよ~~~~・行くぞ~~~~!」


 グランドの彼方のふたりに向かって走りだす。11月も中旬、寒くて貸し切り・三人きり。


「アハハ、来た来たー!」


 レンちゃんと別れて僕から見て右に駆けだした(意外と普通に女の子走り)。一方、左方――


「あ~ん、走りにく~い……」


 すねにも達すスカートが膝でつっかえるのか、ちょこんと持ち上げドレスのお姫さま走り。

 僕は迷わず萌に・右に直進していく。グランドの端まで逃げた奴を追い、数メートルに迫る。


「ほらほら、来なよー?」

「…………」


 お互い止まって機を窺う。こっちが負ける(逃げられる)かあっちが撒ける(逃げれる)か。緊張感をもってじりじりとにじり寄る――と。このアマ、とんでもないことしやがった――


「っ……!?」


 太ももの六割も出てる短いスカートを――前から・手ずからめくった! 赤だ・馬鹿だ!

 とっさに目も棒もそらすというもの。痴女川はその隙に横をすり抜けて逃げてった・嘲った。


「はいドーテー! フルボッキー! アハハハハ!」

「う、うるさい! おまえなに考えてんだよ!」


 ほんとに恥部は素顔なんだな!? 童貞じゃなくてもびっくりするわ・もっこりするわ!

 鎮められないまでも突っ張らないよう位置を正す。忘れられないまでも平常心を取り戻す。


「クマく~~~~ん! どうしたの~~~~?」

「ど、どうもしないよ~~~~!」


 よかった……聞くってことは見られてない。彼氏としては今のは情けない・申し訳ない……。


        ◎


 三日前の先週金曜(11月11日)、文化祭。僕と巡条さんは晴れて・照れて彼氏彼女になった。

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