第1話「復讐するから」
わたしのクラスは11グループに分かれている。そのうち5つが動物で先週の文化祭で踊った。もう5つは植物で不参加で、残りひとつが謎。男子ひとりに女子ふたりという歪さ・珍しさ。転校生の男の子・留年生(?)の女の人・劣等生のギャルの子からなり、クラスをけん引した。
「ナポリタン・カタパルト~!」
「用途不明の射出機だね……レオンだよ・ボナだよ」
毎休み時間ふたりに勉強を教えているけど、頭も成績も良さそうには見えない・思えない。夏休み明けの8月末に転校してきて、ひと月くらい孤立していたというのに、今や両手に花。
「ナポリタンかー、久々食べたー」
「食べたとこだろ、ナポリタン・カタパルト顔面食らわすぞ」
逆に顔面に平手を食らわされた。女の人が男の子の鼻をなでる・ギャルの子をたしなめる。
「も~ぅ、鼻血が出たらどうするの~! ――だいじょうぶ~……?」
「う、うん。でもなんでかな、もしかしたら鼻血出そう……」
「スケベか!」
小気味よく・勢いよく頭をはたいた。傍目にも横暴で頭も育ちも悪くて端的に言って軽蔑。
文化祭で男子が女子の制服を着るからと、同意もなしにわたしたち植物から徴収した。軽蔑。
「萌~々~奈~! 叩かないで~!」
女の人は憎くもうっとうしくもないけどなんとなく嫌い。男の子は別になんとも思わない。
「…………」「…………」
わたしたちは各々無言で・無心で本を読む。昼休みは・連中はどうしてこう騒がしいのか。
なかんずく忌避してやまないのが運動部の輩。高校生にもなって教室を駆けたり程度が低い。近頃は左近・右京たちが目に余る。鬼ごっこかなにかで犬のように・車のように走りまわる。
わたしは他人も学校も好きじゃない。矮小な空間に雑多な人間を放り込んで一年過ごせ、だ。いったいいつの時代のシステムだ。そうだ、戦前だ。大日本帝国民を育てんがための制度だ。昭和から令和になってなお、竹槍を・生徒をしごいていた80年も90年も昔と変わらない。
ゆえにこういうことが起きる――
「っと、へへっ、来いよ!」
左近がわたしにぶつかったうえに落とした本を踏んづけた。拾わず・謝らず行ってしまう。
「大丈夫……?」
「大丈夫」
復讐するから。
◎
「待てよハゲ!」




