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24JK  作者: 百雲美呪丸◎
五章
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第11話「24歳の……女子高生でよければ……お付き合いしてください……!」

『果汁じゃなくって清純100%~、甘々~、天森栞で~す!』

『今日もぽたぽた しおりん雨漏り~ん おうちなのに 水たまりが できちゃうの~』

『ぽとぽと ぴちゃぴちゃ とぽんとぽ~ん 私の心は穴だらけ~ 君の想いがしたたるの~』

『み~~んな~~~~! ありがと~~~~! しおりん、お空のお花畑帰るね~~~~!』


「……見返してもすごいわ」

「……見返してもすごいな」


 本人は嫌がる・恥ずかしがるだろうけど、スマホで撮った雨漏りしおりん、黒川と観てみた。引退したのに全力でやりきって・なりきって。……なりきってっていうのはあれか・違うか。水色と桃色のラブリーな衣装はなんと本物。実家に封印してあったのわざわざ今日のために。かわいさ・まぶしさ全開で、歳もブランクも微塵も感じなかった。形容するにマシュマロの精。

 愛過知を披露したあとは、しおりんが制服から着替えるまで萌がMCでつないであおった。……おまえも普通にすごいよな。で、天森栞が再登場するや混沌、僕らもガードマンの増援に。押し合いへし合い死ぬかと・地獄かと……。でも実質3年よりも前で見れて役得でよかった。

 1年だからしょっぱなだったけど、そのあとの2年・3年のバンドとかがかすむくらいで。結果、最優秀賞を獲ってしまった。巡条さんは喜びより怖~い先輩にシメられないか不安とか。先輩っていっても年下だから怖くないような……。そう言ってもおどおど・おろおろしてた。


「お空のお花畑ってなに?」

「……そういうこと言うな」

「これさー、ニューチューブあげてみるー?」

「……そういうことするな」


 誰か馬鹿がアップすると思うけど。ただ、アップしたところで言いたくないけどバズらない。これが往年の有名アイドルなら、貴重な・特別な今として再生数も伸びればニュースにもなる。残念ながら天森栞は売れてない・知られてない。ただの24JK(女子高生・巡条花恋)だ。

 無名でむしろ嬉しい・誇らしい。どんな著名な・綺麗な芸能人より、巡条さんが輝かしい。


「カレン遅くなーい? コクられてなーい?」


 アタシですら3人来たしさー? ……やるな・モテるな。


「そのうちひとりはオッケーしたのか?」

「してなーい。好きなオトコいるからー」

「そうか」


 なんかじーっと・にーっと見てくる。……なんなんだ。


「ソイツゼッタイ、アタシみたいなのタイプじゃないしー? コクんないで様子見しとくわー」


 ……なら僕じゃなくてそいつを眺めにでも行けよ。なのにずっと熱っぽく(?)見てきた。

 まだまだ和解までいかないけど、今回の団結で黒川と四色前後がまた口きくようにはなった。巡条さんはすっかり〝しおりん〟で定着、赤青黄緑ももう〝おばさん〟とか侮蔑して呼ばない。僕は普通に両手に花(片方トゲだらけの派手なバラだけど)。女友達ってできるんだなって……。

 転校してきてよかった――巡条さんに会えてよかった。当初は萌と敵対した、いじめてきた。こて~んってもたれてきたの、かわいかった。ファミレス・ボウリングはデート気分だった。テスト勉強で巡条さんの家行くようになった。得意料理っていうオムライス、おいしかった。黒川もついてきてラーメン食べて映画観て、お疲れさま会楽しかった。〝クマくん〟になった。コバさんと遭遇して寿司食べた。巡条さんが幼児に・キス魔になって……お尻触ってしまった。黒川いじめ、駆けつけた・ケリつけた。萌が泣いて心開いて〝花〟から〝カレン〟になった。不登校の巡条さん連れ出した。けど色々言われて逃げだした。萌曰くバッタみたく抱きしめた。巡条さんが文化祭で高校デビュー決意した。劇やめて歌を・踊りを提案した。黒川が仕切った。柄じゃないのにアイドルのダンスの練習なんかした。恥ずかしいのに人前で女装して踊った。

 ひと月ちょっとのことだけど、振り返ったらキリがない。昨日もおとといも巡条さんがいる。だから明日もあさっても……いてくれたら。今までよりも少し距離を縮めて――恋人として。


「クマく~ん? どこかしら~・いるかしら~?」

「お、来た来た。じゃーアタシ退散するわー。見るのはやめといてあげるけど聞いてるからー」


 茂みをがさがさ出てった。なんでそう僕らをくっつけたいのかわからない。……いい奴め。

 体育館のほうは活気も熱気もまだあるけど、ここ(例の校舎裏の申し訳程度の緑)は静か。

 別に隠れてたわけじゃないけど木陰にいて、巡条さんから死角になってた。


「レンちゃん、ここここ」


 とことこ・ニコニコ来てくれる。当然制服に着替えてる。油断すると生脚に目を奪われる。


「萌々奈も一緒だったの~? 今出ていったけれど~。……なにをしていたの~?」


 怪しむというより妬むようにほっぺたぷっぷくぷ~。……そういうの素でしおりんですね。


「しゃべってただけだよ。それより遅かったね? あ、いや、責めてないよ、なんでかなって」

「その~……いっぱい告白されちゃって~……」


 指折って数えだしたけど10超えて止まった。両手で収まりきらないってことですか……?


「でも……私が好きなのは――たっ……拓真、だから……! お断りしてきたわ~……」


 両手をお股に上目遣いで赤らむ・はにかむ。拓――真……? 距離がぐっと……!


「そ……そう――なんだ……。僕も……えっと……好きなのは……。好き――なの、は……」


 すっと言えない、かっこ悪い! 巡条さんからレンちゃんに、レンちゃんから――……に!


「かっ……か……花恋、だから……! 年下で頼りないと思うけど! 付き合ってください!」

「っ……はいっ……! 24歳の……女子高生でよければ……お付き合いしてください……!」

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