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24JK  作者: 百雲美呪丸◎
五章
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第6話「あの~……お歌を~・踊りを~……披露しませんか~……?」

 結局丸々もサボらず1時間目の途中で戻って迎えた休み時間、さすがに後藤が謝りにきた。それでもあいつら1軍はじめ毎休み時間質問攻め、昼休みにはよそのクラスのチャラいのも。勉強の邪魔で・迷惑で仕方なかったけど、むずがゆそうにしながらも巡条さんは真摯に答えた。一番聞かれてたのは今をときめくりかちゅぴについて。連絡先は知らないと・ごめんなさいと。黒川は牙を剥かないまでも終始威嚇してた。僕は毒を吐かないまでも終始嫌な顔してた、かな。

 眠たい・帰りたい5時間目、総合の時間。


「どうすんだおい、おまえら意見出せ」

「あと4日ってみんなわかってるぅ?」


 前田・赤崎が黒板前で仕切ってる。今週末の文化祭、どうするか。

 残すところ4日だけど劇としか決まってない。担任は生徒の自主性うんぬんでノータッチ。みんなやる気なくてしらけてる。まあ1年って別にこんなもん。3年の熱量とは月とすっぽん。こんなざまだから萌がレンちゃんに歌うの提案したし、僕もいいなって・観たいなって思う。


「オレがロミオ・マナがジュリエットな。誰だか知らねーけどよー」

「だからまずそのストーリー書いてよぉ。どんなか知らないけどぉ」


 ……知りもしないでシェイクスピア。

 斜め右にふたつ前の黒川がイライラして立った。


「アンタらが主役張る劇なんかだーれもやりたくないわ。意見出ないのそういうことだから」


 振り返ってこっち来る。斜め右にひとつ前の巡条さんと僕の腕つかんで引っ立てる。


「な、なんだよ」「も、萌々奈?」


 黒板前まで連れてかれた。前赤に交代と言い放つ。


「アタシら仕切るから・決めるから」

「出しゃばんな。なんもねーだろ」

「あるし。――ねー?」

「え? え~……」

「いや、え~って。高校デビューするってカレンが言ったんじゃん。なんで黙って座ってんの」

「だって~……思ったけれどみんなは嫌かな~って~……。――クマく~ん……」


 助けを求めるようにうるうる・ぷるぷる見てくる。悪いけど船は出してあげない。


「まあ一回言ってみようよ。朝の決意を思い出して」


 朝の半サボりのときに話してた。私は劇よりこうしたいって5時間目に発表してみるって。巡条さんの言う高校デビューは過去を・自己をさらけだし、ここで再びアイドルになること。それでいうと文化祭はまたとない・このうえない機会。そのうえ天森栞フィーバーときてる。

 昼休みの時点で『思ったけれど』になってたのか、聞いても濁すようで煮え切らなかった。黒川のイライラはむしろ、動かない巡条さんに対して。それで強引に僕まで一緒に引っぱって。


「そ、そうね、わかったわ~。――あの~……お歌を~・踊りを~……披露しませんか~……?」


 教室しーん・無関しーん……。現実は非情・級友は薄情だった。


「あ~ん、ごめんなさ~い・忘れてくださ~い……!」


 いたたまれなくなって席に戻ろうとする。萌が襟つかんでグって止めた。


「説明しないで逃げんな・あきらめんな! 朝思いついたの、ゲロ吐いてでもぶちまけろ!」


 どんなたとえだよ・意気込みだよ、汚いな――って、それ以上引っぱるな、首絞めるな!

 危うく絞殺で巡条さんはけっほけほ。前赤はしおりんが発表するならとひとまず退散した。


「え~、このところ~、お騒がせしているとおり~……私は芸能活動をしていました~……」


 教壇に立って記者会見みたいに話しだす。僕と黒川は横で、教壇の下で見守って関係者感。


「ご存じないかと思いますが~……未∞知∞数というアイドルグループのメンバーでした~」


 動画観てると1軍連中が声をあげる。言わないだけで男子は全員なにかしら見てると思う。


「そういやなんで解散した系? ヴィキにもどこにもはっきり書いてない系」

「重大な契約違反があったからで~す……」


 ……どういうことですか? みんなを代表するがごとく青山が聞くもノーコメント。


「それはさておきまして~……。お稽古の甲斐でしょうか、今でも歌って踊れまして~……」

「すごっ! ちょこっとやってー、見たーい・聞きたーい!」

「……萌」


 関係者が野次飛ばすな・戯言ぬかすな……こんな狭いとこで元プロに雑に頼むな。


「当然指導もお手本もできます――ので……その~……未∞知∞数のお歌を・踊りを~……」


 披露しませんかと最初に立ち返った。反応は待たず続ける。


「細かく部分的にパートを担当しまして~……クラスの皆さまで一丸と~、一曲をと~……。あっ、もちろん目立ちたくない方は無理にとは言いません……気兼ねな~くご辞退ください。知らないアイドルの曲なんて~、という方も……不参加お待ちしておりま~す。最後に――」


 残り4日でも十分間に合うかと存じます。そう締めくくって深々と一礼して教壇を降りた。

 すかさず黒川が入れ替わって両手で教卓バンっ!


「どう!? 劇なんか間に合うわけないしほかになんかある!?」


 代案も反対も誰からもなかった。前田・赤崎も普通に大賛成、ただひとつ要望が。


「しおりんのソロ観たぁい!」

「潮干狩りしおりん、全力でやってくれ!」


 ……雨漏りだろ。


「え~~~~!? 私のソロはちょっと~……。――クマく~ん……」


 また助け船を求めて見つめてくる。悪いけど僕も観たいから、やっぱり出してあげなかった。


        ◎


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