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24JK  作者: 百雲美呪丸◎
五章
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第3話「私行く~~、もう行く~~、あ~ん行く~~!」(前話と地続きです)

「……洗ってないわ・見せられないわ。ごめんなさい、帰って」


 気配が・足音が遠ざかってしまう。ドアも心も堅く閉ざされてる……まだ癒えてないんだ。


「ねー! 大して売れてない芸能人って割にさー、ヴィキの内容ジュージツしてなかったー!?」


 ドア前まで呼び戻すように大声で聞く。充実してたな、何月何日って日付まで細かかったな。


「そ、そうなの~? 見たことないから知らないの~」


 きっと数少ない熱心なファンの方が書いてくれたんだわ~。足止めて振り返った気がする。


「エゴサとかぜんぜんしない感じー? 〝天森栞 かわいい〟とかでさー」

「しないわよ~。……しないでね~?」


 黒川はスマホを取り出し〝天森栞〟と入力し、サジェストをすらすら・へらへら読みあげる!


「〝天森栞 現在〟〝天森栞 彼氏〟〝天森栞 本名〟〝天森栞 性格〟〝天森栞 カップ〟〝天森栞 かわいい〟〝天森栞 引退理由〟だってさー。かわいいあってよかったじゃーん」


 まー性格って入ってるってことはさー、アンタ性格クっソ悪いと思われてんじゃなーい? 現在・彼氏・本名はー、〝天森栞 JK〟〝天森栞 処女〟〝天森栞 巡条花恋〟っとー。


「もっ――萌……!」


 無神経すぎるだろ・無分別すぎるだろ! アンド検索で世界中に解答するな・公表するな!


「レンちゃん、今のはこいつがテキトー言ったんだ。なんにも気にしないで・苦にしないで」

「ふふっ……ふふふっ……」


 笑ってる……? それにまたドア前まで近づいてる……?


「も~ぅ、バラさないで~。舞歌にも昔、同じことされたわ~。ふふっ、ふふふふっ」


 私って性格悪そう~? 悪そうってかオンナに嫌われるタイプ、アタシも嫌いだったしー。

 そのままちょっと会話が弾んだ。……男の僕にはできない・わからない。黒川にかなわない。

 冷えきった心を揉みほぐして温かく・やわらかくして、再び優しげに説得しだす。


「べつにガッコのオトコどもじゃなくてもさ、アンタのカップだヒップだ調べるヤツいんの。気にするだけバカだから・ソンだから。好きなだけシコシコしてね~ってニコニコしてなって」


 おまえなんて励ましだよ……台無しだよ。相も変わらず品もデリカシーもないよなぁ……。

 背中を押すみたいに叩かれた。次はアンタがなんか言えってドアに向かって顎をしゃくる。


「…………。レ、レンちゃん。僕はこいつと逆で無理して出てくることは――ないと思うんだ。もう一週間くらい休んでたっていいよ。勉強は僕が教えに来るから。うっとうしくなかったら」


 萌がドアをグーの正面で殴った。甘やかすなって横目でにらんでくる・右足で踏んでくる。


「佐ぁはこう言ってるけどさー、とっとと来ないとホントに来れなくなると思うんだけどー」

「にらむのはともかく踏むな、痛いな! ――萌はこう言うけど今フィーバーで危ないよ?」

「もう一週間経ったら収まるとか思ってんの? もっと広まってもっと騒がれてるっての!」


 ネガティブ黙れ・シネって口塞がれた! 鋭い爪立てるな、いてっ、いててっ!


「なんか言ってくるヤツいたらアタシぶっ飛ばすしさ、佐ぁもアンタんためならキレるしさ。だいじょーぶだいじょーぶ、しっかり守るから。明日――は土曜か、来週からガッコ来なよ?」


 さっきからうんともすんとも言わない。耳をすませばぐすんぐすん聞こえる。泣いてる……?

 黒川と顔を見合わせたら、ドアが勢いよく開いた。


「ふたりとも~~……!」


 両腕広げて僕らを抱き寄せてうつむいてしくしく……。案の定パジャマだ・いい匂いだ。


「ぐすっ……ぶっ飛ばしちゃダメ……キレちゃダメ……。けれどっ――ありがと~~……!」


 私行く~~、もう行く~~、あ~ん行く~~! ……変な聞こえかたしかしませ~~ん!

 支度も含めて17時からのバイトまで時間ないけど、一週間ぶりに部屋にあげてもらった。


「散らかっていてごめんなさ~い……部屋も私も~……」


 というのも髪ぼさぼさですっぴん。でも誰かと違って化粧も性格もひかえめだから落差ない。


「部屋アレだけどノーメイクでも変わんないじゃーん」

「そうだな、いつか見たおまえの素顔とは大違いだな」


 一瞬で沸騰して神速でバシバシっ! するとかわいらしくも~ぅってヨシヨシヨシヨシ!

 これこれ~! この一週間、ひたすらバシバシでつらかった……!


「キっモ、にやけんなカレコン」

「は? カレコン?」

「マザコンのカレン版じゃんバーカ」

「そ、そんなんじゃないわバーカ! 」


 仲よしね~とやっぱり誤解しつつ、巡条さんは部屋をちゃっと片づけてお茶いれてくれた。

 バー川は一気に飲み、思いだす・話しだす。


「そーそー、来週文化祭。なーんかダセイで劇やる感じ。それよりアタシ思ったんだけど――」


 カレンがさー、雨漏りしおりん歌うのってどうー? ……おまえな。……いいな・観たいな。


「アンタのこと学校中に広まりそうな勢いだしー? やったらクっソ盛りあがると思うわー」

「冗談でもやめて~。誰だ・なんだ、おばさんが歌って踊るなって石をぶつけられるわ~……」


 いつの時代の民ですか……。


「おばさんじゃないって。それに20代のアイドルなんてごまんといるよ」

「ご、5万人もいないわよ~」


 具体的な数を言ったんじゃないよ……。



 文化祭でいわば――再デビュー? 悪くないと思う。ただまあそりゃあ恥ずかしいと思う。


        ◎


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