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24JK  作者: 百雲美呪丸◎
五章
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第2話「レ、レンちゃん……元気?」

「ん~……?」


 気持ちよく――はないわね~……気落ちして――寝てたのに~、起こされちゃった~……。

 あ~ん……ルインだわ~・萌々奈だわ~。


    今から行くから

    佐も

    首じゃなくて

    顔洗って待ってろ


「……ふふっ」


 ちょっとおもしろ~い。きっと顔も洗わずに~、ず~っと寝てるってお見通しなのね~……。

 嬉しいけれど心苦しいんだけれど~――


    ごめんなさい

    来ないで


 ベッドにぼふんっ、おふとんがばっ。お友だちのふたりに合わせる顔が一番ないの~……。

 アイドルやモデル、グラドルだったことに悔いはないわ~。好きで本気でやりきったもの~。でもその~、昔は昔・今は今というか~……天森栞は天森栞であって私じゃなくって~……。

彼女のことは心の奥に閉まったの~。それをつかんで取り出されるのはたまらないわ~……。


「…………」


 立て続けにまたスマホがピンポンピンポーン。ごめんなさ~い、もう見な~い・返さな~い。

 うだつもお給料もあがらない芸能活動をあきらめて~、覚悟の・再出発の高校生だったの~。16歳の1学期末から行かなくなっちゃって~、休学ということにして籍だけは残していて~。当時は忙しくって浮かれていて~、お勉強も苦手だから学校なんて嫌~・いいや~って~……。生意気な・浅はかなあの頃の私に教えたいわ~、結局お母さんが厳しくも正しかったの~!


「…………」


 おふとんに潜って30分くらい経ったかしら~、萌々奈のことだからそろそろ来そう~……。クマく~ん、止めて~・なだめて~……。どうか一緒に来ないで~・ふたりで遊んで~……。

 そんなことを思っちゃった直後~――おうちのピンポン7連打~・ドアがちゃがちゃ~!


「カレーン! ねー、カレーン! カ~~レ~~ン~~!」


        ◎


「やめろよ、うるさいな・乱暴だな! 巡条さんにもお隣さんにも迷惑だろ!」

「近所メーワクだけどカレンにはこのくらいさぁ! ――おーい! 開けろ・入れろコラー!」


 ドアをばんばんグーの横で叩く叩く……おまえは借金取りかコラ。


「アンタ今日バイトじゃーん!? ちゃんと行ってるー!? ごはんもちゃんと食べてんのー!?」


 ……今度はオカンか? まあ普通に心配ではある――って、両手で交互に連打しだすな!

 やかましい・厚かましいオカン黒川に観念したのか、意外に大きい声が返ってきた。


「食べてるわ~・行ってるわ~! そんなに叩かないで~!」


 どたどた足音がしてドアの前まで来たのがわかる。そして開け――ない。


「ねー開けてってー。――てか佐、黙ってないで呼びかけろよ」

「おまえがうるさいからだよ。――レ、レンちゃん……元気?」

「なわけないじゃん!」


 バシっ! 確かにそうだないってーな……!

 天然ボケかまして強烈ッコミかまされたものの、ヨシヨシしに出てきたりはしてくれない。


「も~ぅ、クマくんも叩かないで~」


 ドア越しに注意はしてくれた。このまま会話はしてくれそう。


「えっと……芸能人――だったんだね」

「……一応、ね~。あの~……見た~……?」


 なにをかは言われなくてもわかりきってる。仮に〝私のあれこれ〟とでも補完しておこう。


「ごめん……ヴィキペディアはざっと見た。けどそれ以外は一切見てないよ・調べてないよ」

「悪く思わないで、アタシは色々見たー。ポップトゥーンモデルだったとかソンケーするわー」


 若いアンタ、かわいすぎてムカついたわー。……今も若いだろ・かわいいだろ、ムカつくな。


「そ、そう~。クマくんも色々見ていいのよ~? そういうお仕事だったんだもの~……」


 そうは言うけど尻下がり、見てほしくないんだ。尻といえば『しおりのおしり』観たいんだ。

 たぶんだけど同性はまだしも大丈夫で、異性にグラビア見られるのが一番嫌なんだと思う。

『そういうお仕事』だったとしても、引退した今になって身近な男に見られたら覗きに等しい。クラスの男子に体がさらされてる――おそらくそれが最たる恐怖で登校できなくなったんだ。

 その辺を踏まえて・わきまえて萌がさっぱり言う。


「男子の目とか気にすることないって。大体オトコって毎日ヌいてんの、色んなオンナでさ。まー佐はゼッタイ、カレンばっかで――」

「あ~~! あ~~!」


 マイクないけどマイクテストマイクテスト!


「うるさいなー、巡条さんにもお隣さんにもメーワクだろー?」


 ぜんぜん似てない僕の真似でさっきのそのままほざく。こぉ、のぉ、萌ぉ……!

 けらけら笑って小馬鹿にしてまじめな顔に戻った。ドアに優しげに向きなおる・語りかける。


「ガッコ来なって。まーとりあえず洗った顔見せてよー」

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