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24JK  作者: 百雲美呪丸◎
四章
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第16話「明日も友――いいえ~、明日は親友よ~。そしてあさっては大親友~」

 苛烈な・卑劣な黒川いじめがはじまった。僕らにも公にも見える形ではこの一週間で三件。先週木曜の相合傘がひとつ。これはまだ序の口だ・イタズラだ。萌がブチギレたのはよくない。四色がつけあがるだけ・おもしろがるだけ。怒りに燃えれば燃えるほど、奴らに悪意が灯る。


 今週月曜の机の落書きがふたつ。僕が予鈴前に登校してきたときには喧嘩沙汰になってた。おろおろ・うろうろしてた巡条さんに聞いたところ、まず黒VS赤青黄緑の1対4が勃発。次いで止めに入った前田との第二ラウンド。僕が見たのはこの元カレ・元カノマッチだった。机という机も人という人も教室の両脇に追いやられ、どっちも椅子持って振って大暴れ……。担任という通称の唯一神が来たりて雷を落とし、ホームルームは延長、1時間目が半分説教に。


 つい昨日の教科書ビリビリがみっつ。神のいかずちは二日とその効力を持続しえなかった。ただ四色もおそれたんだろう・考えたんだろう、朝ののっけじゃなくて夕の下駄箱に仕掛ける。いつ盗ったか・入れたかはわからない、とにかく三、四冊が無残に破られて突っ込まれてた。今日も三人で巡条さんの家に行くところだったけど、萌は激怒して引き返して赤青を見つけて。黄緑は部活に行って別れてた。体育会系のこの二色は強い。その点、帰宅部のもう二色は弱い。僕らも急いであとを追ってみたら、階段の踊り場で一方的に・徹底的に赤青フルボッコ……。踊り場の上と下に野次馬の人垣が少しできてて、誰かが呼んだんだろうけど先生が来て――


「いやー、もー、説教クっソ長くてさー。おかげで花ぁんチ行く気力・体力なくなったってのー」


 ……だそうだ。翌木曜日、昼休み。あのこて~んの地、校舎裏のわずかな緑に来て食べてる。席をあけるとなにかされかねないものの、教室にいるのは・奴らといるのはあまりにも不穏。昨日の今日でおとなしくしてる(なにもしない)だろうということで、僕が言って連れてきた。


「……で、ちょっとは反省したか?」

「はぁ? なんでアタシが反省しないといけないわけー? 悪いのあっちじゃーん」


 あぐらで・猫背で弁当食べる。先生が取りなしても許しも謝りもついにしなかったという。


「ダメじゃな~い、ごめんなさ~いってしないと~……萌々奈の暴れんぼ~」


 当然いつでも・どこでも一緒の巡条さんがたしなめる。なお、酩酊の甘えんぼ~。


「フっ、幼稚園児か。なーんで教科書破られたヒガイシャが謝んの?」

「叩いたり蹴ったりは別でしょ~。萌々奈が加害者よ~」

「違うし、仕返しだしぜんぜんよくなーい?」

「よくないんだよ」

「はいはい、担任とも昨日それでモメたー」

「……揉めんなよ」


 モンスタースチューデントがよ……。


「赤崎さん・青山さんはお友だちだったじゃな~い。本当にもう仲なおりできないの~……?」

「ムリムリ、クソアマナだけはゼッタイムリ。ミナはまだいけるけどクソと離れないしなー」

「前田・後藤とも仲なおりというか、またつるむ気は?」

「ないない、クソヤローだけはゼッタイない。ケイはまだいけるけどクソと離れないしなー」


 なんだそのマイナーチェンジ返事……。赤前が・不倫が許せないのはよくわかった。


「クソクソ言わないの~。ごはん粒つけちゃって~」


 親切に取って普通に食べる。……巡条さん、お母さん。


「まーなに、このままアンタらとつるむわー。アイツらのほうがヨユーで・ダカツで嫌ーい」


 ダカツって蛇蝎か、ヘビ・サソリか? こいつはたまにどこで覚えたんだって言葉を使う。


「『アンタら』は嫌いじゃなくなったのか?」

「『ほうが』って言ったけどー? 昨日の敵だし今日は友でも明日どーだか」


 顔に・キャラに似合わず賢しげな口をきく。けど同意しよう、僕もいまだにおまえが嫌いだ。

 この一週間でなんと黒川も勉強しだした。短い休み時間も長い昼休みも長い長い放課後も。単に成績がやばいよりも寂しいんだと思う。嫌いな僕らと同化しようと嫌いな勉強するほど。本人は認めないだろうけどその辺の気持ちは汲んでやらないでもない――が、いただけない。


『佐ー解いてー』『あの佐ぁ、わかるようにさぁ』『花ぁばっか構うな』『佐ぁ!』『ああん!?』


 モンスタースチューデントがよぉ……!


「明日も友――いいえ~、明日は親友よ~。そしてあさっては大親友~」


 私とクマくんなんて大がなん十個ってついてるんだから~。……毎日増え続けるんですね。


「バーカ。花ぁの花って頭んなかお花畑の花?」


 バーカ。花の乙女の・かんばせの花!


「はー、食った食ったー。ちょっくらウンコしてくるわー」


 腹壊したってことでもなく食後即かよ! ウンコはもちろん、ちょっくらとか言うな……。


「お、大きいお花を摘んできなさ~い」


 そうだそうだ! アイドルもレンちゃんもウンコしない、ビッグフラワー摘むっきゃない!

 顔をへらへら・片手をひらひらこの緑(木々と茂み)出て行った。でもすぐ戻ってくる。


「てかさ花佐ー、今日どこ遊び行くー? カラオケ行きたーい!」


 毎週木曜ってわけでもないけど週1で勉強会は休み。僕はもう一回ボウリング行きたい。

 どっちも聞いたうえで巡条さんは僕に一票、カラオケはちょっと~……と苦笑していた。


「えー……ボウリングとかクソども思い出してクっソイヤー……。まークソしてくるわー」

「だからクソクソ言わないの~、お~は~な~」


 クソ川は今度こそクソしに行った。そういえばそうか、あの事件はボウリング場のトイレか。


「クマくん、やっぱりボウリングはやめましょ~。思い出して嫌な気持ちにさせちゃうわ~」

「うん……わかった。僕もちょっと……なんだけど、あいつの希望に、カラオケにしてやる?」


 ところがまたもそれはちょっと~……。ちょっとどころかかなり行きたくないような……。


「ん~、たとえばお洋服屋さん巡り~? 萌々奈きっと好きよ~・喜ぶわよ~。けれど~――」


 クマくんは楽しくないわよね~? ……はい。レンちゃんとふたりなら楽しく幸せでした。

 萌が戻ってきたらカラオケの次に行きたい場所を聞くことにして、僕らは食事を再開する。あいつは食べるのが早い――んじゃなくて、弁当が小さい。ダイエットのためにあえてとか。そのくせ人の金でステーキ食べたり人の家で晩ごはん食べたり……そんなんじゃ痩せるかよ。

 僕も巡条さんも食べ終えた。


「もう11月ね~。寒くなったわ~」


 天気の話だけど話題に困ってじゃない、普通に言ってる。10月も終わり、今に秋も終わる。


「ね。あいつ来たら教室戻ろう」

「11月は文化祭があるのよね~。おばさんだけれど初めてなの~・楽しみなの~」

「……おばさんじゃないよ」


 にしても初めてなんだ。本当に16から今年まで、24まで学校に来てなかった――のかな。

 それから5分・10分と経った。クソ川、一向に戻らない。…………。


「お花が見つからないのかひとり勝手に帰ったのか――どっちだと思う?」

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