第15話「〝グラドル めちゃシコ〟て」
いやぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~! わ、私はいったいなにを〰〰……!? クマくん、許して~・殺して~! なにより忘れて~! ュー――しか……覚えていないけれど~……それ以外にも痴態の限りを尽くしたような~……。
「あ~ん……」
夢じゃないのよね~……。それにきっとベッドに寝かせてくれたのね~……ごめんなさ~い。
「ん~……?」
机にお水が・書き置きが~。
昨日すごい酔ってたけど大丈夫?
二日酔いだっけ、ひどかったらお大事に
「クマく~ん……!」
酔っぱらいのおばさんに絡まれたのに・襲われたのに……なんていい子なの~、ありがと~。
二日酔いでも昨日のことでも頭が痛いけれど~……このお水を飲んで登校しなくっちゃ~。
◎
初めてのチューは、いやューは、レモンサワー――飲んでたチューハイ――の味がした……。それでいて巡条さんの味(?)は甘くてまろやかで……混ざって文字どおり甘酸っぱくて……。っぱいに劣らず唇もやわらかくて……元気いっぱいのワンちゃんみたいに執拗に迫って……。
頭じゃなくてお尻――なでてしまった。
「…………」
どんな顔したらいいんだ・話したらいいんだ……。許してください・殺してください……。ただお尻、厚みも丸みもすごかった。スレンダー巨乳・巨尻ってほんとにグラドルだった?
聞いてみたいけどそうじゃない――痴漢を正直に・真摯に謝ろう。たとえ覚えてなくても。
意を決して教室へ。……もう来てる。あんなに酔ってもいつもどおりってしっかりしてる。
「お、おはよう」
「お、おはよ~」
……お互いぎこちない。それだけで黒川が普通に言い当てた。
「アタシ帰ったあとなんかあったー? なんかあったってかぶっちゃけ何回ヤったー?」
「ゼロだよ!」「ゼロよ~!」
◎
かたや痴態を・かたや痴漢を謝罪する。萌に聞かれたくなくて休み時間に校舎の外まで出て。
「謝ることないわ~。だって私のほうが~……もっと……ッチなことをしたわよね~……?」
「ま、まあ……」
むにゅ~(胸)とみゅ~(唇)は刺激が強く・感触が優しく……ッチで大変いやらしく……。
「ごめんなさ~い……本当にごめんなさ~い……」
「や、やめてよ・顔上げてよ」
申し訳なさそうなままゆっくり顔を上げる。瞳には涙さえ浮かべてた。
「それであの~……昨日の私って~……どんな感じだった~……? ありのまま言って~」
「……理性も人格も崩壊してた。幼児みたいで・動物みたいで――」
「あ、ありのまま言わないで~! ……引いた~・幻滅した~?」
「ぜんぜん。むしろ……うん」
べらぼうにかわいかった。また見たいな・会いたいな、酔いどレンちゃん(2~4ちゃい)。
「も~ぅ、ニヤニヤしないで~……。クマくんが二十歳になったら私が酔い潰すんだから~」
「ははっ、怖いなぁ」
なにはともあれこれにて一件落着、ューについては触れなかった。巡条さんは覚えてないか。
教室に戻る。前田・後藤が廊下にいて、でっかい声で卑っ猥話してた……。
「いや、グラドルなんかよりAV女優がびゅるびゅるヌケる系。〝グラドル めちゃシコ〟て」
「わかってねーな、画像はグラドルのが断然いいだろ。映像はAVのがそりゃヌケるけどよ」
女子じゃないけど女子みたいに言わせてくれ――ちょっと男子ー、朝っぱらからサイテー!
待てよ――もしかしたら水着レンちゃん出てくるかな? 〝グラドル めちゃシコ〟で!
ってダメだ、そんな検索しちゃダメだ。下着姿を覗くのと変わらない……見たいけどダメだ。
「クマくんクマくん……あれ~……」
学ランの袖ちょんちょんて引っぱってささやいてくる。目線で示す先には黒が・赤青黄緑が。
「どういうつもりだコラ。背中にいつ貼った?」
「黒川さんこわぁい。マナたち知らなぁい」
「前に同じこと自分でやったっしょ。あれよ、インガオーホー? ってやつっしょ」
黄島・緑原が同調薄ら笑い。萌はブチギレて赤崎の机をグーの横でぶっ叩いた。
「覚えてろよゴラ!」
自分の席に戻る。巡条さんは心配してなにがあったか聞きに行く。
「……ん」
プリントの裏を不機嫌に見せる。相合傘が描いてあってこいつと僕の名前が書いてあった。
◎




