第14話「こぉめぇてぐらびぁもやぁてたゆ~」(前話と地続きです)
「…………」「…………」
死んだ! じゃない、潰れた! ふたりして机に突っ伏して赤い・エロい……。
「コバさーん。コーバーさーん」
肩を揺らして起こそうとする。……絶対こいつ気持ちおばさんって呼んでる。
「んんぅ……」
「立てるー? ほら、腕まわしてー」
と言いつつ腕まわさせて担ぎあげた。自分のバッグもコバさんのバッグも持って玄関へ。
「待て、どこ行くんだ」
「もう21時だし帰るに決まってんじゃーん」
「なんでコバさんさらうんだよ」
「はぁ? 送ってあげるんだけどー? 家どこか知んないけど駅連れてくー・置いてくー」
「……いいとこあったんだな。目クソ鼻クソ耳クソくらいの」
「クソクソうっさい。おばさんひとりくらいついでに持ってってもいいってだけだからー」
靴履いて・履かせてドアばたん、本当に行ってしまった。おばさん言うな・持ってく言うな。
「…………」
酔い潰レンちゃんとふたっ、ふたりきり……! どどどどうしよう・ななななにしよう!?
おおお落ち着け、こういうときはあれだ! 羊さん――じゃなくて巡条さんだ、数えよう! 巡条さんがひとり「クマく~ん」、巡条さんがふたり「うふふ」、巡条さんが三人「まぁ~!」
いや、巡条さんじゃなくて羊さんだ! 四足で柵飛び越えさせるな! 無性にかわいいな!
「ク~マ~くぅん……」
「うん!?」
起きた! けど! 頭かくかく酔いどレンちゃん!
「だ、大丈夫? 首やるよ……?」
「ぅるひゃ~ぃ!」
ひぃ~~~~! って、ぜんぜん怖くない……べらぼうにかわいくない?
ちょっと目を離してにやけた隙にゴンっ! 机におでこぶつけた!
「巡条さんっ!?」
あだ名で呼ぶの忘れるくらい驚いて、悪いけど左右から頭挟んで持ちあげる。
「ぃた~ぃ~……」
泣きそうな顔でかわいそう……。おでこ割れたかと思ったけど、幸い血も脳も出てなかった。
「ぃた~ぃ~!」
じたばた・ぶーぶー駄々こねだす。痛いっていったら――と、飛ばしたらいいんですか?
「痛いの……痛いの……飛んでけー……」
24歳のお姉さんのおでこなでて……なんだこれ。よからぬことをする気も失せてくる……。
「ぁ~! ぁ~!」
赤ちゃんみたいに無邪気に笑ってる……! よーし、次はいないいないばあだー。冗談です。
「もっと~! とんでけもっと~!」
「…………。い、痛いの痛いの飛んでけー……痛いの痛いの飛んでけー……痛いの痛いの――」
10分も飛んできました・喜んでました……。
「ク~マ~くぅん」
「え、ちょ!?」
疲れた腕を休めてたら抱き着かれた! 酒くさいけど普通に普段のいい匂いもする……!
「むにゅ~、むにゅにゅ~」
っぱいがすりすり~~・ーチクがこりこり~~! さっき動画で観た猫が甘えるみたいに!
「じゅ、巡条さん……!」
「ぅゅ~?」
ぅゅ……僕までとろける・ふやける……。なにもかもやわらかわいい・あったかわいい……。
「えふゅかっぷゅ~」
Fなんですか・あるんですか!? それにしても脈絡ない・正体ない……。
「こぉめぇてぐらびぁもやぁてたゆ~」
こう見えてグラビアもやってたゆ……? グラビアってあの――アイドルの? ……あ!
もしかして前に言ってた『収録』ってなんか番組の? 仕事でも海外ってなんか撮影の?
観たい……!
「ディ、DVDとか出てるの!? 水着でるんるん・ぷるんぷるんなの……!?」
「ぅるひゃ~ぃ!」
押し倒された・覆いかぶさられた! 抵抗でき――ないんじゃない、しない! どうぞ!
「ぅにゅ~・むにゅ~、ぅにゅむにゅ~」
頬と頬を・胸と胸をすりすりすりすり――やりたい放題・されたい放題、感無量大数……。こうも密着されたら失せたよからぬ気も甦るというもの。お、お尻くらい……なでても――
「…………」
熱烈な頬ずり・胸ずりが止み、とろ~んとした垂れ目で無言で見つめてくる。
「あ……あの……」
顔が近いです・視線が熱いです……。だらしない赤ら顔・たまらない淫ら顔……。
「みゅ~」
閉じたまぶたが・すぼめた唇が迫ってきた――
◎




