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24JK  作者: 百雲美呪丸◎
四章
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第10話「萌々奈ちゃ~ん、クオッカだクオ~」

 ……巡条さんになでてもらえるなら、黒川にはたかれるのも悪くない(痛くないことはない)。目つきも優しければ手つきも優しいレンちゃんの言うクマくん塾――現実になってしまった。


「は、は~い、片づけたから上がって上がって~」

「せまっ。ロクジョーヒトマってこんなかー。ベッドとタンスと勉強机でほぼぎゅうじゃーん」

「ほぼぎゅうってなんだよ」

「ほぼぎゅうぎゅう」


 ……もう一個くらい言えよ・省くなよ。

 学校終わって放課後、巡条さんのアパートにこいつも一緒に来た。クマくん塾=勉強会だ。中間テストが終了しても自習あるのみ。期末テストまでひと月半、休み時間も無駄にできない。バイトある日は教室で16時半まで・ない日は家で19時半まで。週1で息抜きに遊びに行く。

 ちなみに今日は月曜だけど、シフトの都合で休みとか。通常は月・火・金で17時~21時。


「けどまーそっかー、アンタら帰ってもクっソ勉強してたわけかー。ガリ勉すぎなーい?」

「それくらい私ができていなくって~……クマくんには頭が下がるわ~・上がらないわ~」


 いえいえ、こちらこそ手料理を・癒やしをいつもありがとう。それに勉強教えるの楽しいよ。理解してくれたときはなごむしかわいいし――巡条さんだから。それに比べて萌なんて……。


「その代わりアレねー、体で払う的なねー?」

「……は?」「……え?」

「だってそうじゃん、佐ぁにメリットないじゃん。ヤらせてあげないとさー?」

「なんでだよ!」


 ふたりきりで過ごせるだけで幸せなんだよ! これからおまえ来るなら不幸せなんだよ!


「えー、ヤってないのー? なんだっけ、キヨー」


 ……清いってことか? キモー、みたいに言うな。


「家でふたりで何時間も勉強だけって信じらんないわー。チ×コ・マ×コちゃんとあるー?」

「お、おまえな」「も、萌々奈」


 品もデリカシーもなさすぎる……。小学生じゃあるまいし普通に言うって信じらんないわ。

 とりあえずローテーブルの前に座る。男の僕も女の萌もあぐらかいて。……いや、おまえ脚。巡条さんはお茶入れて持ってきてくれた。もう麦茶じゃない、緑茶だ。当然あぐらはかかない。両脚ともに向かって左にお姉さん座り。上体はすっとして姿勢がいい。猫背女も見習うがいい。


「ゆっくり飲んでてね~、着替えてくるわね~」


 いつもどおりパジャマ持って風呂・トイレへ。僕は見慣れたけど黒川がなんて言うか……。

 しゅるしゅる、しゅるしゅる――


「音っ。アンタ誘われてなーい?」

「……なんでだよ」


 誘われてないだろ。……誘われてないだろ? え、入って襲ってって――なわけないだろ。

 ほどなく上下パステルピンクレンちゃん出てきた。


「パジャマ……?」


 ひとり暮らしはお洗濯が面倒で~、夜だけ着るのは贅沢で~……そう聞いても黒川は引く。


「だからってオトコにパジャマ姿見せれる……? それともなに、私と寝ましょーってー?」

「そんなわけないじゃな~い!」


 ほっぺたぷくぷくご立腹。……フグかわいい。

 萌の興味は・質問はタンスの上の写真立てへ。


「あれって花ぁの若い頃ー?」

「……今も若いだろ」


 14歳のやつな・ショートカットのやつな。日なたで笑顔で白ワンピ。


「ふふっ、10年も前の若い頃よ~。ちょっと特別な写真だから飾っているの~」

「じゃああっちのはー?」


 勉強机の端にあるの指す。巡条さんと快活そうなお姉さんが海を背に立ってる・笑ってる。


「それはトンガで、ヌクアロファで撮ったの~。もうひとりはお友だちの舞歌っていうの~」

「トン……? ヌク……? 思ったけどなーんか南国のおみやげみたいな小物多くなーい?」


 勉強机やタンスの上に多々・諸々、エキゾチックな置物(トーテム?)やスノードームが。


「ええ、南国のおみやげよ~。年に一回だけれど海外に、太平洋に旅行に行くの~」


 ハワイ、グアム、バリ島、パラオ、フィジー、トンガ、オーストラリア(シドニー・パース)。指折り数えて行った順に挙げてった。そういえば前に仕事でも何か国とかって。……仕事とは。


「去年がオーストラリア南西のパースで~、その沖の島にたくさんいたのがこのクオッカ~」


 ベッドの枕元にあるリスみたいなぬいぐるみ、クオッカを取って抱く。……クオッかわいい。


「はぁ? なに、クオッカって」

「絶滅危惧Ⅱ類の・有袋類の希少動物さ~ん。画像検索してみて~、とってもかわいいわよ~」


 ぜつめつきぐにるい・ゆうたいるい……? 正直僕もそんな感じ。黒川はスマホで調べる。


「かわいっ! なーんか笑ってなーい?」

「口角が自然と上がって見えるそうなの~。舌を出したときのワンちゃんに近いかしらね~」


 黒川の隣に座ってぬいぐるみを振り振り甘える――「萌々奈ちゃ~ん、クオッカだクオ~」


「ゼツメツさせるぞゴラ」


 保護しろよゴラ……。うらやましいぞおまえ、僕にもクマく~んって今のやってほしい!



 それから勉強しはじめたけど、萌はただ冷やかし・にぎやかしに来ただけでゴロゴロしてた。


        ◎


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