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24JK  作者: 百雲美呪丸◎
四章
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第9話「……拓真のた抜きでクマくん・花恋のか抜きでレンちゃんなんだよ」

「クマく~ん、おはよ~」

「おはよう。……レ、レンちゃん」

「アンタらなにあった・頭打った……?」


 翌週月曜、登校してあいさつを交わすなり隣の黒川が耳ざとい。う、うるさいな・失礼な。


「……拓真のた抜きでクマくん・花恋のか抜きでレンちゃんなんだよ」


 た、拓真くんじゃなくって~、ん~……クマく~ん! クマくん……? ま、まあ……うん。私もあだ名で呼んで~。え、じゃあ……レンさん? あだ名なのに硬いわよ~、ちゃん、ね~。

 ……そういう次第だ。


「意味とか聞いてないしなんとなくわかったし……頭打った?」

「打ってないわよ~。萌々奈もこんな感じで~、モナちゃ――」

「ぶつぞコラ」


 ぶつなコラ……。なんでちゃん付けキレるんだ・NGなんだ……。

 当然まだ慣れないし恥ずかしいったらありゃしない。レンはともかくちゃんが抵抗ある……。かたや巡条さんはしっくりきてるらしい。クマくんのほうが普通に恥ずかしいと思います……。

 ちなみにあのあとは同じフロアの本屋へ。早速ちょこちょこあだ名で呼びながら店内を散策。巡条さんは料理と旅行の本に目がなくて、ただただ見てまわっただけだけど最高に楽しかった。

 萌、おまえがいなかったからなぁ!

 そんなことより――


「衣替えしたんだね」

「ええ、肌寒くなってきたもの~」


 10月も半分過ぎてさすがに残暑もどっか逃げてった。教室を見渡しても白から黒だ・紺だ。冬セーラー巡条さん、よく似合ってる。座ってて見えないけどロングスカートとまあ相まって。思ったとおりシックで一段とお姉さん感あって、腕が見えてた半袖(夏服)よりむしろいい。


「アタシもしたんだけどー」

「……見たらわかるけど?」


 なんの興味も感動もない。おまえは夏の白のほうが褐色の肌が映えるな。バじゃないからな。

 よし、僕も明日にも学ラン着よう。


「そういうとこオンナって見てんだけどなー」

「は? ……は?」

「態度よ態度、たーいーど。アタシに冷たいの、『レンちゃん』ガッカリしてると思うけどー?」


 …………。だからって――おまえなんかに優しくできるか。


        ◎


 中間テストの一部が、化学・数Ⅰ・現国が早くも返ってきた。先週水曜、初日の三教科。

 巡条さんの運命や・点数やいかに――


「クマく~ん、見て~、32て~ん!」

「見て見て~、38て~ん!」

「クマてんクマて~ん……! 45く~ん……!」


 毎休み時間嬉しい悲鳴! 4時間目(現国)終わりは興奮しすぎてくんと点が逆て~ん!

 そのまま迎えた歓喜の昼休み。黒川のふたつ後ろの席の巡条さんが机ごと移動してくる。


「萌々奈も一緒に食べましょ~」

「んー」


 ぶっきらぼうに正面から僕と机合わせる。その横手に巡条さんがドッキング。


「……なんでおまえと対面なんだよ」

「うっざー・うっ佐ー。――花、チェンジ」


 ふたりが席だけ入れ替わった。向かいが愛おしいレンちゃんに・はす向かいが厭わしい萌に。


「ぬくっ。ウンコでもしたー?」

「するわけないじゃな~い! 萌々奈だってぬくぬくだわ~」


 人が座ってたとこってあったかいよね……。ウンコ言うな、聖女に・飯時に。

 直後、悪意が聞こえてきた。


「あんなに嫌ってたおばさん・転校生と食べるんだぁ」

「落ちるとこまで落ちて寂しいんっしょ。そのうち転校生と付き合うまである」


 赤崎・青山が貶して笑ってる。黄島・緑原も同調してイジってる。

 僕からは見えてて右手の黒川の向こうに例によって四人。赤崎はたまに彼氏と消えるけど。

 その彼氏、前田も今日は教室にいる。たぶん週4で学食通い・週1でコンビニおにぎり。


「見ろよ、モモナ急に仲よし系?」

「知るか。つーかセッタエラそーだろ、オレの元カノだろ」


 僕からは見えなくて背後で後藤ほか数人としゃべってる。……元カノだからなんなんだよ? まさか未練あるのか・復縁したいのか? めんどくさいしマ×――もくさいとか罵っといて? 

 最低ク×ニーマン!


「…………」


 当の黒川は黙々とぱくぱく食べてる。あいつら声でかいし普通に聞こえてるはずだけど……。


「も、萌々奈はテストどうだったの~?」


 巡条さんの耳にも届いてるらしい、まぎらわすように話振ったのがわかる。


「べっつにー。どうでもいいじゃーん」

「言えないくらい悪いってことか」

「あん?」

「あ~ん……」


 違うんですよ、僕はこう、イラだちをこっちにこう……。いえ、ナチュラル憎まれ口でした。


「そんな見たいなら見ろよ・ほらよ!」


 机のなかからくしゃくしゃの答案叩きつけるように出す。なんだなんだ、実は高いのか?


「萌――おまえ……」


 化学8点・数Ⅰ6点・現国7点! どこが巡条さんより頭いいんだ!? バーカバーカ!


「言っとくけどアタシ、テストしてないから」


 いわゆる〝次のなかから選べ〟だけ解答してる――っていっても考えもせず適当――とか。自分で文章だ数式だ書かないといけない問題は総スルー、ゆえに『テストしてない』んだと。


「アタシがテストしたらマジで花ぁより高いから」

「……言ってろよ」


 そんなんじゃ8年経ってもJKで、おまえがおばさん呼ばわりされる日が普通に来るな。


「私が言うのはなんだけれど~……留年、だいじょうぶ~?」

「あー、するかもー。次の期末もこんなだったらまーカクテー」


 1学期はまだテストしたとかで今回よりはマシ、疑わしいけど赤点なんかなかったという。

 ならなぜ今回テストしなかったのか? ……むしゃくしゃしててやってられなかったそうな。


「アタシもこのままおばさんなるわー。考えてみたら永遠JKって楽そー・楽しそー」


 こいつ本気でのんきにほざいてる……関係ないけど意外と弁当かわいいな。


「ダ、ダメよ~! 今すぐクマくん塾、入りましょ~」


 あっ、これクマくん塾でやったわ~ってなるんだから~。……僕は真剣ゼミかなにかですか。

 今日返ってきた三教科の結果は化学58点・数Ⅰ64点・現国70点。塾にもゼミにもほど遠い。


「僕は大したことないんだって……」


 黒川入塾お断りなんだって……。


「謙遜しないの~。倍になった私の点のさらに倍じゃな~い」

「いやいや巡――レン、ちゃんの倍もないよ」

「倍になった花の倍? わっかんなー。アタシ見せたから佐、見ーせーろ」

「……ほらよ・見ろよ」


 こいつと違ってくしゃくしゃにはしてないけど、こいつに倣って叩きつけるように出す。


「はぁ!? キっモ……現国70ってアタシの十倍じゃん……引くわー」

「賢いな、十倍がわかるのか」


 バシっ・ヨシヨシ!


        ◎


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