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24JK  作者: 百雲美呪丸◎
四章
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第7話「それじゃあこの玉子・海苔入りチャーシュー麺とんこつでー。あ、トッピングぜんぶねー」

 はぁ……黙れよ・帰れよ……。お疲れさま会なのにこいつのせいでおあいにくさま会……。一週間ずっと無視してた割によくしゃべる。……逆か。『割に』じゃなくて『からこそ』なのか。ひとりが楽な・平気な奴なわけない。ぼっちが寂しかった・恥ずかしかったのは間違いない。同じ女子はまだしも2、3軍男子にも友好を求めたくらいだ。コミュ力たるや・行動力たるや。残念ながら連中に元女王を受け入れる姿勢も術もなく、ふてくされていよいよソロ川本格化。見かねた聖女が、サンカレンさまが御手を差し伸べ、頑なに避けてた・嫌ってたそれを取った。

 ……巡条さんがいい人すぎて悪い。声かけ続けられてこいつの心開いた・動いたんですよ。


「らっしゃーせぇ! 3名様でぇ!?」

「で~す」


 暑苦しいラーメン屋さん・愛くるしい巡条さん。混んでるけどテーブルあいてた・通された。黒川は向かいに・巡条さんは隣に座る。しょうゆ・とんこつくさい店内でも香るこのスメル。


「あ~、いいにおいね~」

「う、うん」


 ……ラーメンよりもカーレン、あなたのほうが。

 駅降りてぶらっと歩いてふらっと入った個人店で、昼時だけあってスーツの人でいっぱい。見たところ30代・40代のサラリーマンばっかりだけど、OLの若いお姉さんもちらほらいる。巡条さんも普通にっていうと語弊あるかな……普通に考えたら今頃あんな格好・職業なんだ。

 24歳高校1年生――いまだ謎に、あるいは闇に包まれている。


「さあ雪佐くん・萌々奈~、どれにする~?」

「どれ頼んでもいいのー? トッピングもー?」

「いいわよ~。お金のことは気にしないで~」

「……ちょっとは気にしろよ」


 巡条さんがゆるすぎるから一応言っとく。ただまあまったく聞く耳持たなかった。


「それじゃあこの玉子・海苔入りチャーシュー麺とんこつでー。あ、トッピングぜんぶねー」

「……萌。増長するな」


 ぜんぶなんて聞いたことない・シャレにならない……たかが50円でも腹も額も膨れあがる。


「はぁ? ゾーチョースルナってなに語ー、わかんなーい」

「日本語だよ、わかんないか。ヤバい・キモい・ウケる・勝たんくらいしか知らないか」


 すると烈火の・疾風のごとく、前のめりになって頭叩いてきた! いって~~~~~~!


「調子乗んのも大概にしろよ佐ぁゴルァ! ~しか勝たんとかとっくに激サム死語ルァ!」

「萌~~々~~奈~~!」


 恐竜に比べたら迫力ないけど精一杯の大声で戒める。ふたりが叫ぶから周囲が振り返った。

 黒川サウルスは腕組んでそっぽ向く。巡条さんは僕の頭を優し~くなでながら(!)嘆く。


「おねがいだからケンカしないで~……叩かないで~」

「だったらケンカ売んないでくれるー? なに照れてんのー、ヤっバ・キっモ、マジウケるー」

「て、照れてるか。今ヤバい・キモい・ウケるって見事に言ったの自覚あるか? 例文かよ」


 また頭バシっ、すかさずヨシヨシ! だけどまた売り言葉に買い言葉、バシっ・ヨシヨシ!


「……早くラーメン頼もう」


 なんか新しいトリオ漫才もうやめよう……ボケ・ツッコミ・ヨシヨシ、男子・獅子・天使。


「僕はこのスタンダードなしょうゆで」

「遠慮しないの~。萌々奈と同じ玉子も海苔も入ったチャーシュー麺にしましょ~」


 巡条さんもそれのみそにしたからお言葉に甘えた。トッピングは十分、お互い別に要らない。黒川のぜんぶ乗せも冗談で、+50円×オールせず。騒いだのが馬鹿みたいだな、悪かったな。

 お冷やをあおってできあがるのを待つ。この萌が来なければデートだった・対面だった……!


「改めまして雪佐くん、本当にありがと~」


 僕のほう向いてわざわざ一礼。向かいの黒川は鼻で笑ってニヤニヤ無礼。


「全教科手ごたえあるの~。ああ、手ごたえっていっても~――」


 ギリギリ30点以上の自信のことだと付け加える。いやいや、相当ですよ・1学期の倍ですよ。


「それであの~、出来も要領も悪い生徒だけれど~……これからも教えてくれないかしら~?」

「もちろん。次は期末に向けてがんばろう。12月初めくらいだと思うけどあっという間だよ」

「雪佐く~ん……!」


 垂れ目をうるうる泣きそうな満面の笑み。体を左右に揺らしてニコニコして萌のほう向く。


「うふふ、萌々奈も雪佐くん塾入りましょ~」


 それは訳が・話が違います……。塾だとしても個別指導です。でも身構えることなかった。


「なーんで嫌いなアンタらと嫌いな勉強しないといけないわけー? 二重でヤなんだけどー」

「……こっちだって嫌だよ・ご免だよ。大体おまえ成績どれくらいだよ。どうせ悪いんだろ」

「うっさい、決めつけんな。花ぁよりぜんぜん頭いいからー」


 どうだか。赤点だらけで留年マジヤバーとか泣きついてくんなよ。ひとり泣きわめいとけ。

 まもなくラーメンきた。それぞれしょうゆ(僕)・みそ(巡条さん)・とんこつ(黒川)だ。チャーシュー麺だからチャーシュー3つも入ってて、定番のメンマ・ナルトも当然入ってる。スープはこってり・麺はもっちり普通においしい。ん、玉子うまっ。箸もレンゲも止まらない。


「ねえふたりとも~、この海苔ってどのタイミングで食べたらいいかわからないわよね~」


 どんな話題――じゃない、まともな話題! 僕はたった今、気づいたら食べてたよ。



 ごちそうさまでした。


        ◎


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