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24JK  作者: 百雲美呪丸◎
三章
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第11話「僕、負けたけまくぼ……」(前話と地続きです)

 しゃがんで膝を抱きかかえて壁に向かって泣き言を漏らす。


「え……? な、なに言ってるの?」

「お嫁にも行けないわ……」


 声も体も震わせて冗談に聞こえない。どういうことだ……まさか今のはなにかいじめか?


「それってあいつらのせい? わかった、ガツンと言いに――」

「ち、違うの! っ……戻り――ましょ~」


 目元をひと拭いしたら努めていつもの感じに。表情は暗く、まったく吹っ切れてない。

 なぜか僕までおそるおそるレーンに戻ると、奴らはどうやら観終えて口々に物申してた。


「あー、おなか痛ー……。こーんな再生数5000ちょっとのヤツ、カラオケにいるー?」

「この一曲で天森栞ん終わってるねぇ。6年も前かぁ」

「ショートカットですげーかわいかったけどなー。しっかし歌も衣装も振りつけもダセぇ!」

「お、カレンちゃん。急に走ってトイレ系? ミナまだ出ない系?」

「さ、さあ……会ってなくって~。――みんな今私を見たけれど……気づかれていないわ!」


 二言目は誰に言うでもなく生き返ったよう。あいにく小声で・雑音で聞き取れなかった。


「雪佐くん雪佐くん、まだ学校にもお嫁にも行けるわ~!」

「よ、よかったね?」


 明るく元気でなにより・元どおり。よくわからないけど残り5回のボウリング再開しよう。

 コォン、コォン、コォン、コォン、カコォン、カコォン! 巡条さん覚醒! 結果は――


「僕、負けたけまくぼ……」

「……けまくぼってなんなの~・下から読んでもなの~?」


 かれん117・たくま103で大敗! 1ゲーム目と比べて僕は微増・巡条さんは激増! 最初のスペアだけじゃなかった。なんとラスト2連続ストライク! 僕もスペアなら2回……。

 合計は巡条さんが211に対し201。2ゲーム目のみならず通算でもばっちり敗れた。

 聞きたかったな……連絡先……。


「じゃあなんでもひとつお願いを――どうぞ」

「え、ええ。あの~……」


 ストレートの毛先を指先でくるくる言いよどむ。よく見る仕草も髪型が変われば印象も異。


「わ、私と~…………を~……交換してほしいの~」

「股間?」

「こ、う、か、ん~!」


 ……前もあった・やった、この聞き間違い。わざとじゃないです・ふざけてじゃないです。


「交換ってなにを? 肝心なとこミュートだったんだけど……」

「そ、その~……連…………を~。連絡先……を~」

「え……!?」

「あ~ん、嫌だった~・ダメだった~……?」


 眉も目尻もテンションも途端に下がる。嫌なわけない・ダメなわけない!


「ち、違うよ、僕が勝ったら言おうと思ってて……ビックリして」

「ん~? 雪佐くんも私と連絡先を交換したかったの~?」

「は……はい……。巡条さんはなんで交換したいんですか?」


 照れくさくて敬語になったのをやめてよ~と笑われつつ、交換したいのは質問したいから。家に帰ってひとりで勉強しててもわからないとこだらけ。雪佐くん先生に頼りたいんだとか。

 というわけでルイン交換した。早速ポッとメッセージが。


『毎日たくさん送っちゃうかもしれないけれど~……どうかよろしくね~』

『うん、よろしく』


 淡泊に返したけど実際口にすれば、「う、うん……よろ――しく……」くらい感動でビクビク。

 巡条さんは文面から受けた感じのまま、「どうかよろしくね~」と声に出してほほ笑んだ。


「シュウもマナもトイレ長くなーい? アイツらの番だけど無視ってアタシらで投げるー?」


 やかましい・疎ましい隣人もスコアを見れば10回目。僕らに続いてそろそろお開きと見える。9回時点でしゅーも122・けまみ109。チラっと見た限り赤崎以外は相当上手かった。


「すご~い、赤いマークがいっぱ~い。私たちはお先に帰るわね~、お疲――バ、バイバ~イ」


 青山・後藤は手を挙げて快く応じる。黒川、それに僕はこれといって愛想もあいさつもない。

 フロントでスコアの紙を受け取ると、巡条さんはトイレへ。


「雪佐くんも行っておいたら~?」


 前田がいるみたいだから行きたくないけど――前田がいるから行けないとは思われたくない。瞬時に・自然にうなずいてしまった……。行ったことにして待っててもいい。でも――行くか。


「…………」


 スパイが・怪盗が潜入でもするかのごとく、壁に背をつけて陰からなかを窺う。

 いない、小じゃない。大の不良が大ってか? はい、おもんないです・なんでもないです。

 まあいい、むしろ好都合。普通に小便しだしたところ――すぐ後ろでかすかに女が喘いだ。


「んっ……やぁん……」


 下半身は・放尿はそのままにばっと振り向く。こ、この声って……赤崎……?

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