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24JK  作者: 百雲美呪丸◎
三章
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第10話「もし――かして……雨漏りしおりん……?」(前話と地続きです)

「おいセッタ。調子乗ってっともっぺんボコるぞ。セッタらしく足ん裏で踏みつけっからな」


 こいつだけじゃなく全員の視線が痛い・怖い。さっきファミレスで怒鳴ったの根に持ってる。

 僕を脅すと前田は投げた。ボールは茶色で確か11ポンド。カコォン! ……いきなりかよ。


「っしゃあっ!」


 黒川と両手でハイタッチ、からのパイタッチ。…………。


「チッ、だったら俺もファーストライク決める系! カレンちゃん待ってらんねぇ、脱げ!」


 そこへ罰ゲームかなにかでパシられたみたいに、巡条さんが片手に二足ずつ持って戻った。


「まってまって~! これ~!」


 前後は普通に・赤青は半端に礼を言う。黒は「どうせならシューズよりジュースおごってー」


「ジュース~? そうね~、のどが渇いたわね~。いいわ~、みんなの分も――」

「巡条さん!」


 さすがに止めた。早く次投げてと促す・まぎらわす。

 ボール持って後藤の横に並び立つと、チャラチャラ話しかけられる。


「カレンちゃんカレンちゃん、その黄色8? モモナと同じ系」

「まぁ~、そうなの~。後藤くんのその赤色は10ポンドだったかしら~」

「テンテン。つーかカレンちゃん、いきなりスペア取ってる系。ボウリングよく来る系?」

「いいえ~、4、5年ぶり~。とっても楽しいわ~」

「4、5年って俺でいったら小学生以来系! カレンちゃんてどこ小系・どこ中系?」


 とっとと投げろよ!


「とっとと投げろよ!」


 僕は思った・前田は言った。巡条さんもそんな爬虫類野郎のナンパに親身にならないで……。

 隣がすごく目障り・耳障りなものの、なるべく気にせず・関せず、こっちも楽しく投げてく。レーンの構造上仕方ないんだろうけど、ボウリングのお隣さんは近いを超えてくっついてる。とくにボールが返ってきてたまるとこは一緒。そして僕は青山とボールが一緒(オレンジ9)。あの青口紅、二投目に人の使いやがる! 黒川も巡条さんと『同じ系』だから使いやがる!

 なお、赤崎は黄緑7。


「ねー、おとといのアレってなんてったっけー」

「おとといのアレぇ? なんのことぉ?」

「ほら、カラオケで歌ったぜんぜん知らないアイドルソングー」

「あ、モモナとデュエった系の? アレがどうした系?」

「なーんか耳に残ってさー、ちゃんと聞いてみたいっていうかさー。曲名なんてったっけー?」

「嫌々歌ってたくせに気に入ったのかよ! オレが茉那と歌ったヤツなら覚えてっけどなー」

「マナもおぼえてるよぉ。『アイスがガチなんて知らなかった』だよねぇ」


 なんの話か見当つかないけどぺちゃくちゃ聞こえてくる。トイレ行った青山以外の4人で。

 僕らは半分、5回まで投げてつかの間の小休止。スコアは今のところ――負けてる……。


「ちげーよ、『愛すことがカちだなんて知らなかった』だろ。なげーのに謎のインパクトあるわ」

「へっ……!?」


 巡条さんがまぬけな・大きな声で反応した。僕も奴らもどうしたのかと目を向ける。


「しゃ、しゃっくりよ~。――そうよ、かちって言ったわ……過ちじゃないわ」


 二言目はぼそぼそ聞こえない。ただ――動揺してる……?


「アタシが言ってんのはなんとかまりりんのほうだってー。ねーケイ、思い出せなーい?」

「……水たまりまりりん? なんせ水系・こういう系」

「もし――かして……雨漏りしおりん……?」


 今度は深刻に・真っ青になって反応した。しかも正解。


「それそれー! えー、なんでおばさん知ってんのー?」

「あ……えっと~……その~……」


 青ざめたと思ったら赤面してしゅんとする。黒川はたぶんそのワードでスマホで検索。


「あったあったー、PVかなー。サムネだけでダサそー・安そー」

「っ……!?」


 紅潮した顔をぱっと上げ、腕も首もぶんぶん振ってる・慌ててる。ど、どうしたの?


『今日もぽたぽた しおりん雨漏り~ん おうちなのに 水たまりが できちゃうの~』


 女性ソロアイドルの未熟な歌声が流れだす。黒川はじめ4人は笑いだす。巡条さんは――


「う、うう~~……!」


 うなって逃げだす! え、なんで!?

 ビリヤード台とかあるフロアの果てまで走ってった。


「はぁ……はぁ……大――丈夫……?」

「私……もう……学校に行けないわ……」

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