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24JK  作者: 百雲美呪丸◎
三章
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第8話「ガーターを防ぐ――柵~? 上げてもらう~?」

 ……冷静じゃなかった・賢明じゃなかった。にらんでた黒川・前田に仕返しされそうで怖い。4人もグルは飛躍が・不信がすぎた。でも赤青は黒が盗ったってことくらい知ってるはずだ。決めつけてるけどあいつが盗った確たる証拠はない。ないとしてもほかに誰も考えられない。『落ちてたの見つけて戻しといた』らしいけど本当かわからない。戻してないかもしれない。仮に戻してても明日もあさっても盗るかもしれない。だから千円も渡したのはいただけない。巡条さんは穏便に済ませたかったそうだけど、これに味しめてつけあがったら手に負えない。衝突を避けようと無駄金払ったのに、僕がぶつかりに行って申し訳ない。でもわかってない。


「あれ~、7かしら~・8かしら~?」


 ……しっくりくるポンドもわかってない。

 ボウリング場に来た。ゲームの・シューズの料金は出してもらってる。普通に面目ない……。


「雪佐くんはボール決まった~?」

「あ、うん。……9」


 たぶん男子高校生にしては軽いほうだと思う。


「あら~、オレンジ色で綺麗ね~。試しに私も~」


 僕と同じオレンジの9ポンド取った・持った。


「ん~、重いわ~。これに比べると7がとっても軽いから~、あいだを取って8かしら~」


 黄色い8ポンドに決定。ボウリングの球って重くなるほど色が汚――濃くなるよね、濃く。


「私、中学1年生まで五本指の子ども用のだったの~」


 あっちの薄青の5とか6指して言う。


「ははっ、もう指入んないやつだね」

「そうそう~、2年生・3年生にもなるといよいよ入らなくなって~……卒業させられたわ~」


 高校は24歳にもなってまだ卒業できていないけれどね~――なんて明るく(?)自虐した。


「……ははっ」


 笑っていいんでしょうか……。


「私が8ポンドまで成長したように~、雪佐くんも大人になったらあれくらいいけるわ~」


 あっちの深緑の12とか13指して言う。


「いやいや、そこまで筋力上がらないって」

「そんなことないわ~。可能性は無限だ~い」


 ポジティブに応援したと思ったら、声を落として・顔を翳らせてネガティブになにか漏らす。


「……私が言っても説得力ないわね~」

「え?」

「なんでもないわ~、行きましょ~・はじめましょ~」


 選んだ黄色を・オレンジをそれぞれ持って、所定のレーンへ移動する。

 頭上と机上の画面には――〝かれん〟・〝たくま〟と名前が出てた。

 非常に恥ずかしい……。


「……今からでも苗字に変えてもらいません?」


 敬語になったのはおいといて。巡条さんは用紙に下の名前で、しかもひらがなで記入した。


「どうして~? いいじゃな~い。苗字のほうが変よ~」


 子どもの頃は下の名前でひらがな表記だったから、それが当たり前だという。……確かに。けど今ファミリーボウリングじゃないじゃないですか……これじゃカップルじゃないですか。


「ふふっ、仲のいい姉弟に見られそうね~」


 そうかな……あ、そうか。制服同士だけど巡条さん大人っぽい――大人だ――からそっちか。


「投げていい~?」

「どうぞどうぞ」


 1ゲーム目がスタート。2ゲームやる予定で勝ったほうがなんでも言えることになってる。勝つっていうのはもちろん自分のほうが高スコアってことで、1ゲーム終わりの中間結果も。つまり都合2回望みを叶えられる。連勝して髪ほどいてもらうんだ・連絡先教えてもらうんだ。


「この感じ久しぶりだわ~。ボールみたいに吸い込まれそうな遠近か~ん」


 レーンの前に立って構えてる・つぶやいてる。その後ろ姿の背筋の・スタイルのよさったら。手足もスカートも長い。肩も腰も丸い。露出してるとこは足首くらいのものなのに裸が浮かぶ。

 ……お尻を中心に透視してる場合じゃない。ぎこちない・しまらないフォームで投げた。

 思った以上に球が遅い・弱い。でもコースは良くて真ん中やや右に向かってまっすぐ進む。

 カコォン! ぜんぶ倒れた!


「いきなりストライク~!」


 いきなりストライク~!? かれこれ4、5年ぶりとか言ってましたけどほんとですか!?

 こっち戻ってきて片手を挙げて――下ろした。……ハイタッチしようとしてくれました?


「ブランクはあるけれどやっぱり年の功ね~。これは私、勝っちゃうかも~?」


 隣に腰かけて小首をかしげて挑発してくる。口の端のほくろ辺りに人差し指まで当てて可憐。

 正直なんとなく下手だと・楽勝だと見なしてた……。


「ま、まだはじまったばかりだよ」


 間近に座られて逃げるように立ってボール取って、見られてると思うと緊張して投げて――

 ガタン。左溝に落ちた。


「…………」


 いきなりガーター……。

 かっこ悪いな・幸先悪いなってとぼとぼ戻る。巡条さんは優しくほほ笑んで意地悪く言った。


「ガーターを防ぐ――柵~? 上げてもらう~?」

「上げてもらいません!」


 コン、コォン、ガタン、コン、ガタン、コォン、コン、コォン、ガタン、カコォン――

 コンは数ピン・コォンは多数ピンといったところ。お互い10回投げ合った。結果は――

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