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24JK  作者: 百雲美呪丸◎
三章
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第7話「やったぁ、おばさんきゅぅ!」(前話と地続きです)

 ……この甘ったるい声は赤崎だ。後ろ振り向いてみれば3ギャル2チャラが勢ぞろい……。しかも店員さんに案内されたテーブルを断り、知り合いとでも言ったのか僕たちの横手に来た。

 どういう神経なんだよ・了見なんだよ……。


「なにこれデートしてる系? マジで付き合ってる系?」


 テーブル間の隙間が少しあるとはいえ、僕の右から金髪ロン毛の爬虫類、後藤が聞いてきた。その奥に・隣に前田が座る。体育の時間の暴行事件なんかおくびにも出さないなに食わぬ顔で。


「聞くまでもなく確定っしょ。ナイショだの気になってる人ほかにいるだの言ってたくせに」


 同様に巡条さんの左――僕目線だと右――から茶髪ショートの青口紅、青山が言ってきた。その隣に赤崎、その隣に黒川が座る。奴は僕らなんか無視して爪の鋭い指でスマホいじってる。


「そ、それはその~……。けれどこれはデートじゃなくって息抜きよ~」


 あくまで巡条さんはそう捉えてるんですね……。ただ僕は普通にデートだと思ってます!

 さあ、ジュース飲んですたこらさっさと出よう。こんな奴らといたくない・関わりたくない。


「おい啓、オレこれな」

「じゃあアタシもそれー」

「マナも」「あたいも」

「いや、リブステーキ999円って金満特権系! おごるっつっても299円均一系!」


 それでも五三十五(5人×実質300円=ほぼ1500円)だな。……十分金満だな。

 僕は聞き耳だけ立ててるけど、巡条さんはにこやかに眺めててしとやかに笑い声立ててる。おばさんおばさん言うしグーで殴ってきた奴がいるようなグループなのに――いまだ好意的。黒川を依然、明るくてかわいい女の子と評しそう。このお方に恨みは・憎しみはないのか……。

 僕も巡条さんもジュース(りんご)飲み終えた。


「よし……行こっか?」

「ええ、行きましょ~」


 腰を上げがてらおごってくれてありがとうってちゃんと言う。当然なんだけど恥ずかしい。


「ふふっ、どういたしまして~」


 そうして奴らを尻目に去ろうとしたら――


「ねー、おばさんさー!」


 黒川がキツめの・大きめの声で呼び止めた。


「昨日はごめーん。ほっぺたなんともないー?」


 スマホいじりながらで見もせず、まるで心がこもってない。僕なら謝罪と・反省と取らない。

 でも巡条さんは誠実に・丁寧に受け止めた。


「だいじょうぶよ~、こちらこそごめんなさ~い。厳しい言いかたしちゃったわよね~……」


 私よりも雪佐くんに謝ってあげて~って言い添えた。けど黒川はスルーして違う球投げる。


「そういやアンタら今日上履きなかった感じー? アタシ落ちてたの見つけて戻しといたー」


 は? ……は?


「お礼してほしいなー。ステーキ食べたいなー」


 ああそうか――自作自演でたかるのか……! 体だけでいいのにいい性格してんなぁ……!

 巡条さんにこそっと・ぼそっと伝える。


「行こう。無視しよう」


 ところが無視されたのは僕のほうだった。


「あら~、ありがと~! ステーキおごるわ~」

「え、巡条さん!?」


 ベージュの小綺麗な革財布から千円札を一枚抜き、黒川に向かって両手で丁重に差し出す。


「あらー、ありがとー」


 口調を真似て馬鹿にしきってぱっと取った。否、盗っただこんなもん……!


「おいジュンジョーさん、マジかよ・いいのかよ?」

「お礼だもの~。できたらみんなで切り分けて~、わいわい食べてね~」

「チョロ――優しすぎっしょ」

「やったぁ、おばさんきゅぅ!」

「カレンちゃん器でっけぇ・銀河系!」


 すでにわいわい楽しそうなとこ悪いけど――空気ぶち壊してでもブチギレたくなった。

 こいつらのテーブルを黒川と思って拳固でぶっ叩く。コップからお冷やが跳ねた・こぼれた。


「ふざけんなっ! なにがお礼だよ・戻しただよ!? 上履き盗ったのおまえだろうが腹黒川! おまえら4人もグルだろ・演技だろ!? 下手くそ! 見え透いた芝居で薄ら寒――」


 至近の後藤が立って胸倉つかんできた。ノッポでヒョロい割には握力も迫力も普通にある。


「なにぬかしてんだテメコラ。完全被害妄想系。妄想するならアニメキャラのエロにしとけ」


 赤崎・青山がプークスクス。黒川・前田は無言でにらんでる。

 巡条さんはあわあわ泡食ってた。


「ご、後藤く~ん……? 放してあげて~……」


 後藤は僕を突き飛ばすように手荒に放す。空気は一転、どんより暗く・重くなった。


「そ、それじゃあ私たちはこれで~」

「…………」


 もやもやしたままレジへついていく。だっていわれなきお礼だ・お金だ……。

 なのに当の巡条さんは気にしてなかった。どころかいくらか僕をたしなめる。


「あんなに怒ることないじゃな~い。けれど私を思ってだったのよね~? ……ありがと~」


        ◎


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