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24JK  作者: 百雲美呪丸◎
三章
24/214

第5話「雪佐くんはイタリアンってどう~・好き~?」

「1600年、なんとかの戦い……有名なあれよね~、関ヶ原のあれよね~」

「うん」

「なんて言ったかしら~、てん……天――下? 天下……わ……わかめ! 天下わかめ~!」

「うん」


 僕は弱い・情けない。ふたり以上にボコボコにされたんじゃ言い訳できた・いじめと言えた。前田の言うとおりザコぼっちを痛感させられる。浮かれてた。女の子――は失礼か、女の人か、女の人と急に親しくなって舞いあがってたんだ。黒川の言うとおり『彼氏ヅラしていいカッコ』僕のこと気になってるのかなぁ、なら付き合えるかなぁ――じゃないわ。とんだザコ彼氏だよ。腕っぷしさえ強ければいいってもんじゃないけど、巡条さんにはもっとふさわしい男がいる。

 あきらめよう・わきまえよう。


「……聞いてる~?」

「うん」


 おととい僕がしたみたいに頬つつかれた。ギクっと・ドキっとさせられる。


「な、なに!?」

「む~ぅ、やっぱり聞いてな~い」


 頬をぷくっとむっとする。今は昼休みで食べ終わって隣り合って勉強(日本史)やってる。

 ん? 天下わかめって(笑)〝分け目〟ないし〝分かれ目〟だよ、答えは〝関ヶ原〟だよ。


「なにかあった~?」

「え? 別に……」

「本当~? 体育が終わってからずっと変だわ~」

「そんなことないよ、いつもどおりだよ」


 そう言ってもまだ小首をかしげていぶかしげ。眉を・声をひそめて顔を近づけて聞いてきた。


「黒川さんになにかされた~……?」

「さ、されてないって」


 まだ上履き盗られたままだからなにかされてるけど、巡条さんも同じ。そのことじゃない。

 もし嫌な目に遭ったら言ってとお互い約束した。でも前田にボコられたのは自分の落ち度。黒川を怒らせたのは僕だ・暴言だ。怒りに任せて・正義感に駆られて衝動的に挑んでしまった。

 にしてももっぺんケンカ売ったら半殺し――か。取り返さないといけないのに……上履き。そしたらまた難癖つけられる。黒川が裏で糸引いてるな、前田操ってるな。……こざかしい。


「なにもないならいいけれど~……。あっ、そうだわ~、今日は放課後お出かけしましょ~?」

「お出かけ……?」


        ◎


 魔の5時間目も地獄の6時間目も過ぎ、迎えた放課後――


「ん~、どれにしようかしら~。雪佐くんは決まった~?」

「ううん、まだ。……迷うね」

「ね~。遠慮せずに好きなものを選んでね~」


 学校を飛び出してファミレスに来た。対面で座ってメニュー見てる。……普通に緊張してる。

 これも日頃のお礼らしい。週に一度――バイトがない水か木――はお出かけしましょ~と。

 ……これもうデートじゃありません? これから週1でデートしてくれるんですか……?

 サンカレンさま~~~~!


「あの~、連れてきておいてなんだけれど~……私と学校外でこういうの~、嫌じゃな~い?」

「え、ぜんぜん。なんで?」

「その~、こんな制服を着たおばさんとファミレスなんて~……死んでもご免、だったり~?」

「だからおばさんじゃないです、お姉さんです! 風邪でもコロナでも喜んで!」

「ふふっ、風邪でもコロナでも喜んでって~……ふふっ、ふふふっ、うふふふっ」


 ……どかんとウケた。まあ風邪ひいてたりましてやコロナ感染してたら泣く泣く来ません。

 まだ午後4時で客は・活気はなく、しーんとしてる。僕たちのほかにも学生が少しいるだけ。うちの高校の最寄りのファミレスだから同じ制服もいた。けど知らない顔だ(2、3年生だ)。

 上履きは結局取り返せてない。また衝突するのもなんだし様子見しましょ~とお姉さんが。緑ッパあるから困らないにせよ、心は晴れない・気は抜けない。明日はなにが盗られるか……。


「ん~、やっぱりドリアかしらね~」


 このファミレスといえばのイタリア某所風のやつに決めたっぽい。


「雪佐くんはイタリアンってどう~・好き~?」

「うん、普通に好き――かな。ピザとスパゲッティくらいしか食べたことなくて」


 ピザもパスタも大体399円=実質400円。299円=実質300円に抑えたいな。

 よし、決めた。


「このチキンで」


 人気メニューみたいで写真の大きい5つばかりの299円の。

 巡条さんの反応は反対に近かった。


「お値段もカロリーももっと高いもの選んでいいのよ~? 育ち盛りなんだし食べないと~」

「いや、晩ごはんあるし……夕方にあんまり食べすぎても」

「そう~? ん~、わかったわ~」


 少々渋々店員さん呼ぶボタン押した。……499円くらいのハンバーグでもよかったかな。

 注文してあとは待つ。退屈な待ち時間も声を・心を弾ませて、おしゃべり――とはならない。


「…………」「…………」


 お互いうつむいて見れない・話せない……。

 この様子だと本当に恋愛経験ゼロらしい。男は男でも僕みたいな子ども相手に縮こまってる。弟みたいに見て気楽にしてくれたらと思わないでもない。僕も姉みたいに見てあきらめがつく。あきらめよう・わきまえようと決めた矢先にこんなデート――決意がにぶる・思いが高ぶる。

 沈黙は悪いと・つらいと感じたのか、巡条さんはだいぶ無理に口を開いた。


「ワ、ワンちゃんとおサルさんって接点あるかしら~。犬猿の仲って言うけれど~」


 どんな話題ですか・ひきだしですか!? 天気の話しだすよりよっぽどひどくないですか!?


「そ、そうだね。犬と猿を一緒には見ないからね」


 人間界はともかく自然界じゃバチバチにやり合ってるんですかね。


「…………」

「…………」

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