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24JK  作者: 百雲美呪丸◎
三章
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第3話「食べたあとの体育はつらいけれど~、食べる前も結局つらいのよね~……」

 ゴルァの・こて~んの明くる日、下駄箱から上履きが消えた。僕も巡条さんもふたりとも。思い当たる節も奴も黒川しかない。朝っぱらからムカっぱら。即刻返してもらわないと困る。でも巡条さんに止められた。


『きっとまたケンカになっちゃうわ~』


 かといって上履きは……。あ、なら体育館シューズで応急しとこう。そう提案したけどやんわり・ふんわり却下された。


『ん~、体育館シューズを校舎シューズにしちゃうと~、体育館で履けなくなっちゃうわ~』


 つまりが汚しちゃうから~。正直大げさなって思ったけど、そういうところがらしい・優しい。


 1時間目はやむなくふたりして靴下素足だった。男の僕はまだいい、やるせない・許せない。やっぱりなんとか巡条さんのだけは取り返そう。対黒川をあれこれ考えてたら授業終わった。巡条さんは上履きの代わりを考えてたらしい、休み時間になるなり喜色満面『スリッパ~!』教室を出て職員室に行って緑のスリッパを借りてきた・履いてきた。僕の分までありがとう。なんて言ったのか知らないけど盗られたとは口にしてないとか。うん、チクらないほうがいい。チラっと黒川見たら鼻で笑われた。この緑ッパではたきたい。グーパンパンチラキック女め。

 続く2時間目終わりの休み時間はなにごともなく――3時間目が今終わった。次は体育だ。着替えは普通に別々で女子が教室を出てく。巡条さんがひとりになる・心配になる……。


「食べたあとの体育はつらいけれど~、食べる前も結局つらいのよね~……」

「はは……というか何時間目でもつらいよね。わざわざ着替えて外出るの自体」


 そうよね~と同意・苦笑い。じゃあ気をつけてと念を押す。


「は~い。……そ、それでね~? あの~……その~……」


 視線は斜め下に毛先をくるくる言いにくそうにする。いったいなんだろう、かわいいだろう?

 少しのあいだもじもじ・ごにょごにょ。そうして言った。


「せ、雪佐くんって~……脚が~……好きなの~……?」

「え? ……え?」


 二度見ならぬ二度え。やぶから棒になんですか……?


「だからその~……脚が~……なんていうの~……? た……た、たまらないの~……?」


 昨日私のむき出しの脚を穴があくほど見ていたから~!? 私は穴に入りたかったわ~!?


「いや……まあ……はい……。た……たま――らないです……」


 自然と敬語に・Mになる。それはともかく脚っていったら男のフェチの最たるものと思う。まず胸をフェチとして言い張るのは馬鹿げてる。おっぱいなんて誰もが好きだ、ずばり白飯だ。尻はたとえるにパン。主食だから胸と競合してしまう。よって第三軍たる脚が勝鬨をあげる。腕よりもワキよりも、ましてやヘソよりも間違いなく強い。ミニスカート・ホットパンツ最強。


「そ、そう……やっぱりたまらないのね~……。わ、わかったわ~」


        ◎


 なにがわかったのか微塵もわからない……。グランドに出てぼっち、所在ない・心もとない。教室ぼっちは苦じゃないけど体育ぼっちは割とキツい。まざまざ・むざむざ孤独をさらされる。チームスポーツがとくに大嫌いなのもそう。空気とはいえ無理やり輪のなか入れられるから。けど今は幸い陸上競技。50m走だの走り幅跳び・高跳びだのソロだからマシ。今日はハードル。

 女子もそろそろ・ぞろぞろやってきた。ぱっと見ただけですぐわかる、巡条さんはまだだ。ひとりだけ長袖・長ズボン、濃いめというか暗めの赤ジャージだから(学年ごとに色が異なる)。ふたりぼっちなんだし僕もそうしようかな。いや、絶対おそろいコーデとかって笑われる……。


「雪佐く~ん……」

「わっ!」


 消え入りそうで恥じ入ってそうな小声だったけど、後ろから間近で呼ばれてビックリした。

 あれ……群れにいたかな・見落としたかな。


「ご、ごめん、巡条さ――ん……?」

「…………」


 顔も耳も真っ赤にうつむいていて目元が隠れていて、寒くもないのに自分をかき抱いてる。

 なんと半袖・半ズボンだった!


「どっ……ど……どうしたんですか……?」


 Tシャツ・短パンから伸びる肌の白いこと! 昨日のスカートと違って別にエロくはない。見慣れた腕も白くて綺麗としか。考えてみれば体操服に色気はない、巡条さん本人にこそある。

 どうしたと聞きつつ内心喜んだものの――はっとした。


「もしかして盗られた・隠された!? 黒川あいつ……!」

「ま、待って、違うの~……」


 ささやかだけれど日頃のお礼だという。


「お礼? ……お礼?」

「ほら~、その~……お勉強を見てくれる・教えてくれる……お礼~」


 だって脚、たまらないんでしょ~? それはまあ……そうですけど……。


「あ~ん、嬉しくなかった~……? そうよね~、おばさんがこんな、短パンだなんて~……」

「おばさんじゃないです、嬉しいです! や、やったー!」


 苦しまぎれみたいだけどほんとにやったー! ぜんぜん無理ない・遜色ない、ナンバーワン! 女子らは単に好奇の目かもしれないけど、男子どもは好色なまなざしでチラチラ見てきてる。

 そんな視線を巡条さんは否定的に捉えた。


「や、やっぱり変かしら~……。ジャージだったら数年前まで収録で着て慣れっこだけれど~」


        ◎


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