第9話「ほどよくムチムチでつるんつるん・ぷるんぷるん!」(前話と地続きです)
え……!? ほらやっぱり! やっぱり僕のこと気になって……!
「いや、ぼかしてもバレバレ。転校生っしょ?」
こっちを見てくる・指してくる。よくまあぬけぬけと・いけしゃあしゃあとでかした青山ぁ!
「ん~、ふふっ……雪佐くんじゃないわ~」
え……? じゃないの・誰なの……? チラチラ見てくるのはなんなの、勘違いなの……? そんなはずは――ない。真横にいるんだ、ヒトの視野は180度超なんだ。僕は見られてる!
「毎日ベタベタしてんのに違うのか。――残念っしょ?」
「な、なにがだよ」
残念だったよ! だからってめげない・あきらめない! 巡条さんに彼氏がいない限り!
黒赤はもう食べながらスマホ見てた。おばさんの意中の人とか興味なぁしと言わんばかり。
「あら~、りかちゃんね~!」
隣の赤崎のスマホ画面を覗き込み、声を弾ませる・顔を輝かせる。
「りかちゅー知ってるのぉ?」
「ええ、知っているわ~、応援しているわ~。赤崎さんもりかちゃんが好きなの~?」
「好き好きぃ。10代女子みんなのあこがれぇ」
たぶん〝りかちゅぴ〟ってギャル系モデルのことだ。近年タレントとして売れに売れてる。僕でも顔が・名前がわかるくらい、色んなメディアに引っぱりだこと思う。本名平凡と思う。
「まぁ~、10代女子みんなのあこがれなのね~」
他人事じゃなくて自分事のように繰り返した。加えてぼそっと「立派になっちゃって~」
「てかおばさんも結構スタイルいいよねぇ。身長いくつぅ・バストいくつぅ?」
「身長は166センチよ~。バストは~……」
男の僕を気にして言いよどみ、微笑でうやむやに。いや、まあいい。166ってまあ高い! まあ高いからロングスカートでも様になってる。赤崎みたいな小さい奴はまあ着こなせないな。
「マジで166? 絶対あたいより微妙に高いっしょ」
ちょっとこっち来て並んでって手招きする。青山おまえ、一人称〝あたい〟だったのか……。
背の高いふたりが僕の右手に向かい合って立つ。あたいは168らしい。
「あ、マジか。おばさんのが微妙に高いと思ってたわ。年上だからだわ」
さりげなく毒づいてると思うけど巡条さんは気にしない。青山のスカートを気にしてた。
「それにしてもとっても短いわね~……。見えないように注意しないと~」
「はいはい、にしてもおばさん長すぎっしょ。まくらせろ」
「え、え、え~……?」
足首手前まであるスカートが巻き上がってく。やれ! じゃない……やれめろ! やれろ! 巡条さんは困ってはいるけど嫌がるまではいってない。なので――やれ! いっけ~~~~!
「青山さ~ん、もうやめて~。ひ、膝を越えたわ~、恥ずかしいわ~……」
長い・白い脚がももまでむき出しになった……!
「よし、こんなもんっしょ。いいじゃん、脚キレーじゃん。――マナ・モモナどうよ?」
「やばぁい・えろぉい!」「…………」
赤崎は称賛する・黒川は無視する。そして僕は普通に興奮する……。
ほっそりしつつもそこは〝太〟もも。ほどよくムチムチでつるんつるん・ぷるんぷるん! ソックスはなんでもない紺のやつだけど、24のお姉さんが履いてると思うと――エロい……。でもまあなにが一番エロいって――普段隠れてるとこがももの半分までも丸見えって……!
「ぷっ! 転校生見すぎっしょ」
「せ、雪佐く~ん……見ないで~……」
ご、ごめんとさっと目をそらす。恥じらいに恥じらって『見ないで~』ってそそります……。
巡条さんはスカートをすぐ戻し、席に戻った。ごちそうさまです、満腹じゃなくて眼福です。
「い、今のは忘れてね~? お見苦しいものを~……」
忘れないよ・お見苦しくないよ、あんなお美しいもの!
食事を再開、赤青は引き続きよく絡む。巡条さんを小馬鹿にして悪意はあるけど敵意はない。かたや黒は明らかに嫌ってる。彼氏(前田)が最初に惚れたことが悔しいんだ・妬ましいんだ。
「マナもミナも遅すぎ・しゃべりすぎ」
愛想も会話もないから真っ先に食べ終えた。一見なごやかムードもトークもここに終わる。
「おい転校生、これ。返してほしくないわけ?」




