第5話「で? 合法JKどう?」
大忙しの20時台を乗り切って~――21時になったわ~。脚はぱんぱん・おなかはぺこぺこ~。薄青の三角巾・臙脂のTシャツ・黒の腰エプロン・薄茶のパンツの4点セットからお着替え~。私服に戻りま~す・まかないいただきま~す。まだ働いている鈴木さんの目が怖いで~す……。
「こんばんは。って、花恋スト~~~~ップ!」
「あら~、舞歌~!」
ひと口目を食べようとした間際~、大の親友・戦友が来てくれたわ~。
木庭舞歌、24歳・受付嬢さ~ん。私と真逆でキリっとしたお顔の美人さ~ん。ショートカットで・男勝りでさっぱりしていて~、お仕事は完全に猫をかぶっているみた~い。小学3年生のときに出会って以来の仲よしさんで~、14歳~19歳まで苦楽をともにしたの~。
「よっ、ちょっと久しぶり。あんたんとこであんたと飲みにきたよ」
テーブルに移動して対面で座ったわ~。お客さんが減って空いてきたのでご容赦くださ~い。けれどついさっきまで働いていたから抵抗があるわ~……。鈴木さん、私はお構いなく~……。
「とりあえずビールとたこわさで。――花恋は?」
「え~? これがあるから要らないわ~」
名づけて欲ばり余りものどんぶり~。色んなお肉・お魚・お野菜が~、てんこ盛りなの~。余りものっていってもとっても豪華で・贅沢で~、メニューにしたらいいお値段しちゃうわ~。
「ビールは? 今回こそいいでしょ?」
「嫌よ~、飲まないわよ~」
アルバイトをあがるなりお酒はさすがにね~……よそのお店ならともかく~。
なのに舞歌ったら頼んじゃった~! にらまないで~・責めないで~、鈴木さ~ん……。
「も~ぅ、立場がないじゃな~い」
「一杯くらい付き合ってちょうだいよ。で? 合法JKどう?」
「……わざわざ合法ってつけないで~」
私が学校の男の子とどうにかなっちゃったら違法でしょ~。
「どうもこうもないわよ~。おばさんはひとり寂しいだ~け」
「……まだそんなこと言ってんの? もったいな。失った青春、取り戻さなくてどうすんの」
「取り戻さないといけないのはお勉強~。舞歌は簡単に言うけれど~――」
16歳って若いんだから~・すごいんだから~! 体操服着てマット運動なんてするのよ~!? 脚が惜しげもあられもないのよ~!? なにより私は20世紀人・みんなは21世紀人なのよ~!
「あっはっは! た、確かにそうなるけど……8歳差が100歳差に聞こえるわ……ははっ」
ビール2杯とたこわさがきたわ~。私と入れ替わりで21時からの子がご丁寧に~。
「そもそも青春、失っていないわ~。みんなと駆け抜けた6年間がそうだもの~」
「はっ、あっけな・男っ気な。花恋ってどうかしてたよね。良くも悪くも」
ジョッキをこつんと乾杯~、ごく、ごく、ぷは~! 私じゃなくって舞歌の飲みっぷり~。
「誰かさんはちゃっかりしていたわね~。男の子と遊んでいたり大学に行ったり~」
「男遊びはそうよ、ちゃっかりよ。でも大学はちゃっかりでもなんでもない。そりゃ行くわ」
だからこそ私はどうかしていたのよね~……。けれどあの頃は本気で~・愚かで~……。
「けどまあ24で高校生ってうらやましいわ。あーあ、過去に戻りた・あんたになりた」
受付嬢とかつまんねーわ・やってらんねーわ、日がなニコニコしっぱなしで表情筋死んだ、あんのクソハゲ色目使いやがって・あんのクソアマ自慢話しやがって――止まらないわ~!
「ほ、ほら、飲みましょ~・食べましょ~? お仕事ご苦労さま~」
もう一度かんぱ~い。先に一回飲んでいなかったらこぼれたわ~……ごっつーん!って~。
私は欲余丼をいただいて~、舞歌はたこわさぱくぱく~・おビールごくごく~。
「すいませールわりー!」
「……なんて~?」
ビールのおかわりとモツ煮・塩辛も頼んだわ~。当店のオススメでハマってくれたみた~い。
舞歌とこちらで食べるのは~、ん~、三度目ね~。私が春先に働きはじめてすぐに来て~、夏休みに入ってまもない7月下旬が前回で~、2か月経って『ちょっと久しぶり』の今回~。お互い近況を報告したり~、思い出話にお花を咲かせたり~――大人になっちゃったわ~……。
お酒もお箸もお話もどんどん進んで~――
「花恋あんたいつまで処女でいんの! その辺の男にズボって・ビュルってしてもらいな!」




