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24JK  作者: 百雲美呪丸◎
二章
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第3話「ふ、りょ、う。私、不良だったの~」(前話と地続きです)

「前田……?」

「ええ、私に告白してきたの~」


 前田ぁ!


「1学期は毎日のように話しかけてきて~、カレンちゃんカレンちゃんっておしゃべりで~」


 前田ぁ!


「断りきれなくてお昼も一緒に食べていたわ~。後藤くんも加わって楽しいお話してくれて~」


 前田ぁ・後藤ぉ!


「そんな感じで7月に入ってね~、『オレと付き合おうぜ・夏休み遊ぼうぜ』ってきたの~。けれどその~、お付き合いしたいっていうのは~……ッチなことをしたいわけじゃな~い? でも私は成年で~・前田くんは未成年で~、ごめんなさ~いって歳を明かしてお断りしたの~」


 ま~~~~え~~~~だぁ~~~~! お~~~~ま~~~~え~~~~だぁ~~~~! おまえが後藤とか黒川にしゃべって広まったんだ! 巡条さんが24っておもしろおかしく!


「私がおばさんで前田くん引いちゃったみたいで~、それ以来話しかけてこなくなったわ~。その数日後だったかしら~、黒川さんと仲よしさ~ん。お付き合いしはじめたみたいなの~」


 片手を頬にうっとり・ほっこりしてる。まるでいいわね・アツいわね~と祝福するかのよう。


「……あのふたりのことってどう思ってるの?」

「ん~、前田くんは明るくてやんちゃな男の子~。かっこいいし男気~? があると思うわ~。黒川さんも明るくてかわいい女の子よね~。こんがり焼けていて私なんかよりセクシーよ~」

「…………」


 聖女でしたか。サン(聖)カレンさまとお呼びし・お慕いし、終生崇めたてまつります……。

 だって黒川なんて今日さんざん悪口言ってた奴だよ? それを『明るくてかわいい女の子』? 器でかすぎ・人間できすぎ……かえって心配になる。なにされても笑って許しそうな優しさが。


「巡条さんのほうこそもし嫌な目に遭ったらちゃんと言ってね? ぼ、僕が……力になるから」


 思わず口走ってしまったけど――て、れ、く、さっ・せ、り、ふ、く、さっ!


「まぁ~、頼りにしているわ~」


 無駄話もほどほどに勉強を再開する。一方で今の話から読み取れたことが頭から離れない。

 告白されてわざわざ年齢を持ち出して断ったということは、一に彼氏がいないということ。いるなら普通に言うだろうし、いなくても嘘で言っていい。偽れないから歳を明かしたんだ。そして二には前田のことがまんざらでもない可能性。ッチなことはできないからと断ってる。生理的に無理ならそこまで配慮は・想像はしない。それにはっきり『かっこいい』と評した。

 ……これはやってられない・聞かずにはいられない。以上、一・二を遠回しに聞いてみた。


「彼氏なんて今までひとりもいないわ~。だから私も16歳ならお付き合いしていたかも~」

「へ、へー。前田みたいなのが……タイプなんだ」


 ああそうですか、結局そうですか……! 悪い・強い・チャラいの三拍子がいいんですか!


「ん~、とくにタイプっていうわけじゃないの~。私、押しに弱いから~」


 強引で情熱的なら変な話、女の子でもまいっちゃうという。恋愛経験ゼロなのとはにかんだ。

 そこで話は終わったけど、つまりはおそらくは男性経験ゼロ。ますます聖女味増してきた。サンカレンさまは押しに弱いとおっしゃる。頬つつくくらいで勇気いるようじゃダメだ……。気安くカレンちゃんなんて僕には呼べない。けどときには『強引』に・『情熱的』に――押そう。法にも体にも触れないと固く誓う。ッチなことを抜きにしても好きなんだ・付き合いたいんだ。

 16時半になると巡条さんは切りあげた。17時からのバイトに行かないといけないと。


「今日は色々ありがと~。雪佐くん、お礼になんでも言って・聞いて~」


 な――なんでも言って・聞いて……!? スリーサイズ教えてください、脚出してください、髪ほどいてみてください、手を握ってください、連絡先交換してください、僕と付き合――


「24歳にもなってどうして高校1年生か――気にならな~い?」

「へ? あ、うん……気になるけど……」


 それって聞いてもいいの……? 暗い・重い話とかじゃない……?


「うふふ、暗くも重くもないわよ~。実は~――」


 僕の耳に口を近づけてなまめかしくささやいた――「ふ、りょ、う」


「っ……」


 たった三語だったのに吐息で・芳香でそれどころじゃない……。今なんて? ひにょう?


「ふ、りょ、う。私、不良だったの~」

「不良……?」


 にっこりうなずく。巡条さんが……? 黒川みたいに――いや……それ以上だったとでも?


「本当に高校1年生だった16歳から去年までグレていて~、8年ぶりに学校に復帰したの~」


 ……はい? あ――お母さんに勘当されたって……長いことグレてたから?

 この人めちゃくちゃ綺麗だけど――はちゃめちゃやばいかもしれない……!


「だからその~、中学生の頃の英語なんて10年も前で~……」


 ぜんぜん覚えてなくてと恥じ入った。英語に限らずほかも同様で、それで成績が悪いらしい。


「そ、そうですか。な、なるほど、でしたら仕方ないですね。ドアイフフアイクルトですね」

「あ~ん、怖がらないで~・かしこまらないで~……。ディフィカルトでしょ~……」


 不良といっても喧嘩上等・暴走三昧だったわけじゃなく、虫の命も信号も守ると釈明した。


「それであの~、くどいとは思うけれど~……私が不良だったって聞いてもだいじょうぶ~?」


 年齢の暴露は二回目だけど、過去の暴露はこれが初めてとか。引いたかどうか確認してくる。


「ひ、引いてない引いてない。24って以上にビックリしただけで……」


 過去がなんだ、答えは・心は変わらない。巡条さんの助けに・恋人になりたいんだ。


「歳も昔も関係ないよ。僕でいいなら休み時間も放課後も勉強見るから」

「雪佐く~ん……!」


 両手をぱんっと・顔をぱあっと大歓喜、僕の手ぎゅって握ってくれた。……口に出てました?


「それじゃあ私行くわね~・明日もよろしくね~。お疲れさ――じゃなくって~、バイバ~イ」


 左肩に流したまとめ髪を跳ねさせて出ていった。巡条さんの手……すべすべだったなぁ……。


        ◎


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