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24JK  作者: 百雲美呪丸◎
八章
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第16話「……キュンってしちゃったわ~」

「くっ……!」


 両腕で防ぐ。青山は∞でも描くようにほうきを振りまわす。痛い・硬い……突破できない。毎日寄ってたかってこんなのやられてたなんて……赤青はもちろん、巡条さんも腹立たしい。罰は受けないととか言ったけど、いつまで受けるつもりだったのか。青いあざになってまで。

 モモが「そのまま耐えろ!」と一喝して、音から察するに戸を開いた。たぶん掃除用具入れ。

 青の手が止まる・目がまる。


「ちょ、待っ――」


 にび色の物体が飛んできて胸に当たった。床に落ちて金属質な騒音を立てる。ちり取りだった。容赦ないモモはひるんだ青を飛び蹴りでぶっ倒す。トイレの不潔な床に馬乗りで組み伏せた。


「シネっ!」


 手近なところに落ちてた鉄の塵取りを再び引っつかみ、顔目がけて振り下――


「やめて!」


 巡条さんが手首を取って阻止した・制止した。憤怒のモモは「ああん!?」とイライラいらえる。


「そんなことしちゃダメ!」

「そんなことされてただろうが! アタシもタクぐらいアンタにムカつ――ごふっ……!?」


 青山が隙をついた・腹を突いた! 同じく手近なところに落としたほうきをつかんで……!


「塵取り投げるとかやばいっしょ……やってくれたっしょ!」


 ひるんだモモを両手で突き飛ばす。すっと立って巡条さんを後ろへ押しやった。


「マナ! おばさん入れて立てこもり!」

「りょ、りょうかぁい!」


 赤崎が戸を開けて個室に引きずり込もうとする。さすがの非暴力聖女も抵抗くらいはする。


「やめて! ケンカしちゃダメ!」


 こっちに向かって悲痛に・必死に訴える。赤の両手を振り払おうと闘いながら・涙ながら。

 僕はモモを案じつつ再突進、また∞叩き。塵取りでもなんでもいいからもっかい投げてやれ! 言わずとも知れたようで用具入れに走った。青の顔色が・攻撃が変わる。:みたいな二点突き。


「馬鹿が、それなら取って奪――かはっ……!」


 普通に腹突かれた……。敵の武器奪うとか至難だ・自殺だ……スーサイド、だったっけ……。

 僕が膝から落ちたとき、巡条さんが赤の手を振り払った。

 青が額目がけてビリヤードみたいに突こうとほうきを引く。


「やめて~~~~!」


        ◎


 休戦協定ってこんな感じなんだろうな。お互いまだ剣を抜いてるけど、ペンを走らせるんだ。


「も~ぅ、にらみ合わないの~。笑顔笑顔~」


 両の人差し指で頬を突いてニコニコ小首傾げる。黒川にキっツいって言われたあのポーズ。


         誓    約

    一、巡条さんを二度といじめるな

    二、その代わりぃ謝らないからぁ


 稚拙だけど・簡潔だけど文書にした。黒板横に貼ってる適当なプリント取ってきてその裏に。


「これでいいのね~? は~い」


 僕らはピリピリしてるのにおっとり貼りなおしに行く。わかってないけど条文を批准した。


「あそこに書いたこと守れよ。忘れんなよ」

「はぁいはぁい。そっちこそぉ恨まないでよぉ?」


 謝らない=非はない、恨まれる筋合いはない。僕と黒川はすっきりしないけどこれが折衷案。


「それじゃあこのまま五人で食べましょ~」


 レンちゃんひとりが四人を見渡せる主人的位置に、僕と赤・モモと青が対面の凸字会食に。黄緑は逃げたしまあいいかなってところ。松本・竹田・梅原とあっちで食べててなに食わぬ顔。


『やめて~~~~!』


 僕が額を突かれる間際、塵取り拾って青山の頭ぶっ叩いた! 本人含め全員びっくりした。守ろうととっさにやったようで深く謝る。鉄でぶたれて大ダメージで勝負あった。赤崎も降参。謝れ(僕)・くたばれ(萌)と迫るも応じない。今日は負けでいいけどやり返すとかほざいて。見かねたレンちゃんが当事者ながら調停しだす始末……今しがたの誓約一・二にすり合わせた。


「ふたりともありがと~、それからごめんなさ~い……。自分に優しく――忘れていたわ~」


 どうなってもいいなんて無責任よね~。それってもう自己犠牲じゃなくって利己犠牲ね~。


「なーんか賢そうな名言出たじゃん。頭んなかフラワーバカなのにさー?」

「フラワーバカってなによ~! あっ、そうよ~、クマく~ん!? オムツ味ってなによ~!」


 オムツ味……? ああ、おつむ悪し! 勢いでお人よしと語呂よく言った適当な言葉だよ。


「意味は……うん、フラワーバカ」

「ひど~い! ……もう怒ってな~い?」

「怒ってないよ。ごめんね……こいつに言うみたいにきったない口きいて」


 当然頭バシっ! すぐになでなでしてくれて、ぼそっと「……キュンってしちゃったわ~」

 ……赤青が見てるのにふたりで照れた。さっさと食べてはや解散、レンちゃんはダンス部へ。僕はトイレって嘘ついて姿くらます。悪く思うなモモ……彼女との約束だから仕方ないんだ。ブチギレルインが――来ない。5分10分経っても。性格的に・習慣的に考えて――おかしい。

 なんかあったか……?

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