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24JK  作者: 百雲美呪丸◎
八章
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第13話「イェーイ! アンタのタマ取ったー!」

 パーでぱーんとはたいてばらばらばら。急に飽きて崩すな……負けそうになったからだろ。

 体育も食事も終わって昼休み、モモとジュンガ。レンちゃんは今日も今日とてダンス部へ。文化祭での活躍を見込まれて・見惚れられて、冬休みまで特別コーチとしてスカウトされた。昨日はこいつと見学に行ったけど、気が散るからもう来ないでとプロ意識。というかモモ意識? 僕と隣り合ってるだけでムカムカするという。萌々太郎だったらよかったわ・許せたわ、と。つまり男だったらって意味だった。桃太郎じゃなくて鬼だよ。赤鬼・青鬼従えてた黒鬼だよ。

 僕が仮に拓美(女)だったら――恋という角が立たなくて最善・安全だったかもしれない。


「ジュン合戦しよー」

「は?」


 残存ジュンガを取って投げてくる。なくなるとばらばら落ちてるのを拾って。


「なんだよ・やめろよ……」

「やれよ。張り合いないっての」


 やれっていうからやってみて悟った――ジュン合戦って雪合戦! いつ・どう終わるんだ! けらけら・へらへら笑って楽しそうにしてる。こっちは学ランで分厚いからダメージ少ない。


「ぜんぜん効いてないじゃーん。顔狙うわー」

「顔狙うな……危ないだ――ろっ!?」


 顔面に全面的に飛んでくる! 避けたら後ろに飛んでくし、拾いに行くの面倒だしやめろ!


「っ……! おまえな!」


 鼻に当たってむしゃくしゃして顔狙いでやり返す。女だからって関係ない、が、当たらない。


「アハハ、むきになってキっモー! ワールドワイドにウケるー!」

「おまえにしかウケるか! いや、ウケんな!」


 待った――めちゃめちゃイチャイチャしてない? こんなとこレンちゃんに見られたら……。


「…………」


 ぽいぽい投げるのやめて拾いに行く。自分が投げた分もこいつが投げた分も。


「いきなり黙ってなに? おいコラ」

「ジュン合戦はやめだ。おまえの勝ちな」


 拾い集めて机の上に雑に置く。黒川に対して半身に座ったら、廊下際の赤青と目が合った。ニヤニヤ見てて気が悪い・ばつが悪い。最近僕らを頻繁に見てる気がする――不快だ・不穏だ。


「じゃあなにすんの?」

「なにかしないと駄目なのか? 疲れたから寝させてくれ」


 机に突っ伏して寝たふりする。ひとりぼっちの頃はよくしてたな……昼休み長かったな……。

 予想も警戒もしてたけど頭バシっ! 無言で席を立って僕の横を通り過ぎた。

 斜め後ろで立ち止まってるのか気配が遠のかない。少しして厚かましく・やかましく言った。


「ねー、それやらせてー! おねがいおねがいおねがーい!」


 英くんがたぶん面食らって了承して、モモが僕を叩いて起こす・急かす。


「それも席もゆずってー。代わりにこっちでジュンガしてていいからさー」


 岩田・石田・英くん・米くんに偉そうに言い渡す。四人はいつも昼休みは将棋を指してる。左右と鬼ごっこしてたひと月前を思ったら、柔道と剣道はまったく文化的に・静的になった。


「勝手に決めんなよ……迷惑かけんなよ」

「はぁ? メーワクってなにが? ――アンタらもたまには違う遊びしたくなーい?」


 意外と四人とも狂犬の強権をありがたがった。四人で同時にできるから悪くはないのかな。石田の与尋が黒川の席に座る。ぬくいのが本人を感じるのかにやけた。……ちょっとキっモ。


「で、これどうやんのー?」

「知らないのにやりたいのかよ……」


 知らないからやりたいんじゃんって駒も一理もぶつけてきた。……王将投げんな。


「これを取ったら――取れる状況になったら――勝ちだ」


 歩から飛車角まで並べる。こいつも見よう見まねで対称に配置した。いざ開戦で僕から指す。


「歩は基本の駒で前にひとつ進める」

「ふーん。てかホじゃん」


 フなんだよ。お互いちまちま歩兵を前進させる。飛車角はまだ動かさない、説明もしない。

 両軍ともすべての歩がひとマス進んだところでイライラして言った。


「コイツらなんなの? ちんたら歩いてないで走れっての」


 三マスも進めんな! 徒歩かちの兵ってだけであって、生き死にかかった戦場で歩くかぁ!

 まずは歩の取り合いでもしたかったのに、退屈してやめそうだからほかの駒を紹介しだす。やっぱり派手に動きまわれる飛車角が気に入った。ぜんぶこれでよくなーい? よくないわ。


「王様はどんな感じで動けんのー? 一番偉いからどこでもワープとかー?」

「王は王でも魔王かよ……魔法かよ。それができたら一兵も要らないな」


 全方向ひとマス進めるって教えたらザっコ・しょっぼ。積極的に動かす駒じゃないんだよ。

 こんなド素人にどうやっても負けるわけないけど、機嫌損ねたら怖いから勝たせてやった。


「イェーイ! アンタのタマ取ったー!」


 玉(玉将)と書いてギョクなんだよ……。思いのほかハマったらしい・楽しかったらしい。すぐもう一戦やって今度はおそるおそる勝ってみた。悔しがってキレてめんどくさくて……。三戦目は途中でチャイムが鳴って引き分け。明日――は土曜か、来週もやろーって勝手に決定。

 熱くなった僕らとは対照的に、戻ってきた巡条さんはどこか冷たかった。


        ◎


 昼休みとバイトの日の放課後は仕方ないよ。僕の気持ちは移ったりしないから心配ないよ。

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