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24JK  作者: 百雲美呪丸◎
八章
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第12話「太平も本日をもって終焉か――次はあなたか」

 そうだ、太平だ。走りまわってぶつかって踏む牡も、『調子乗んな』と威嚇する牝もいない。ギャルの子はわたしたちを『メガネとデブ』と呼称するが、端的な・外的な事実だ、認めよう。差別的に・侮蔑的に呼べばいい。植物ゆえ牙も爪もない。代わりといっては毒がある。猛毒が。


「美桜ちゃん……守備……やりたくないね……」

「本当にね。とりあえず早く自分のポジションについて。あなたはライト・わたしはレフト」


 太平だったことに加え、この子と女の人に見透かされているから近頃は大人しくしていた。気に障る事象が・人物がないわけではない。神経質なわたしの不満・憤懣は枚挙に暇がない。事象でいえば今がそうだ、体育だ。よりによって今月に入ってソフトボール。冗談じゃない。


「カレーン! もっと腰落とせってのー!」

「腰を落とす~? こう~?」

「空気イスじゃん! ボケんな・ざけんな!」


 赤の他人らとチームスポーツを強制されたくはない。信頼感も連帯感もありはしないのに。

 女の人はあえなく三振して、わたしもあの子も安堵した。ボールが飛んでこなくてほっと。


「アンタいつになったら打てんの? やる気あんの?」

「あるわ~、当たらないの~! ――みんな~、足を引っぱってごめんなさ~い……」


 毎度謝っているがわたしたちと違って許されている。九番の彼女の次は一番、ギャルの子。


「まーでもこっから、アタシからシテンノーだからー」


 目立った・主だった相手チームの人員は、運動部で長身の黄島・緑原、それに青山・黒川。四天王かなにか知らないが、確かによく塁に出る・点になる。ボールが飛んでくるから脅威だ。

 実際飛んできた。わたし目がけて落下するから回避する。なんと野蛮な・危険な球遊びか。


「捕、れ、よ……!」


 人物でいえば奴がそうだ、松本だ。内野でショートでやや離れているがはっきり聞こえた。

 こちらの人員の主力にして主役は松本・竹田・梅原。ソフトボール部・陸上部・陸上部で、日頃は黄島バレー緑原バスケ昵懇じっこん。奴は自身の部活だけにキャプテン気取り。勝ちにこだわっている。

 続く二番青山があっさりアウトで攻守交替。打順は七番赤崎から。八番わたし・九番あの子。


「かよわいから無理ぃ」

「ドンマイドンマイ!」


 格上は励ます一方、格下のわたしたちが三振すれば――


「打、て、よ……!」


 あからさまに腹を立ててわたしも腹が立った。太平も本日をもって終焉か――次はあなたか。


        ◎


 謎のイベント、一日萌花から三日後の12月16日(金)。4時間目・体育で男子はサッカー。女子はグランドの反対側でソフトボール。巡条さんだけジャージの長ズボンで遠目でもわかる。


「ケーイ!」

「ウェーイ!」


 右京が後藤にパス送る。前後は絶交して左右は前田についたけど、わだかまりはないらしい。

 1軍と2軍が球を蹴ってる・追ってる。僕ほか3軍は論外・戦力外、寒空ウォーキング。個人種目はまだしもチームスポーツはたまったもんじゃない……授業でこんなのやるなって。こっちはまだいい、参加しなくていい。あっちはいわばターン制だから順番がまわってくる。打つのはもちろん、守るのもそう。自分のところに飛んできたら難なく取らないといけない。打てなかったら・取れなかったら責められる。責任が個人に集中するようなヤツやるなって。


「まってまって~!」


 ライトのレンちゃんがエラーしてボールと追いかけっこ。責められてないかな……。


「セッター!」「セッター!」


 ぼーっとあっち見てたらボールが足もとに。気づけば自チームが攻められててゴール間近。慌てて適当に蹴ったら敵の前田の手――厳密には足――に渡った! そしてシュート……! キーパーが止めて高く・遠く蹴って仕切り直し。僕に怒号を飛ばした右後は再び攻勢に転じた。

 シュート決まってたら責められてたな……。サッカー部の右京がキャプテン気取りでうざい。


「雪佐くん」


 英くんがにこやかに・爽やかに話しかけてきた。ちゃんと参加してるのに気づけば目の前に。身長は165くらいで丸顔で、部活は軟式のテニス部。頭いいし感じいいし普通にモテると思う。


「ちょっといいかな」

「なに?」

「巡条さんって小林さんと仲いいの?」

「どう――かな。悪くはないと思うけど」


 間があってなにかためらって、「ごめん、なんでもない」って攻勢に加勢しに走って行った。

 ……なんだったんだろう。人もボールも時間も過ぎてった。終わってふたりと合流する。


「ねータク聞いてー、カレン下手すぎてさー」


 背中バシっ! 巡条さんはうめいた・よろめいた。威力どんだけだよ……加減も謝罪もしろ。


「マジでごめん……んーな強かった?」

「いいえ~、いつもどおりよ~、気にしないで~。寒いからかしらね~、それで痛くって~」


 寒いから――なんかじゃなかった。僕もモモもこのときはまだ気づかなかった。


        ◎


「ジュンガ飽きたー」

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