小さな主張
あ、すみませーん、近所のものなんですが。あの〜、工事しようとしてるところ申し訳ないんですけど、家を建てるの辞めてくれませんかね?
いやいや、「えっ?」じゃなくて。そもそもここ、僕達の土地なんですよ。それを了承も得ないで物を建てようとするってのは道理が通らないでしょうよ。
あ、もしかして知らなかったとは言わないですよね?だって見えてるじゃないですか、僕らの家。それを見えてないって言うのは無理がありますよ。てか、僕達の家を取り壊そうとしてましたよね?どれだけ悪質なんですかアナタたち。
「お前らのことなんかいちいち気にしてられない」?「こっちも仕事」?何てこと言うんですか!!こっちだってね、必死に働いて生きてるんですよ!?それを僕達がか弱いのをいいことに好き勝手やるっていうんですか!?
あー、分かりました分かりました。そうやって見た目で差別するんですね。だったらこっちも考えがありますよ。そっちが勝手に家建てるって言うんだったらね、こっちだって仲間連れてきますから。僕達の仲間にね、スペシャリストがいるんですよ。家を破壊するスペシャリスト。
そうですそうです。よく分かってるじゃないですか。そうですよ、彼らです。「それは困る」?「人の家を何だと思ってるんだ」?何言ってるんですか!先に家を壊そうとしたのはそっちでしょうよ!それを棚に上げて、自分達の家はダメだなんて身勝手にも程があります!!
「わかった、一度会社に相談させてくれ」?はぁ…しょうがないですね、いいですよ。但し、改善されなかった場合は裁判も考えますからね?いいですか?…全く人間ってやつはどうして他の種族のことを考えないかね…。
「…と、言うわけでクレームが入りました…どうしますか社長?」
「またか!…あ〜、もう嫌んなっちゃうよなあ…突然変異で蟻が言語を話すようになってから、どこに家を建てるにも一苦労だよ。無理に建てようとすればシロアリを呼ぶと脅してくるし、最近では知恵をつけて裁判なんて単語も出しやがる。最初は物珍しさにそそられたけど、こんなことならアイツら、何も喋らないままの方がよかったなぁ…」




