表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/56

真犯人は?

 ある日、僕は死んだ。そして今日は僕のお葬式が行われている。


 すると両親の目の前に、同級生だったタケオがやってきて、土下座をして叫んだ。


「ごめんなさい!!俺が、俺があんなことをしたばっかりにケンジは死んじまったんだ!!」


 それを聞いて、式の参列者がギョッとする。


「…タケオくん、どういうことかな。君とケンジは友人だったと聞いているが」


 父さんは静かに、タケオへと問いかけた。


「お、俺!アイツが死んだ日の前日!アイツに石を投げたんだ!硬い石を!!アイツが俺の言うことを聞かないから…きっと、あの怪我が原因で、俺、殺しちゃったんだと思う!!」


「君──」


「それは違うわ!」


 父さんの言葉を遮って、否定の言葉を吐いたのはサヨコだ。


「アタシが殺したの」


 まさかの殺人対抗馬が現れ、参列者達のざわめきが起こる


「どういうことだい、サヨコちゃん。君はケンジの彼女だったはずじゃ?」


「アタシね、ケンジくんが他の子と話してたからって、ケンジくんを呼び出して、階段から突き落としたの。ケンジくんが死んだ日の前に。多分その時頭を打ってたから、それが原因で死んじゃったんだと思う。アタシよ、アタシが悪いのよ!」


「そんな──」


「待って、あなた」


 またまた父さんの言葉は遮られた。しかも、今度は母さんだ。


「まさか、お前…」


「……そうよ、ケンジを殺したのは私なの」


 父さんの顔面が、雪のように白くなってゆく。


 とんでもない大穴の登場に、もはや葬式どころではないと、参列者達は食い入るようにやり取りを見つめる。


「どういうことだ…」


 掠れる声で、父さんは母さんに尋ねる。


「私、あなたにも言ってない借金があったの。ホストクラブに入れ込んじゃって。もうどうしようもない金額に膨れ上がってるんだけど、どうにか返さなきゃって」


「ホスト!?お前何でそんな所に!!」


「あなたが悪いんでしょう!?家庭も顧みずに仕事仕事仕事!!!ケンジのことだって、イジメられてたのも知らないでしょ!?そこにいるタケオくんもサヨコちゃんも、友達や彼女なんかじゃない!!!イジメの首謀者よ!!!ケンジはいつも言ってたわ『学校に行くのが怖い、死んでしまいたい』って!!!」


「──だからって、殺したのか」


「そうよ!!ケンジの保険金が入れば借金を返せると思ってね!…あの日の前日、お夕飯に毒を混ぜたわ。それで帰ってくるなり部屋に篭ったケンジに、『夕飯置いとくわね』って言ってドアの前に置いたのよ。そうしたら翌朝、ケンジは死んでたわ」


 母さんの証言に、その場にいた誰もが絶句した。しばらくすると、凍った時を動かすように、誰かが「なんて悲惨な事件なんだ」と呟いた。


「── 一つ、聞かせてくれ」


 頭を抱えて座り込んだ父さんが、僕を殺したという3人に問いかけた。


「何故、君達はケンジを殺したと打ち明けた?黙っていれば誰にもバレなかっただろう?」


 3人は口を揃えてこう答えた。


「ケンジが死んで罪悪感が湧いてきた。かわいそうだと思った。だから、自ら話すことにした」と。




「ほう、こりゃ珍しい。3人もの人間がお主を殺したと言うておる。で、お主は結局誰に殺されたのじゃ?」


 神様がそう聞いてきたので、僕は答えた。


「いえいえ、自殺ですよ。母さんが僕を殺そうとしていたのは知っていたから、料理には手をつけず、毒自体を盗んで服毒自殺をしたんです。

 

 …でも面白いなあ。人って、生きている時よりも死んでからの方が気にかけてもらえるものなんですね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ