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協定

 領と領、国と国とが協定を結ぶには、お互い利益のある話がないといけません。


 一国の王が、無償で働くなど、あってはならないことですから。


 そういう用件は、早めに理解をしておかないとはなしが進みませんのよ。


 そう思い話を振ったのですが、グロード様は面白そうに笑うばかりです。


「ライアン、お主はいい女を手にいれたな」


「ティアをものみたいに言うな!」


「ふっ、気に入ったと言うことだ」


「気に入るな!!」


 あぁ、もう。またこの二人は……。


「話が進みませんので、ライアン様はおだまりやがれですわ」


「や、やがれ……っ」


 私、つい本音をポロリとこぼすと、ショックを受けたライアン様が肩をおとしてうなだれておりました。少しかわいそうですので、あとで慰めて差し上げましょう。


「仮にも、勇者の生まれ変わりを言葉で制するとはな。なかなか見込みがある。あぁ、取り分の話だったな」


 グロード様は一歩歩み寄ると、私の顔を見るために屈みました。


 この人、身長高すぎですわね。見上げすぎて肩がこりますのよ……。


「取り分はお主が奪った領土の3分の1を魔物の国へ献上しろ」


「なっ!!」


 私ではなくライアン様が反応しましたので、目線でお黙りくださいと伝えると、彼はシュンと、やはりうなだれました。


 確かにせっかく奪った領土をとられるのは癪ですわ。……普通ならば、ですけれど。


「それでよろしいのですの?」


 私が首をかしげると、グロード様は目を大きく見開きました。


「それで……?」


「えぇ、領土を差し上げれば言うこと聞いてくれるだなんて、安上がりですわ」


 あいにくと、私領土には興味ありませんの。もちろん、お父様たちが残したものを引き継ぎたい思いはありますが、もっと土地をより良いものにできる方がいるなら、そのかたに譲るべきです。


 肩書きや所有物に固執するのは良くありませんの。


 私はただ、復讐を遂げたいだけ。それで全て失おうとも、構いませんのよ。


 そう、全て失っても。

 ……何て、そんな覚悟ありませんわ。


「私の目的は復讐。そして領主となり相応の立場となれば、晴れてライアン様と婚約できますから」


 私には、ライアン様を私怨に巻き込んだ。それは罪と言えるでしょう。


 だからせめて、彼と生涯を添い遂げてお支えしたいのです。それくらいしか、私にできる罪滅ぼしはないのです。


「なるほど。ならば正式な書面は明日にでも持ってこよう。そちらの要望はあるか?」


「情報戦が得意なものを一人お借りしたいです。 」


 私には、パラドール領の情勢を探れるパイプがありません。何せ私は、向こうで死んだことになっておりますから。


 使える手足がほしい。それが魔王の使いなら、なおさら心強いですわ。


「ふっ、よかろう。俺の部下でとびきりのやつを送ってやる。せいぜい使いこなすことだ」


 そういうと、グロード様は踵を返され……瞬きの間に消えてしまいました。


 さすがは魔王。神出鬼没ですわね。


「ね、ねぇ……ティア。」


 もうしゃべっていい? と待てをされた子犬のように見つめてくるライアン様。相当効いてますわね、これ。


「なんですの、ライアン様?」


 しゃべっていいよと言う代わりにとびきりの笑顔を向けると、ぱぁと顔を輝かせるライアン様。全く、お子ちゃまなんですから。


「魔王と、本気で組む気かい?」


「はい、本気も本気です」


「領土をとられても?」


「それでライアン様と添い遂げられるなら安いものですわ」


 私は淡々と告げましたが、やがて彼の傍へと歩み寄ると、そっとその肩へ身を寄せました。


「今の私たちには手足が必要です。使えるものはなんだって使いますわ。それに、何かあればライアン様が助けてくださりますもの。信じております」


 心の底からの言葉を投げ掛けると、彼はそれ以上、なにも言わなかった。私の期待に応えたち気持ちと、魔王と手を組む葛藤が、入り混ざっていたのだと思います。


 ごめんなさいライアン様、悩ませて。

 でも必要なことなのです。


 そして翌日。グロード様のおっしゃっていた部下の方が、書面を持ってやってきました。


 やってきました……が!!


「おだ、クロロっぺ、よろしくだぁ!」


 来たのは明らかに子供!

 いえ魔物を見た目で判断してはいせませんけれど!


 120cm程度の小さな体

 そばかすだらけで真ん丸なお顔

 茶色のウルフヘアに、ウルフのケモミミと尻尾つき


 どうみたって子供!!

 そして言葉がなまりすぎてもはやどこの方言かも不明!


 ツッコミどころ多すぎますますよグロード様!?


 ちょっとこれ、どうしますの……?

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