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第42話 オープンセサミ

内科……でいいのかな

詳しい人、間違ってたら教えてください

「あれ? マスターの体温が少し高くなってる?」

「モナカくんの?」

「うん。ご飯を食べて、お腹いっぱいになって、消化して体温が上がってる以上に上がってるみたい」


 ものを食べるという行為は、それなりにカロリーを消費する。

 噛むこともそうだが、消化するのにもエネルギーが必要だ。

 しかしこの体温上昇は、それだけでは説明が付かない。


「へー。(そば)に居ないのに、そんなことまで分かるんだ」

「マスターの健康管理は、完璧ですっ」


 おはようからおやすみまで、どんなに離れていようがなにをしていようが、容易に確認することができる。

 何故なら、携帯(スマホ)には自己診断機能があるからだ。

 タイムはただそれを監視(モニタリング)しているに過ぎない。


「その割には寂しがってること、気づいてなかったじゃない」

「それは……細かいことはタイムだと分かりにくいんだよっ」


 タイムは自分専用アプリを立ち上げる。

 すると変身可能なもののリスト一覧が表示された。


「えーと、えーと、あれ? どこいった……あった。タイム・オブ・ターイム!」


 一覧の中からナースを選択すると、タイムの身体が白く輝きだした。

 着ていた服が弾け飛ぶと、全裸(光のシルエット)になる。

 上半身から光の帯が巻き付いたか思うと、白衣のジャケットになった。

 続いて下半身に巻き付くと、ミニスカートへと替わった。

 頭から光が膨れて弾けると、ナースキャップが現れた。

 右手に聴診器、左手にカルテが出現すると、身体の色が段々と戻っていく。


「ナースモード、タイムちゃん!」


 最後に決めポーズを取り、ナースタイムに変身を完了した。


「わわっ、魔法少女みたい」

「あはは、普段は携帯(スマホ)の中で変身してから出てきてるからね」

携帯(スマホ)の中?」

「ほら、他のタイムたちのことだよ」


 主人格となるタイムは、専用アプリを使うことで自在に変身することができる。

 しかし他のタイムたちは変身することができず、常に同じ格好だ。

 だからタイムの説明は、厳密には正しくない。

 変身した後の姿が、各々(おのおの)の人格で外に現れているといった方が正しい。

 だからタイムが変身したところで、〝ありんす〟とか〝にゃ〟とか言ったりはしない。


「そうなんだ」


 手に持っているカルテを確認する。

 ここにはモナカのバイタル情報が事細かに書かれている。

 これはナースタイムにしか理解することができない。


「えっと、心拍数が結構高いみたい。発汗も多め。興奮状態にある、と」

「それ、大丈夫なの?」

「んー、テストステロンとドーパミンが多いから……なんで多いの?」

「つまり、どういうこと?」

「簡単に言うと、恥ずかしさや照れはあるけど、興奮してるって感じかな……ご飯を食べながら?」

「え、なにそれ」


 ご飯を食べながら興奮したり照れたりしていることから考えられること、それは……


「トレイシーさんに食べさせてもらってる……とか」

「なるほど……どういう状況?」


 確認するだけならば、モナカと視覚を共有すれば直ぐにできる。

 しかしそうしなかった。

 戦闘時以外、共有したくなかったからだ。

 モナカにもプライバシーがある。

 というのは建前で、本音は見たくないものまで見てしまうかも知れないからだ。


「……戻ろっか」

「そうだね。じゃあトレイシーさんを――」

「ううん、時子の魔法で開けてみようよ」


 そう言いながら、タイムは時子の右肩に飛び乗った。

 トレイシーさんは〝呼んでください〟と言っていた。

 しかし携帯(ケータイ)魔法の可能性を探るためにも、1度失敗している〝扉を開ける〟を、もう一度試す良い機会でもある。

 普段から試行錯誤していればいいのだが、ついつい忘れてしまう。


「時子の? でもすぐ閉まって挟まれちゃうよ」

魔法名(キャストワード)を変えてみたら?」


 似通った意味でも、文言(もんごん)によって効果が変わるかも知れない。

 実験あるのみ、だ。

 ある意味、エイルと一緒に居た所為で、うつってしまったとも言えよう。

 しかしタイム自身、そのことに気づいていなかった。


「〝開ける〟だと同じだろうし、〝解錠〟も違うよね。〝開け〟?」

「〝開けゴマ〟とか、あはは」

「[開けゴマ][送信]っと」

「え、それ採用したの??」

「ちゃんとダウンロードしてるよ」

「……ホントだ。アリなんだ」


 ゲームの固有魔法は[存在しない魔法です]と返ってくる。

 なのにこういった有名な呪文は通用するようだ。

 ダウンロードが終わり、魔法が発動する。

 するとこの扉には似つかわしくない、まるで巨大な扉が開くかのような重低音と共にゆっくりと開きだした。


「凄い重厚感があるね」

天岩戸(あまのいわと)が開いてるみたい」


 扉の主材は石なので、岩戸というのはあながち間違いではない。

 開ききった扉の様子を、2人は注意深く見守っている。

 閉まる様子はない。

 ならば閉まる前に部屋を出ることにした。

 今度は挟まれることなく出られたのだが、別の問題が発生した。


「扉、閉まらないね」

「そうだね」

「なら今度は〝閉じろゴマ〟?」

「[閉じろゴマ][送信]っと」

「え、また採用なの?!」

「あ、ダウンロード始まったよ」

「……うわ。これもアリなの?」


 ダウンロードが終わり、魔法が発動する。

 するとこの扉には似つかわしくない、まるで巨大な扉が閉まるかのような重低音と共にゆっくりと閉じていった。


「凄い重厚感があるね」

天岩戸(あまのいわと)が閉じてるみたい」


 そうは言うが、天岩戸(あまのいわと)が開閉している音を、実際に聞いたことがある訳ではない。


「それじゃ、戻ろっか」

「そうだね」


 扉が閉まったのを確認してから、2人は茶の間へと向かった。

次回はモナカが窮地に陥ります

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