表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

29/233

第29話 拡張される現実

 1日目は買い物に費やして過ごした。

 2日目はエイルの仕事がまだ残っているので、工房の人に引き継ぎをしてもらっている。

 これはエイルがやることだから、俺たちは暇を持て余すことになった。

 なので、いつものように俺は石人形(ゴーレム)と模擬戦をしている。

 時子さんはそれをぼんやりと眺めている。

 眺めているとはいっても、俺が暴れている姿をぼーっと見ているだけだ。

 時子さんに石人形(ゴーレム)は見えない。

 見えるようにしてしまうと、また狩猟協会に通報されて大騒ぎになってしまうからだ。


『なあタイム』

『ん?』


 石人形(ゴーレム)と剣を合わせながら、タイムにちょっと質問を投げかけてみる。


『時子さん、暇じゃないのかな』

『そうだね。んー、じゃあ試してみようか』

『試してみる?』


 そういうと、視界の端に居たタイムのアイコンが〝出張中〟の看板を取り出して掲げた。

 あれ、俺のサポートは?

 この石人形(ゴーレム)は試験の時と比べものにならないくらい、強くなっている。

 なんでも石人形(ゴーレム)に人工無脳を搭載させていて、俺の動きを学習して対応してくるようになっているそうだ。

 とはいえ、石人形(ゴーレム)3体ならなんとかなっている……かな。

 結構ギリギリだ。

 4体だとちょっと辛いだろう。


「時子さん」

「わっ。あ、タイムちゃん? どうしたの」


 どうやら時子さんの携帯(ケータイ)に出張したようだ。


「えっとね、AR(拡張現実)カメラを起動して」

AR(拡張現実)カメラ?」

「うん。QRコード読み取りカメラを改造して、AR(拡張現実)カメラにしたんだよ」

「改造?」

「いいから、早く」

「あ、うん。えっと……これかな」

「うん、それそれ。起動したらマスターをカメラで映してみてよ」

「モナカくんを?」


 え、俺をカメラで映す?


『タイム、どういうことだ?』

『百聞は一見に如かずだよ』


 いつものように視界の端っこに携帯(ケータイ)の画面が浮かび上がってくる。

 石人形(ゴーレム)と模擬戦をしている最中に、これは結構邪魔だな。

 右の石人形(ゴーレム)と被って、動きが見づらい。

 案の定、正面の石人形(ゴーレム)の斬撃を(かわ)して懐に潜り込もうと右に回り込んだら、右に居た奴が放った火球(ファイヤーボール)が目の前に迫っていた。

 とっさに火球(ファイヤーボール)を斬り捨てたが、無理な体勢になったため、(かわ)した剣の切り返しをモロに食らってしまった。

 視界の左上にある、俺のHP(体力)ゲージが4割持って行かれたぞ!

 これが現実だったら、致命傷だ。

 よそ見している暇なんかない!


「わ! え、なにこれ」


 時子さんが携帯(ケータイ)の画面を見たり、直接俺を見たりしている。

 っと、あっぶね。

 よそ見してると久しぶりにHP(体力)が全損しそうだ。。


『で、どうなってるんだ?』

『見た通りだよ』

『見てる余裕が無いんだよ』

『えっ?』


 〝えっ?〟ってなんだよ。

 タイムの想定より、俺が弱いってことか。

 ……くそっ。


『そういえばさっき食らってたね』

『……それはいいからっ』

『う、うん。えっとね、携帯(ケータイ)の画面にマスターと同じようにAR(拡張現実)を表示してるんだよ。だから携帯(ケータイ)のカメラを通せば、マスターと同じものが見えるようになるんだよ』

『へー、凄いな』

「画面の中のモナカくんは石人形(ゴーレム)と戦ってるのに、画面の外のモナカくんは1人チャンバラしてるよ」


 1人チャンバラ……

 せめて演武って言って欲しかったな。


『でも、見えるだけだから、マスターみたいに模擬戦はできないんだよ』

『それもそうか』

『だから、お試しなの』

『いずれはできるようになるのか?』

『エイルさん次第かな』

『エイル?』

『メインプログラマーはエイルさんだから』

『エイルが作ったのか?!』


 エイルのヤツ、そんなことしてるのか。

 この前のみんなの身分証と俺の携帯(身体と融合したスマホ)を繋いだことにも関わっているようだし、ソフトウェア面にも強いみたいだな。


『凄いよね。でも色々と足りないから、中々思い通りにいかないみたい。ところでマスター』

『ん?』

『タイムのサポートが無くても、大丈夫みたいだね』

『なんとか、なっと。よし、討伐完了!』

『お話しする余裕もあるんだね』

『余所見する余裕はないけどな』

『なら、4体にしようか』

『え、なんで増やすの?』

『結界の外で生き残るために、だよ』

『……そうだな』


 またタイムのスパルタが始まった。

 今日1日で何処まで意味があるかは分からない。

 それでも、やらずにはいられないんだ。

 それに時子さんも携帯(ケータイ)越しに見ているから、無様なところは見せられない。

 いつの間にか、精霊と(たわむ)れていたはずのアニカまで携帯(ケータイ)を覗き込むようになっていた。

 こういうのは目聡(めざと)く見つけるんだよな。


 こうして、二日目が過ぎていった。

次回は公共交通機関で移動します

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ