第16話 試行錯誤
今回は、最近にしてはちょっと長くなりました
結果を見てみよう。
まずは火球……素材が焼け焦げる。
次は風刃……当たったところが四角くくり抜かれる。
水球……濡れただけ。
氷槍……刺さったところに四角い大穴が開く。
石弾……スプラッター。
火槍……中までこんがり。
地震……照準要らずの全体攻撃。何故使った。
隕石……タイムが止めていなかったら、どうなっていたことか。
ゲームに登場する、特殊な名前の魔法……[存在しない魔法です]。
等々、他にもあるが羅列しても仕方が無いだろう。
どうやら時子さんの魔法は、オオネズミのような小型の動物を狩るには向かないみたいだ。
ということなので、ならば補助魔法は使えるのだろうか。
結果としては、使える。
使えはするが、成功率が高くない。
[解体]のときと同じで、成功確率が設定されていた。
ただこの成功確率、成功するとその確率が少しだけ上がるようだ。
俺の武器の熟練度みたいなものだろうか。
失敗しても、成功確率が下がらないようなので、使えば使うほど成功率が上がるようだ。
そしてこの補助魔法、俺だけではなく、フブキやエイルたちにも効果がある。
これは朗報と言えるだろう。
まだ全体化の方法は分からないが、個別にちまちまと掛ければいいだけだ。
そうやってエイルの護衛をしながら過ごしていたが、勿論先輩の行方も捜している。
といっても、何処かへ出掛けて探し回るといったことはしていない。
探しに行くにしても、全く情報が得られないからだ。
狩猟協会で素材を買い取ってもらったり、狩り場で出会った同業者たちに真弓という男を知らないかと片っ端に聞いてみた。
勿論、時子さんが持っている先輩の顔写真も一緒に見せた。
だが、みな揃って首を振るだけだった。
そんな日々を過ごし、月が変わって11月に入り、俺は17歳になった。
「モナカくん、11月生まれなの?」
「そうらしいな。身分証にはそう表示されているよ」
「そっか、記憶が無くなっちゃったんだっけ。その、ごめんなさい」
「いいって、気にしないで。でもこういうところに抜け道があったりで、ちょっと抜けてるよな」
「あはは。そっか、先輩と同じなんだ……」
「ん?」
「えっと、何日生まれ?」
「分からない。11月生まれとしか記載されていないんだ」
「そうなの?」
「ああ。なんでもこの世界は誕生日っていう習慣がないらしい。代わりに誕生月なんだって」
余談だが、エイルは6月生まれでトレイシーさんは3月生まれだ。
残念なことにフブキの誕生月は分からない。
エイルとお父さんが山へ狩りに出掛けたとき、死んだ親犬の下敷きになっていたところを保護したからだそうだ。
そしてアニカが5月生まれで、オマケだがフレッドは6月生まれらしい。
では、時子さんは?
「誕生月?」
「うん。生まれた月の1日に歳を取るんだってさ。だから誕生日を祝うのは、みんなその月の1日なんだよ」
「そうなんだ……」
「それがどうかしたの?」
「ううん、なんでもない。そうだ、お祝いしないとね」
「トレイシーさんが夕飯にお祝い料理を作ってくれるよ」
「時子も手伝わないと。あ、でもプレゼント用意してないや。ごめんなさい」
「いいよいいよ。その気持ちだけで十分だよ。ところで、時子さんの誕生日はいつなの?」
「時子はね、12月21日だよ」
「来月だ」
「そうだね。来月で時子は15歳だよ」
タイムにも誕生日ってあるのかな。
俺と出会ったあの日が誕生日?
なんで今まで聞きもしなかったのだろう。
今からでも遅くはない……よな。
「えっと、タイムの誕――」
「時子さん、簡単に用意できるプレゼントがあるよ」
俺がタイムに聞こうとしたら、タイムは俺から視線を外した。
今更だから、怒ったのかな。
「タイムちゃん、ホント?」
「まずリボンを用意するでしょ」
「うんうん」
「次に全裸になるでしょ」
「うんう……ん?」
「そのリボンを自分に巻くでしょ」
「……え?」
「そしたらマスターに、〝時子がプレゼント〟って言えば良いんだよ」
「それ、去年タイムがやった奴だろっ!」
「タイムは服、着てたよっ」
「そういう問題じゃないだろっ」
「無理無理無理!」
と言った茶番はあったけれど、誕生日をみんなに祝ってもらった。
結局、タイムの誕生日を聞きそびれてしまった。
そしてもう一つ、月始めに届く物がある。
それは携帯の利用料金明細書である。
先月は新規アプリ購入がなかったから、基本使用料と月額利用料が発生するアプリだけで済んでいる。
合計しても、1万円に届かない。
余裕で支払える。
だから引き落としの10日を迎えても、なんの問題もなかった。
だが問題は次の日、11日に発生した。
誕生日?
毎年1人で過ごしてますw
次回は携帯に不具合が?!




