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第1話 模擬戦?

第1部のあらすじ

第1部を読んでください(ヲ

 交通事故で死んだ俺 モナカは、誰かの願いで異世界に転生することになった。

 そのとき、何故か身体と携帯(スマホ)を融合されてしまう手違いが発生した。

 世界の管理人を名乗る者に、サポートとしてA.I.少女のタイム・ラットを付けてもらうことになった。

 そして異世界でエイル・ターナー、アニカ・ルゲンツ・ダン・ロックハートと出会った。

 世界は毒素というモノに侵されていて、人の生存圏は結界で囲まれた中だけになってしまった。

 俺たちは1年後に行われる結界外探索許可試験を受ける為、準備を進めた。

 結界の外に行く理由は、それぞれある。

 エイルは父親を探す為。

 アニカは父に認められる為。

 そして俺は結界外に生きる道を求める為。

 携帯(スマホ)と融合した俺の身体は、バッテリーが空になると死んでしまう。

 頑張りすぎた結果、充電が消費に追いつかなくなってしまった。

 それをなんとかする為、結界外に可能性を求めたのだ。


 試験はつつがなく行われた。

 途中アクシデントがあったものの、順調に進んだ。

 そして最後の最後でアニカがとんでもないことをしてしまった。


 異世界召喚。


 アニカは、俺が元居た世界から、少女を召喚してしまったのだ。

 少女の名は、子夜(しや)時子(ときこ)という。

 彼女は召喚されたときに、〝先輩と一緒に居たい〟という願いを叶えてもらったらしい。

 しかし肝心の先輩が、何処に居るのかが分からない。

 俺は誰かの願いによって、この世界に転生できた。

 もしかしたら、時子さんの願いで転生できた……と都合のいいことを考えてしまった。

 勿論そんなことはないということは、色々な事実が証明している。

 だから俺は彼女の先輩を見つけることにしたんだ。


 因みに俺のバッテリーは、時子さんが充電できることが分かった。

 理由は分からないが、お陰で死なずに済んだ。


 俺は携帯(スマホ)のアプリで戦う力を得た。

 それと同様に、時子さんも携帯(ケータイ)で魔法が使えるようになった。

 その使い方が分からないから、俺が取説を見ながら教えることになった。


「本当は分かってるけど、知らない振りをして、マスターに教えてもらってちやほやされることが目的なんだよ」

「タイム!」

「ふんっ」

「あははは、振りだったらよかったんだけどな」

「違うのよ?」

「エイルまでっ」

「そうやって好きな男の気を引くのよ、女の常套手段なのよ」

「そ、そうなのか?」

「うーん、確かにそういうことをしてる友達は居たけど、時子は違うよ? 相手が先輩ならともかく、モナカくん相手にやらないよー」


 あ、先輩相手ならやるんだ。

 まあコミュニケーション手段の1つなんだろうけど。

 とにかく、時子さんの力を実際に確かめてみないと始まらない。

 なので、俺のときと同じように小鬼(ゴブリン)と模擬戦を……


「無理だよ」

「なんでだよ。バッテリー問題は解決したんだろ」


 時子さんのお陰で、バッテリーが空になって死ぬことは無くなったと言っていい。

 だから今も手を握って、充電させてもらっている。


「……」

「タイム?」


 タイムの機嫌が悪いのは、多分それが理由だ。


「時子と模擬戦するってことは、小鬼(ゴブリン)を実体化しなきゃいけないんだよ。みんなに見られちゃうんだよ」

「あ……そうだった」


 アニカにイノシシを見せたとき、大事(おおごと)になったのを忘れていた。

 イノシシだからまだよかったものの、これが小鬼(ゴブリン)だったら……

 だから俺以外、模擬戦をすることはできない。

 つまり、時子さんにはぶっつけ本番をしてもらうしかないのだ。


「大丈夫だよ、モナカくん。なんとかなるなる」

「だけど、危ないよ」

「だぁいじょうぶ。だって、モナカくんが守ってくれるんでしょ? ん?」


 不安なんて全くない。

 完全に俺を信用している、といった顔で俺を見つめてくる。

 その目には、一点の曇りも無いように見えた。

 タイムはこういった顔はしない。

 どちらかというと、俺を守るんだという顔を向けてくる。

 同じ顔なのに、表情が全然違う2人。


「ああ、責任を持って守る。指1本、触れさせないさ」


 タイムは〝一緒に戦おう〟という気になる。

 でも時子さんは〝守ってあげなきゃ〟という気になってしまう。


「ふふっ、ありがと」

「マスター! なに鼻の下伸ばしてるんですかっ」

「の、伸ばしてねーし」

「むー」


 とはいえ、昨日の今日で狩りに行く訳にも行かず、数日休養を取ることになった。

 エイルの消耗が、思ったより酷かったのだ。

 仕事にも支障を(きた)すほどだという。

 だから俺はタイムと一緒に模擬戦を行うことにした。

 タイムにとっては俺と二人っきりになれる時間だと喜んでくれた。

 その反面、時子さんと手を繋ぐ時間も長くなってしまうからやりたくないとも。

 この二律背反に、頭を悩ませているようだ。

 時子さんが来てからというもの、タイムの嫉妬が日に日に酷くなっていく。

 それだけ俺のことが好きだということだ。

 それは嬉しいのだが、時子さんとは仲良くして欲しい。

 3人同じ世界からやってきたんだから、ギスギスしたくない。

 そしてここに先輩が加われば、ダブルデートもできる。

 先輩は、どんな人なのだろう。

 俺のいっこ下で、犬好きで、名前が真弓という……

 そのくらいしか知らない。

 そう、俺は先輩のことをなにも知らないのと同じだ。

 そんなことで探し出せるだろうか。

 ちゃんと知っていた方がいいだろう。

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