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プロローグ
お楽しみいただければ幸いです。
「おらおらぁ!勝手に休んでじゃねえぞぉ!とっとと立たんかいぃ!」
「「はい!」」
鬼教官の声に、負けじと大きい声で返事をする。
「いやーまじできっちいなぁ」
「黙ってやったほうがいいぞ、多分」
ふと、自分一人だけ男装していることに、今さらながら「何やってんだろうなぁ」と遠い目になった。
「何たるんでんだ?ああん?喋る余裕があるんだったら、しっかりやらんかいぃ!」
「「はい!」」
苦笑しながら当時の記憶に思いをはせる。
きっかけは、もうずいぶん昔のことだった。