表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/13

第7話 校外学習、やっぱり…?

 xデーから1カ月。

 わたしの感想は、みんな見た目は普通なのにとにかく変わってる。


 サツキの能力は「対象を完璧に覚える」

 これ、チートでしょ。


 おかげで小テストも学期最初の確認テストも全部サツキが1位。

 本人曰く、


「いくら覚えられるとはいえ、割と労力はいるんだぞ」


 とのこと。


 先生は


「たしかにサツキは授業が終わった後げっそりしてるから、使う労力を最小源にできるようにしていかないとね。」


 だってさ。


 サキが入学式の日に見つけた黒髪イケメンは国語の先生だった。

 いつも授業中は眠そうなのに、国語はやけにイキイキしている。


 アキヒロとリョウはすっかりクラスのお調子者キャラで定着して、今日もヨチ先生をからかっていた。


「センセー、踏み台で黒板が見えませーん」


「うっさいなぁ!僕サンをあんまからかうんじゃないよ!」


 セイカは清楚系女子として男子にしょっちゅうからまれてる。


 ユミは自分の絵を能力でアニメにする技術がすごくて、オタクっぽい性格だけどおもしろくてクラスの人気者。


 マイはネットでライブ配信をしているらしい。


 でもやっぱり普通とは一味違って、「対象の一部をコピーする」という能力を生かして「特殊メイク」として俳優やアイドルのコスプレ配信をしているそう。


 実際寮で配信しているのを見たけど、あれは似すぎどころかそのままなのでびびる。


 もちろん、寮の部屋は映らないように加工されている。


 ユウトとカザトはサツキの格好のいじりの的。

 でも時々能力でやり返してるのがおもしろい。


「痛っ!」


 突然肩を強く叩かれたのでなにかと思ったら、そこには学級委員長の姿が。


「ちょっと、アヤ、放課後までスマホは禁止だって言っただろ?」


 レイト。クラスの学級委員長。まじめだけど人にちょっかい出すのが大好きという矛盾した性格。


「いいじゃん、今ちょっと調べものしてただけ。」


「サイキックスクール校則14条。放課後までスマホの使用は禁止。」


 レイトはニヤリと笑い、わたしの手は勝手に動き始め、気付けば手はスマホごとポケットの中に突っ込まれていた。


 レイトの能力、それは…


「俺様の『対象に規律を厳守させる』能力に逆らうなぁ~」


 わたしを嘲笑った後、彼は係の仕事に行ってしまった。

 げらげらムカつく笑い方しやがって…


 見た目は高身長の好青年って感じなのに。

 まあ、スマホ使ってたわたしが悪いんだけど。


 規律を厳守、か。


 1カ月経った今でもわたしの能力はわかっていない。

 先生たちは相変わらず教えてくれないし、わたしだって全然見当がつかない。


「ねぇ、アヤぴー、次の学活来月の校外学習の班決めするって!」


 いつの間にか留守にしていたリョウの席にサキが座っていた。


 あー!

 校外学習、すっかり忘れてた。

 サキの言葉で思い出した。


 行先は日の丸電波塔。高所恐怖症の人には地獄らしい。

 武辺駅で集合して、そこからバスだっけか…


「ウチ、みんなと一緒に行くのめちゃめちゃ楽しみ!誰と班になっても絶対楽しいし!」


「アキヒロとリョウが同じ班だったら大変でしょ…」


「ちょっとそれは言えてるかも…」


 ―――――――――――――――――――――


 わたしの班はミユ、サツキ、アキヒロ、わたしのメンツ。


 ここにリョウがいたら収集つかなくなってたわ。


 でも…


「なんであんたと一緒なの!?ぜっっっったいいや。」


「あっそ。俺は別にミユがいやがろうがしらね。」


「おい、兄貴サツキとミユよう、夫婦喧嘩するなぁ。」


 努力家でちょっと負けず嫌い、そしてまじめなミユと、能力で勉強はこなせてもともと器用、努力とは正反対の位置にいるサツキは水と油。


 ミユが敵対心燃やして、サツキは受け流してる。


 この熱、アキヒロとわたしが入る余地なし。


「あのさ、まず班の目標決めようよ。」


 このまま2人の喧嘩を見てても進まない。


「おー、そうだな。このババアはほっといて。」


「なんですって!?…まあ、いいわ。決めちゃいましょう。」


 この校外学習のルール。

 その1・必ず班行動は守る。

 その2・あくまで学習だということを忘れない。

 その3・余計な物はもっていかない。

 その4・能力を使って一般人に危害を加えない。


 これを守れれば基本大丈夫。

 目標もこれ以外のなにかを考えればいい。


「『メモをとるのを忘れないようにしよう』とかでいい?」


「うーん。それではあまりにも簡単すぎでは?『班員はまじめにメモをとりましょう』の方がいいですよ。」


「そ、そう?ならそれにしよっか。」


 あんま変わってないし!


 まあいいや。どちらかというと、わたしもまじめタイプではないし。


 ミユがプリントに目標を書いていると、わたしの隣に座っていたサツキがぼそっと呟いた。


「久しぶりだなぁ、普通の校外学習。」


 彼の中性的かつ凛々しい顔立ちが、物憂げに見えた。


「それ、どういう意味?」


 独り言にしてはかなり意味深だ。


「いや、なんでもねぇよ。あー、はらへったー、めしー。」


 まもなくサツキは白目を剥いて、机に突っ伏してしまった。


「サツキ、エネルギー切れ!おおおぉうぉう」


 アキヒロは謎の雄たけびをあげて笑っていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ