第2話 フヘン駅なのに普遍的じゃない!?
4月10日。
ピンクリボンの派手な制服。
武辺駅。家からは少し遠いからここまで来るのもちょいつらい。
わたしに周りの目線が突き刺さる。
わたしはなるべく人ごみを避けて改札に向かった。
入学式の説明書類には武辺駅の8時の電車に乗れ、とある。
でも、重要な問題。
場所が書いてないんだよ。
何番線かもわからないし、どうしたらいいわけ?
場所は秘密にされているらしくて、生徒以外は立ち入れない。親でさえも。だから入学式には親が来れない。
お母さんはわたしがカワリモノだという事実と抱き合わせで驚きと歓喜とショックに号泣してた。
切符売り場の近くで突っ立っていると、わたしはあの日に言われたことを思い出した。
「ピッとかざして…改札に…」
わたしはカードをカバンから取り出して改札に向かった。
通勤通学ラッシュで人の波が押し寄せてくる。これで改札引っかかったらやだなぁ…
仕方ない、これしかない!
わたしはカードを改札に押し付けた。
その瞬間、光に包まれたかと思うと、辺りにはわたしと同じ格好の人が集まっていた。
慌てて駅名を見ると、そこには
「『裏』武辺駅」
と記されている。
どういうこと?でもみんなわたしと同じ格好。つまり、仲間?かつ、カワリモノ…
「うわぁぁあぁ、これなにー?怖いんだけど…」
褐色肌の女の子が涙目で辺りを見回している。
わたしは取り敢えずその女の子に話しかけることにした。
「大丈夫?わたしも気付いたらここにいたんだけど…ここは改札だから、ホームに行けば電車乗れるかな?」
勇気を振り絞ってわたしが声をかけると、安心したのか、涙目から笑顔に変わった女の子はわたしに抱きついた。
普通の女の子みたい…?でも初対面で抱きつくんだ…
「良かったー。あなたもサイスク生?だよねー!制服が一緒だし!」
サイスク…
サイスクかぁ…
「じゃあ行こっか、他の人たちもホームに向かってるし。」
ホームにつくと、たぶん新入生の男子たちが集まって騒いでいる。
カワリモノだとはいえ、同い年だし、男子は男子だった。
でもあの人たちも初対面同士のはず…
すごいわ…
「お前、能力なに?俺今まで能力のせいでぼっちだったから嬉しいわー!」
「オレはねー、えっとな、物を壊れないようにできんだよ、ちょっとさー、シャーペン貸してみ?」
丸刈りの男子は貸してもらったシャーペンを地面に叩きつけて踏み倒した。
でも、シャーペンは全くの無傷。普通だったら絶対に壊れてるはず。
「へへん、すげーだろ?オレ。」
「お前スゲー!」
早速意気投合しているところを見ると学校生活に少しずつ希望が見えてきた気がした。
電車が来るまであと5分。改札はさっきザッと見回した限り、武辺駅とそっくりだけど、お店が学生向けになっている。
サイキックスクール生のためにこんなに充実した駅があるなんて…
わたしが感心していると、隣のすっかり笑顔になった彼女がわたしに話しかけた。
「ねぇ、名前なんていうの?聞いてなかったわ!そういや!」
「佐藤 綾だよ。アヤって呼んで。」
「ウチはハセガワサキ!サキって呼んでー!アヤぴー!」
あ、アヤぴー??
友達はいたけど別にあだ名をつけられるほど親しくはなかったからわたしの中で少しの嬉しさと戸惑いが生まれた。
電車が来た。ほんと間に合って良かったよ…
電車内に窓はなかった。
やっぱり、場所がわからないようにするためかな?でも、そんなことは気にならない。中はまるで部屋のように広々していたから。
高級な新幹線みたい。
よくテレビで見るやつ。まさかこんなのにこんな形で乗る日が来るとは…
サキは真っ先にソファーに飛び乗った。サキが我が物顔で占領しているとあとから女子が何人か部屋を覗いて、そっと中に入る。
「ここが女子部屋ですか?」
黒髪ロングのThe・清楚系って感じの女の子がサキに話しかける。
「そーそー!電車乗った時になんで男子と女子で車両が分かれているのかと思ったけど、まさかこうなっていたとはねー!」
「改札も普通の人と分かれてるけどさー、あたしたちさ、あれテレポート?されたんだよね?あれも学校の先生の能力かなー?」
すぐに打ち解け、賑やかになった車内。
女子は合計6人だった。
もちろん、私もいれて。
少ないなぁ…これが今年の新入生カワリモノ女子の数?
みんなパッと見普通の女の子なんだけど、能力持ってるんだよね。
わたし、能力なに?って聞かれたらなんて答えよう?
「アヤぴー、アヤぴーは能力なに?ウチは今言った通り!スピードをかけられるんだよ!物に!ほら!びゅぉーん!」
クッションは宙に舞い、壁に勢い良くぶつかっていった。
早速聞かれてしまった。能力を。
まあウソをついても仕方ないので、経緯を事細かに話す。
周りの女子たちは驚いた顔をして、顔を見合わせあった。
「能力がこの年になっても現れないなんて…やっぱり先生の手違いかしらね?」
やっぱそうだよね、わたしがここに来たのは間違いだ…そうだよ。そうに決まってる。
わたしの今の気分をなんとなく察したのか、サキは話題を変えようとスマホをカバンから取り出した。
「みんな、LINLIN持ってる?交換しようよ。ほら、ふるふるで…まって、アヤのアイコン黄色いバラ?めちゃ綺麗ー!めずらし!どこで撮ったの?」
サキがわたしに気を使ってくれたのが手に取るようにわかった。
なんだか申し訳ない気持ちも生まれながら、わたしは電車に揺られていた。
能力がわからない=ただの一般人と同レベル
のわたしがどうして…
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