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第1話 小学生のアヤしいセールス!?

 「こんにちはー、あけてくださーい、ほんとにー!こまるんですよー!」

 平穏な日曜日。玄関から子どもの声が聞こえる。


 わたしはいつものようにポテチをむさぼっていた。


 わたしは普通の小学生「佐藤 綾」。

 テストも平均。

 運動も平均。

 友達も普通にいて、とにかく普通で平和な日々を過ごしている。


 で、今は普通にダラダラしている。


 味はコンソメ。気持ちがあがっていたので試してみたけど、やっぱりのり塩が恋しい。


 「さっきからうるさいなぁ…よりによってママは買い物だし。いたずらか?」


 わたしは仕方なく玄関に向かってドアを開けた。

 わたしはこの時開けなければ良かったと後悔した。


 ドアを開けた先に見えたのは、

 小学3年生くらいの女の子だった。あんなに開けて欲しがってたのはなんでだ?迷子かな?とにかく、すぐにお母さんのところに…


 わたしがお母さんの居場所を聞こうと声を出しかけると、女の子は突然笑いだした。


 「君さぁ、僕サンに迷子?お母さんは?おまわりさんのところに行っておいでって厄介払いしようとしたでしょ!わかってんだよ!僕サンには。」


 え…

 まさかこの人「カワリモノ」の人? 未来予知だよね?!


 だとしたら関わっちゃいけない、やばいぞ!

 わたしは急いでドアノブを掴もうとしけど、それも読まれていた。


 「まあまあドア閉めようとしないでさ、ちょっと人の話聞いてよ!君ィ。」


 「カワリモノ」

 それはごく稀に生まれる超能力をもった人種。中学生になると、能力者専用の学校「サイキックスクール」に送られてそこで能力を伸ばす教育を受けるらしい。と聞いたことある。


 実際「カワリモノ」の大人たちは発明品を生み出したり、様々な分野にその能力を活かしているんだよね。


 わたしがさっきまで見てたスマホも「カワリモノ」の人が作ったんだっけ。


 でもこの子はまだサイキックスクール生にはなってないんだ。だって見た目があからさまに…


 「ん?なんか言おうとしたでしょ、まあいいや、君、選ばれたんだよ。今年度のサイキックスクール新入生に。おめでとー!」


 「は?え?わたし能力持ってませんけど。カワリモノじゃないです。人違いですよ?」


 わたしはテンパって早口で言葉を発した。ウソウソ。最近の子どもは変なウソをつくなあ。


 わたしは平穏な日曜日の続きをしようと再びドアを閉めようとしたけど、彼女は止めなかった。


 かわりに、わたしを揺さぶる一声を放った。


 「だって君、珍しいもんね!カワリモノ中のカワリモノ!ははははは!だって、入学直前まで能力に気付かないし、自分のことをフツーだと思い込んでたんだからね!」


 何言ってんの?カワリモノ中のカワリモノ?!フツーだと思い込んでた!?

 たぶん今私、やばい顔してるわ。戸惑いと驚きが混ざったやつ。


 「どういうこと?それ。」

 刺激的な日曜日もたまにはいいでしょ、と自分に思い込ませてちょっとこの子どもの話を聞くことにした。


 「まあ、君はサイキックスクールの新入生になります。来週から。

 そして、能力を伸ばしてもらいます。サイキックスクールがどんなとこだかは『自称』一般人の君でも知ってるよね?」


 「ま、まあ知ってるけど、あなたはなんなの? まだ小学生なのにわたしがサイキックスクールの新入生なんてどうして知っているわけ?」


 「はぁ〜?小学生なんて誰が言ったァ〜?僕サンは立派なサイキックスクールの先生なんですけど!君たちに教えるんだよ!」


 えぇ〜?

 ウソじゃん。絶対小学生でしょ。見た目も声も。一気に信ぴょう性減った。冷めた。帰ってもらお。


 「おい!まてまて!ドアを閉めようとするな!…まあよく聞け。君にあるから、入学セット。はい。この箱あけてみなよ。」


 わたしの手に、ダンボールが渡された。見た目の割にめちゃめちゃ重い。鉄球でも入ってるの?


 ガムテープを剥がして開けてみると、なかには灰色のブレザーとピンクのリボンが入っていた。これ、見たことある。そう、確かにサイキックスクールの…


 「おい、まだ入ってるぞ!手を突っ込んでみなさい!」


 中からどんどん出てくる。

 教科書、入学式の説明の書類、たぶんこれは通学カバン?…まって、なにこれ、カード?

 Su○caのパチモノみたい。電子マネーだとしてもこんなデザイン見たことないんだけど。

 わたしが「自称」先生に視線を戻すと、よくぞ戸惑ってくれました!という顔でわたしを見た。


 「それ、武辺駅の改札にピッとかざしてみ!入学式の日に。さすれば…あっ!やば!時間!?ではまた入学式で会いましょう。さらば!」


 「は?!ちゃんと説明しろ!」


 わたしが呆然としている間に、つい今までいた騒がしい影は跡形もなく消えていて、手元にはダンボールと手紙とカードが残っていた。

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