第四話 レベル0から冒険者
第四話 レベル0から冒険者
ここではギルドカードと呼ばれる何それ不思議機能が搭載された一枚のカードが交付される。さしあたり、それを作るにあたって、簡単な身体検査と偽造防止のための生体認証が登録される。
なにそれすげぇ、この世界は俺の世界から見て過去のような世界なのに見たこともないし、理解もできそうにないハイテクノロジーが使われてるようだ。
と、ここまではお胸が素晴らしいお姉さま方にあれこれウフフとされたため簡単にことは運んだのである。
で、だ。
「そのやっぱりあなた…、無職よね?」
まぁ、その通りですが、そのままいわれると中々心に刺さる言葉を投げかけられた。
そして、どこか聞きにくそうなことを聞いてしまった感を出しながら聞いてくるものだから、俺としても困ってしまう。はい無職ですとは簡単に答えられない。
「え、えーと、でも戦えますよ!剣使えるし!魔法打てるし!無職ですけど!」
めっちゃ必至こいて取り繕ってしまった。
結果、余計に憐れみを受けた。
総評、俺、家を追い出され、常識も金もなく無職でこの村にたどり着いた青年になりましたとさ。
「さて、あなたの心境はいたいくらいにわかるわ、でも安心して、お金がなくても生きていける力がなくても支えてあげるのが冒険者ギルドだから!」
俺、戦う力も疑われております。
「それで、ね。ギルドカードはこれでも作れるんだけどやっぱりジョブにはつかないとね」
お?ここで仕事につけるんですか?ここはなんていう職業斡旋所でしたかな?
冗談はほどほどにして、どうやら、ジョブというのは所謂仕事とは違ったみたいだ。例えばで言うと、スイムのおっさんは漁師って仕事をしてたまに魔物狩っているらしいけど、それとは別にジョブについているらしい。
これがどうやらえらく重要なことだった。
この世界ではジョブについていれば魔物と戦った経験をギルドカードに蓄積して色々な恩恵を与えるらしい、まずレベルという客観的な能力把握が可能となる。そしてジョブに由来する技能が発現し、発展し、成長するという。なんと素晴らしい事だろう。どうも原理はわからんがジョブに選ばれたということが重要で潜在能力を引き出してくれる加速装置のような役割を持つ。
そして、このジョブについてない事が無職といわれることらしい。あらやだ恥ずかしい、俺、無職で無職だ。はっはっは。はぁ。
「なるほど、わかりました。そのジョブをまずは選ばなければギルドに登録しても意味はないということですね?」
「ええ、そうね、といってもジョブがなくても何とかなるんだけど、圧倒的にジョブについていた方が楽なのは確かよ。ジョブ=運命といってもいいくらいのものだって認識ね」
ここは屑ジョブについてまた、お姉さん方の憐れみを一心に受ける展開だがしかし俺には自信があった。
いわく、無限ともいえる数のジョブが存在し、過去の記録から冒険者ギルドではそれを記録している。それを見るに戦うことにたけているものはそれ相応のジョブが得られる。つまりは俺の場合、このスレッヂブレードのような大剣を使っているから可能性としては剣士や魔法も使えることから魔法士、狩人などなど、なんにせよこの世界でも戦っていける程度のジョブにつける可能性は大いにあるのだ。
まぁ見てなって、なんなら運命とやらに選ばれる俺様の姿を。
「じゃあ、ジョブを授かるための神官様の所へ行きましょう。すぐ裏の神殿だから大丈夫ですよ」
そうして俺はようやく受付の席から解放されて、この建物のメインともいえるドーム状の神殿に足を踏み入れた。
巨大な女神の像がそこに立っていた。天窓からは降るように日の光が下りてきていて神々しさも感じる。神殿というだけあって、荘厳さは一級品だ。
そうして男性の神官が俺の前に現れる。初老の優しげな雰囲気を纏い、囲んでいた子供たちを優しい言葉で帰らせて信者の間と呼ばれる女神像の足元に一間ほどのスペースが確保された部屋へ案内された。
「さて、表のおせっかいさんたちからしっかり説明は聞いてるでしょう、ここであなたのジョブの適性が決まります。大丈夫心配しなくても心のまま素直な気持ちでいることがジョブに現れます。では始めましょう」
ジョブを授かるための手順は三つ。
一つ、クリスタルを使い神官が運命神と交信を接続する。
二つ、クリスタルに俺の血を垂らし、神からの返答を待つ。
三つ、ジョブが選ばれたらギルドカードにジョブの名前が記載される。以上。
結果、俺はジョブを得られなかった。
神からの返答はあった、がしかし、俺のギルドカードにジョブがきざまれることはなかった。何度繰り返し、クリスタルを変えても変わらずジョブが現れない。俺は屑ジョブを引いたんじゃなかった。
俺はジョーカーそのものだった。
めでたく俺は、ジョブのないレベル0の冒険者と相成った。
「スピーノさん、こんなケースは初めてで、私たちからも何を言ってよいか…。でも!冒険者としての生活はできます。魔物を狩ればその記録は確かにそのカードの中に経験値としてきざまれ、ここのようにギルドに立ち寄ればその討伐数や危険度に応じて報酬が支払われます。あと、魔物を退治した時は必ず魔石を取り出してください。そうすれば魔物は消滅して環境に悪影響を及ぼすこともありませんから。そして魔石を取り出した際に万が一魔物の部位が落ちていたらそれも拾ってください。ドロップアイテムとして使えますし、魔石と同様にギルドで買い取ることもできます。そして、スピーノさんあきらめないでください。今回はジョブの適性は現れませんでしたがそのギルドカードにいつかジョブが現れるかもしれません。
最後に、あなたはレベル0の冒険者となりました。そのためギルドからクエストを受注することはできません。…ランクも最低のまま変動することはありません。この村ではないとは思いますが、世界にはそのことで非常に不快な思いをされるかもしれません。私たちとしては、このままこの村で生活しては…、いえ、なんでもありません。
スピーノさん決して無理はなさないように。腕に覚えがあってもジョブの恩恵がないというのはあなたが思うよりもずっと重いものです。明確に強くなる成長が感じられなくなると思われます。力及ばない魔物には逃げてください!」
冒険者ギルドは俺に優しかったが、この世界は俺に優しくはないらしい。
ようやくレベル0から、にたどり着きました。
要は無職のことです。ジョブレスですjoblessです。ニートとは呼ばないで…。
ここまで描いてようやくレベル0のタイトル回収したのはいいけど実はそれは、無職の隠語だったとかダレトク展開。
スピーノさんまじかわいそう、とか言わないで。
これでもヘルパーの町では英雄的扱いだったんだから!異世界って残酷だよね。