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銀盤より愛をこめて  作者: 紫乃
5/5

5.


久しぶりの氷に恐怖なんてなかった。

いつも通り。

おじいちゃんが言ってた

基本は裏切らない。


僕もそう思う。


確かに少し感覚が違っていたけど

覚えてる感覚を追い過ぎるのではなく

正しいフォームを今に自分の合わせていく。


身長も体重も変わると感覚が変わることも言われていたし

それは成長の証だから。



『ほら、ユキ体を冷やしたら駄目だ。

 それに歩くペースが速いなら言ってくれないと。』






でも、おじいちゃん

アンドレーエフ先生。



スカラ先生はこういう人なの?






手で抱えていた上着を

さっと奪い肩にかけられてファスナーを閉められる。

これじゃあ、腕が出てないから荷物を肩から掛けられず

両手で持つしかない。

見かねたスカラ先生はキャリーだけでなく

手荷物も一緒に持ち肩を抱きながらの移動となった。





ノックすることなく扉を開けて

仕事中の大柄な男の人の前に

僕の書類を置く。



『ラファ、私の新しい生徒のユキ。

 ユキこれがチームドクター。

 この書類がセイが言ってたものだよ』



『アレク、お前はいつもいつも…

 言っても仕方がないか。

 ユキ初めまして。

 チームドクターを務める、

 ラファイロヴィッチ・アレキサンドロワだ。

 ラファでいい。』




大きな体で優しい目をしたお医者さん。





『初めまして。

 ユキ・カンザキです。

 お世話になります。

 よろしくお願いします。』




日本での癖でペコリとお辞儀をする。




『書類を確認するから

 座ってくれ。』




スツールに腰掛けて周りを見渡す。

綺麗に整頓された薬剤、包帯、器具。

机の上も綺麗だった。



『ユキ足出して。』




スカラ先生はアイシングセットを持ち出してきた。

いつものことなのかラファ先生は何も言わないので

ありがたくお借りする。

左足の上に素足の右足を乗せてアイシングをする。

いつもの慣れた体制。


フライトでむくんだ足でトレーニングをしたからか

熱をもって火照った足にちょどよかった。




『…足を見せてみろ』



ラファ先生は足を自分の腿の上に乗せ

腫れやむくみ可動域を確認する。



『ベッドに寝てみろ』



うつ伏せで寝転がり

膝周りや骨盤、上半身も確認される。

1時間ほどマッサージされ体が軽くなった。



『今日は氷の上はやめておけ。

 明日の朝トレーニング前に足の状態を確認しよう。

 それによってはジョギングもなしだ。』



それは、悪化したということ?

日本でやっていたトレーニングができなくなるのは怖い。


『ラファ先生。

 僕の足の状態は悪いということですか?』


『悪化ではないが

 まだ、ユキの回復具合が分からない。

 今のところだと疲労がたまっているから

 あまり負担をかけないほうがいい。

 だから、朝の確認前には運動するなよ?』




多少だるいぐらいでと思ったけど

真剣な目を見ればやってはいけないのだと思う。

でも、氷の上に乗ってしまったからこそ

もっと滑りたくて仕方がない。



『ジョギングができなくても

 水泳ならいいぞ。

 足の負担を抑えてトレーニングできる。

 トレーニングメニューを見る限り

 足の負担がないものが多い。

 良い先生だな』




我慢なのだと思う。

急ぎ過ぎたらいけない。

基本は大事。

日本でやってきたトレーニングも無駄になっていない。




今度は冷やさないようにサポーターをしてもらい

今日これからやるメニューを確認する。

バランスボールを使ったメニューなども作ってもらった。

軸を作るトレーニング。




ジャンプ跳べなかった理由教えてもらえるかな?



スカラ先生はずっと僕たちの会話を聞きながら

映像確認をし続けていた。



僕らの戦いの始まり。





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