異世界転生
古い屋敷の道場の中で竹刀を振り回す青年がいる
その姿はまるで踊っているような見るものを惹き付ける華がある
青年は剣舞と言われる舞をしているのだ
彼の名は東郷奏斗
今年で16になる青年だ
剣舞を終え、制服に着替え台所に行き、朝食の準備をする奏斗
東郷家の血を引くものは昔から身体能力が高く、寿命が早い
60年間生きられたら良いほうだと言われている
味噌汁やスクランブルエッグ、ハムなどを手際よく調理し、1人この広い屋敷で朝食をとる
「. . . いただきます」
聞こえる音は茶碗の音と小鳥が鳴く声だけだ
奏斗には両親と妹が居た
奏斗が10歳の時、旅行中に事故に会い両親と妹は亡くなってしまった
運良く奏斗だけ助かり、祖父に引き取られこの屋敷に住むことになった
祖父は剣術の達人でよく奏斗に剣を教えてた
その祖父も奏斗が14歳の時に他界し、この屋敷で一人暮らしすることになった
幸い、東郷家は藤原の家系らしく、財産は余るほどあった
生活や学校で困ることがないのは主に祖父が遺書で全財産を奏斗に渡したおかげだ
1人この広い屋敷で静かに朝食を終え、学校に行く支度をする
玄関で靴を履き、扉に手をかける
「行ってきます」
静かに言葉を放ち、扉を開ける
その時、床に奇妙な文字が円形に並び、眩い光を放つ
「なんだ!」
光はどんどん増し、視界を白く塗りつぶす
「. . .く!」
やがて奏斗はその白い光に呑まれ意識を手放した