仲間
やってしまった。
どういうことかというと、学校には俺たち新入生しか残っていないのに、シャドウが学校に入ってきてしまった。そして俺は、勝つぞー、的なことを言ってしまった。特殊能力もまともに使えない、ただの役立たずの俺が先陣を切ってしまったのだ。他の生徒たちは俺の言葉でやる気になってしまい武器を構えていた。俺はナイトメアを見てみると、こんな俺に戦えと言わんばかりに鞘の中で青紫色にナイトメアが光り出した。俺はナイトメアの期待にこたえるかのように力強く剣を抜き、敵陣へ突っ込んでいった。俺が、敵陣へ突っ込むと、1番にスライムが飛びかかってきた。俺は飛びかかってくるスライムに力一杯、剣を振りかざした。
「うぉぉぉぉ」
俺の叫び声とともに剣はスライムに当たった。しかし、スライムはベトベトの液体の体をしているので、切れることはなく、ただ剣にまとわりついてしまった。すると、もう一体のスライムが、スライムの後ろから飛びかかってきた。俺はそのスライムに床に叩きつけられた。スライムのベトベト液体で俺は身動きすることができない。スライムはゆっくりと体を動かし、顔の方まで近づいてきた。どうやら俺を窒息死させるみたいだ。俺は、生徒たちの方に目をやると、生徒たちが集まっているところにスケルトンたちが刀を構えて走っていった。生徒たちは自分たちの持っている武器で攻撃を防げたものもいたがそうでないものもいた。生徒の中には血を流す生徒もいた。すると、生徒の中からスケルトンの間を突き抜け俺のところに走ってくるやつがいた。それは達人だった。達人は、慌てながら俺に声をかけた。
「柊哉、大丈夫か」
俺は、助けてくれと叫びたかったが、スライムが口のところまで来ていて声を出すことができなかった。すると、達人が俺の方に手のひらを向けた。
「このスライムが俺の動かせる、質量以下かどうかはわからねぇがやらねぇよりかはマシだろ」
そして達人の手のひらに魔法陣のような光が現れた。そして達人は叫んだ。
「ムーブ!!」
すると、スライムは俺から離れていき、宙に浮いた。達人は、手を大きく横に振り、スライムをスケルトンにぶつけた。ぶつけられたスケルトンはスライムのベトベトの液体で動けなくなっていた。達人は、全てのスライムをスケルトンに当てようと思いった。達人はスライムの方に手のひらを向けると何度も何度も何度も叫んだ。
「ムーブ!ムーブ!ムーブ!ムーブ!ムーブ!ムーブ!ムーブ!ムーブ!ムーブ!ムーブ!」
全てのスライムは全てのスケルトンに命中し、シャドウたちは身動きを取れなくなっていた。だが完全に倒しきったわけではないので少しずつだが動いている。最初に動きを封じたスケルトンはもうすぐスライムから抜け出し攻撃を開始しようとしていた。すると、生徒の中からシャロンが出て来た。
「わたくしがやりますわ」
シャロンは、両手を前に出して、唱え始めた。
「この大気中に存在する、炎の微精霊たちよ、わたくしはあなたたちの力を所望する、わたくしの力となりたまえ」
シャロンの両手の中心に赤色の光が集まっていった。シャロンは、その赤色の光を少し両手で押した。
「さぁお行きなさい」
すると、赤色の光はゆっくりシャドウたちのところへ行った。そして、シャロンは両手を左右に広げると赤色の光は分裂してシャドウ1体1体の頭上まで行き動きを止めた。シャロンは開いていた両手を閉じ、手のひらを握りしめ、叫んだ。
「弾けなさい、フェアリーボム!!」
すると、赤色の光は膨張し小規模の爆発を起こした。辺りは一度煙に包まれたがすぐに煙はなくなった。するとそこにはシャドウたちの姿はなく。教室の中にいたシャドウを一掃することに成功した。
生徒は、少しほっとした。俺はふとグランドを見てみると3体のシャドウがいることに気づいた。俺は後先考えずに窓から飛び降りた。そんな俺を見て達人とシャロンは俺の後に続いた。グランドについてみるとやはり、3体のシャドウがいた。
俺たちはシャドウの前まで行くと、達人が震えながら怯えた。
「こいつらには勝てない逃げよう」
シャロンは達人の方をにらんだ。
「逃げるなんてバカじゃない、飛んだ腰抜けね」
達人の震えはなかなか止まらなかった。
「だってこのシャドウたちは、Eランクのゴーレムと同じくEランクのネクロ、そして真ん中にいるのがDランクのチェイサーだ、俺たちに勝てるはずがない」
俺たちは目を合わせ逃げることを決め振り返った。だが、他の生徒たちがグランドに降りて来てしまっていたて俺たちは、逃げようにも逃げられずもう一度シャドウたちのほうを向いた。すると、チェイサーが黒い靄をこちらに飛ばして来た。俺たち3人は黒い靄に包まれてしまった。視界は暗くて何も見えない。少しすると視界が回復した。そこは、よくわからない森の中だった。 俺はあたりをみるが、前にチェイサーがいるだけで達人とシャロンの姿は見あたらなかった。俺は必死にあたりを走って見たが出口はどこにも見当たらなかった。どうやらチェイサーを倒さなければ出れないようだ。柊哉は、戦うことを決意した。俺は、少し鼻で笑いながらいった。
「さぁ、チェイサー、俺とお前で殺し合いを始めよう」
達人も、暗闇から視界が回復すると、そこはあたり一面何もない砂漠だった。達人は、あたりを見回すが前には、2つの斧をもつゴーレムがいるだけで柊哉とシャロンの姿は見当たらなかった。達人はこういうおきまりのパターンをそこそこ知っているのですぐに状況を理解し、ゴーレムと戦うことを決めた。達人は、少し笑った。
「お前の相手が俺であったことを後悔させてやる!」
シャロンも、暗闇から視界が回復すると、そこは洞窟の中だった。あたりを見回すと、前に水晶を持ったネクロがいるだけで柊哉と達人の姿は見当たらなかった。ネクロは水晶を光らせるとネクロの周りには5体のスライムと5体のスケルトンが現れた。シャロンはこのネクロが学校内にシャドウを出現させた敵だと思った。シャロンはネクロをにらんだ。
「わたくしは、自分が戦わないやつが一番嫌いなの、絶対倒してみせますわ」
ーシャロンの戦いー
シャロンはもう一度あたりを見回した。しかし使えそうなものはなかった。
「これは実力勝負になりそうね」
スライムとスケルトンは、教室の時よりも動きが早くなっていた。シャロンは急いで土の精霊を集めた。
「土の精霊たちよ、わたくしのかべとなりな、っあぁぁぁぁぁ」
シャロンが唱え終わるまでにスライムが突進して来たのだった。すると残りの4体のスライムもシャロンの体に飛びついた。スライムたちはシャロンの両腕と両足を4体のスライムで封じ、残りの1体は、胸にある大きな膨らみを気にすることなくスライムはどんどん顔に近づいて来た。シャロンはスライムが口に到達する前に詠唱を唱えた。
「この場に存在する炎の妖精たちよ、わたくしはあなたたちの力を所望する。わたくしに力をあたえたまえ。フェアリーボム!」
シャロンは、自分の体の周りをフェアリーボムで爆発させ、スライムを弾け飛びした。シャロンの制服はところどころ破れていたが、そんなことは気にせずに次の詠唱を唱え始めた。
「わたくしの周りにいる風の精霊たちよ、敵を薙ぎ払え!、フェアリーウィンド!!」
あたりの風はスケルトンの方へと向かった。風はスケルトンの持っている刀をなぎ払った。しかし、スケルトンは刀がなくともシャロンの方へ走って来た。スケルトンたちは飛び跳ねてシャロンへ攻撃を開始した。シャロンは詠唱を唱えているひまはないのでスカートの中の太ももに隠してあった、短剣を取り出し致命傷を避けた。スケルトンの攻撃が終わると次の攻撃が来る前に詠唱を唱えた。
「土の精霊たちよ、わたくしの壁となりわたくしを守りなさい、フェアリーマッドプレート!」
シャロンの周りの土がシャロンを包み込みようにもりあがりシャロンを土で覆った。シャロン続けて詠唱を唱えた。
「わたくしは攻撃力を所望する、光の精霊たちよ、わたくしの剣、マザーの力になりなさい」
すると、光は剣の形となりシャロンの剣を覆った。シャロンは土の壁を解除し、目の前にいたスケルトンたちを何度も切り刻んだ。スケルトンとスライムは全滅した。だがしかし、ネクロはさらに5体づつスケルトンとスライムを出した。シャロンは苦笑いをした。
「どうやらその、水晶を破壊しないといけないみたいね」
シャロンは水晶を破壊することだけを考えた。スライムとスケルトンはそんなことはおかまい無しに飛びかかって来た。シャロンはそんなスライムとスケルトンには目も向けなかった。シャロンは、光の加護を受けているマザーを上に投げた、そして詠唱を唱えた。
「土の精霊たちよ、ネクロの周りに壁をつくりたまえ、フェアリーマッドプレート!」
すると、ネクロを囲むように土が盛り上がりネクロは身動きが取れなくなった。シャロンはスライムに押し倒されながら、スケルトンに斬られながらも詠唱を唱え続けた。
「この場に存在する風の精霊たちよ、マザーに速度と言う名の力をあたえよ、フェアリーウィンド!」
すると、風は光の加護を受けているマザーをものすごい風で押し水晶を貫通させた。水晶は破壊されスライムもスケルトンも消えていった。あとはネクロだけであった。もうすでにシャロンの力は限界であった。シャロンは最後の力を振り絞った。
「この大気中に存在する、炎の精霊たちよ、わたくしはあなたたちの力を所望する、わたくしの力となりたまえ」
赤色の光は、もう身動きの取れない、ネクロの前まで行き止まった。
「これで終わりよ、ネクロ」
シャロンは全ての力を捧げ、全力で手を握りしめ、大声で叫んだ。
「フェアリーボム!!!!!」
やはり小規模だが、爆発を起こした。
シャロンはネクロを吹き飛ばした。すると、フロワの中心に青く光る玉が現れた。きっと出口だろう、シャロンはすぐに出ようとせず、その場に座り込み、力の回復を待った。シャロンはネクロに勝利した。少し回復したらシャロンは青い光を手に取ると元の世界に戻っていった。
ー達人の戦いー
達人は今の状況を楽しんでいた。
「ゴーレムさんよ、今から俺に負けたときのことでも考えときな」
達人は、先制をしかけた。ゴーレムの後ろにあった少し尖った石に手のひらをむけた。
「ムーブ!」
石はゴーレムに向かって勢いよく飛んで行った。ゴーレムに命中したがゴーレムはビクともしなかった。すると、ゴーレムは斧を上にあげてこちらに向かって来た。達人は斧に向かって手のひらをむけた。
「ムーブ!」
しかし斧はムーブで持ち上げられる質量を超えていたので、持ち上げることはできなかった。そして、そのまま斧は達人の体に向かって振り落とされた。達人は体をくねらせなんとか斧を避けることに成功したが少しかすってしまい、体から大量の血が流れてしまった。ゴーレムはさらに斧を振り回し達人に攻撃を続けた。達人は回避をしている途中に自分の服に手のひらをむけた。
「ムーブ!」
服は宙に浮いた、その服をゴーレムの顔にかぶせると、一度ゴーレムと距離をとった。達人は岩陰に身を潜めて色々な攻撃パターンを頭の中で考えた。
まずはゴーレムの位置だゴーレムは岩と岩の間にいる後ろにはほとんど砂前は俺が隠れている岩といったところだ、あの岩は大きすぎてムーブではきっと持ち上げることはできないだろう、ならどうする、ゴーレムの足元の砂を少しずらして足場を崩すか、いやそれじゃきっと時間は稼げても致命傷を与えることはできないだろう、今は致命傷を与えらる破壊力が欲しい。だが達人の武器は火力に特化していない、ムチであった、達人はもう一度あたりを見回した。すると、ゴーレムの後ろに少し水が見えた。達人は考えがまとまったのか少し笑った。
「これでいこう」
達人はゴーレムの前に出た。ゴーレムは達人めがけて走って来た。
「よし、予想通り」
達人はゴーレムの足元の砂をムーブで少し移動させ、ゴーレムの足場を崩し、膝を地面につかせた。そして、達人はゴーレムの後ろにあった水に手のひらをむけた。
「ムーブ!」
微量だが水を持ち上げ達人の前に水を浮かせた。そして、砂に水をかけた。砂は少し固まったがゴーレムを倒すには硬さが足りなかった。達人は泥団子のような球をつくりその周りに鉄製のムチを巻いた。そして、鉄の玉が完成した、その鉄の玉に手のひらをむけた。
「ムーブ!」
達人は、玉をはるか後方まで飛ばし戻ってくる力を利用してゴーレムの体に命中させ、貫通させた。その後、ムーブで水を持ち上げ、その水をゴーレムの体にできた穴の中で止めた。そして、ゴーレムの再生を待った。ゴーレムが再生し、立とうとした時、達人は笑った。
「チェックメイトだ」
達人はムーブを時ゴーレムの体の中で水を破裂さした。すると、ゴーレムは土でできているので固まってしまい身動きが取れなくなった。達人はゴーレムを拳で殴り蹴りをつけた。
「まぁ楽しかったぜ」
すると、フロワの中心に青い光が現れた
、そこ光を手に取ると元の世界に戻っていった。
達人とシャロンはほぼ同時に元の世界に戻って来たがまだ柊哉が帰って来ていなかった。どちらも瀕死の状態であったが、2人は背中を合わせあいその場で座り込み柊哉の帰りを待った。
うん、うん、仲間は大切だね。
次の回では柊哉が一人で戦う!?
遠距離攻撃をしてくるチェイサーにどうやって一人で戦うのか。
次回もお楽しみ^_^