プロローグ
「初めまして、僕は君たちの世界でいうところの神様だよ。突然だけど君たちにはこれから異世界に行ってもらうことになったんだ」
「「「はぁ?」」」
俺の名前は神崎海斗15歳。どこにでもいる普通のひきこもりだ。
今絶賛謎の白い空間に連れてこられて、自称神様の銀髪ショートヘアーの女の子が目の前にいるけど至って普通の引きこもりだ。
えっ? ひきこもりは普通じゃないって? 何言ってるんだ!! 世界にはたくさんのひきこもりがいるんだぞ! たぶん......
......よし! 現実逃避はこのくらいにして......いったいなにがどうなってるんだ?
――少し遡ること2時間前......
「よっしゃぁぁ! レア素材ゲットぉぉぉーー!」
今の時間は午前6時。俺は徹夜で今人気のゲーム「ラビリンス」で遊んでいた。
「次は何するかなー?」
湧き上がる達成感に浸りながら考えていると、コンコンとドアのノックする音が聞こえた。
「海斗くーん。話があるんだけどー」
今の声の人は俺の親戚神崎香織さんだ。俺の両親が事故で他界してから、ずっと面倒を見てくれている気の利いた優しい人だ。
「わかりました。今行きます。」
ドアを開けると、香織さんの他に知らない女の子がいた。
「か......香織さんこの人......誰ですか?」
俺は自分と同じ歳くらいの黒髪ロングの女の子を震える指で指しながら言った。
実の所を言うと超ビビった。
だって俺ひきこもり歴5年だよ上級者だよ。3分の1は自分の部屋で引きこもってるってことだよ。ってことは、当然ほかの人と話さないわけだし話すとしても香織さんとしか話さないからいきなりおなじ年頃の女の子とか(ここ重要)超ビビるに決まってるだろ。
「この子は海斗君がこれから通う学校の生徒会長の一ノ瀬茜さんだ」
「突然押しかけちゃってごめん。私は一ノ瀬茜。さぁ! 一緒に学校に行きましょう!」
「え? 嫌ですけど」
「えぇっ! そ......そこを何とか行く気にはならないですか?」
「はい。ならないですね。これで話は終わりですね。では、さようなら」
ガチャん。
ふぅ......今日はたくさんしゃべったな。――それにしても、生徒会長か......面倒だな。
ガチャガチャ。ドンドンッ!
「お願いですから開けてください! あなたこのままだと高校にも行けずひきこもりのダメ人間になりますよ!」
「ダメ人間上等だよ! ひきこもり上級者を舐めんな!」
「先生から聞きました! あなたまだ1回も学校に来てないですよね。だから毎年クラス替えの時に何故か1つだけあまりの机があったり、クラスの名簿に1人だけ知らない人がいるなーて思ったんですよ。知ってますか? あなた学校の七不思議の一つの怪談話になってるんですよ!! 良かったですね学校で有名になってますよ! 神崎海斗さん」
ガチャん!
「お願いします。それ以上はやめてください。俺の心が持たないから。......怪談の話......本気?」
「残念ですが本気です。それより行く気になりましたか?」
「余計に行きたくなくなったよ!! バカ野郎」
「そうですか――では、取引しましょう。あなたが1回学校に来てくれたら怪談の話は私が責任をもって無くしてあげます。どうしますか?」
「――わ......わかった......だが本気で無くしてくれよ...」
「わかりました。この私に任せてください。改めてこれからよろしくお願いします海斗さん」
「ああ。よろしくな一ノ瀬さん」
「茜でいいですよ」
「よろしく......茜」
「はいっ!」
「ところで俺の制服とかは?」
「それなら全部用意しといたぞ」
「ありがとうございます香織さん」
「じゃあ私は玄関で待ってるね!」
「ああ。準備できたら行くから」
「海斗さーん! 早くしてくださーい」
「ちょっと待ってろー! すぐ行くからー!」
はぁ......ついに外に出る時が来たのか。
俺は今日から脱引きこもりになるのか...さらば! 過去の俺!
「あっ。やっと来ましたかー。では行きましょう!」
ー歩くこと20分ー
「おおー。この学校初めて来たけど広いな」
「中3で初めてとかちょっとやばいですけどね」
廊下を歩いていると3ー1と書かれている教室についた。
「ここが海斗くんのクラスです。ちなみに私も同じクラスなんですよ。では、入りましょう」
俺と茜が教室に入ると、先生はまだ来ていないようだがクラスメートは全員席に座っている。
やばい、自己紹介言えるか不安になってきた。噛まないようにしよう。
「みんなー神崎海斗君が学校に来たよ! 仲良くしてあげてね」
「ど...どうも神崎海斗です。......よろしく」
俺が自己紹介? を終えると周りからいわゆるひそひそ話が始まった。
「神崎ってあの学校に来てなかった人?」
「うん。あの神崎だよね」
俺ってそこまで有名だったのか......
「ってか。顔ブサイクじゃね」
「あはは。思っても言っちゃダメだよー」
――やばい死にたくなってきた。そう俺の引きこもりの原因の一つでも容姿のことだ。
小さい頃俺はその事でいじめを受けていた。しかし今になっても同学年から言われるとか泣けてくるな。
その後は、茜の提案で一人ずつ自己紹介をして、あいてる席に座った。
すると、背が高くて顔もイケメン、見た感じ運動もできそうな俺と真逆なやつが近寄ってきた。
「僕の名前は、緑川正義。何かあったら気軽に相談してね」
「ああ。よろしく」
なんか格の違いみたいなのを見せつけられた気がする。ああ、よく見たら周りの女子がめっちゃ睨んできてるよ。俺やっていけるのかな?
そんなことを考えていると足元が急に光始めた。
「えっ?」
――それは突然のことだった。
その場にいたクラス全員がこの地球から姿を消した...