告白ごっこ①
孤独な女性、由貴と出逢った少年、環。二人は真夜中のファミレスで自分の身の上話を始めて…。
窓際はの席は全部、客に占領されていて、私達は真ん中のブースに向き合って座った。
「何食べる?何でもOK!」
妙にテンションの高い私に環は小さな声で
「ドリンクバーでいい。」
と答え、煙草に火を点けた。
ドリンクバーを二つ注文した私はおもねるように微笑んで
「ね、自己紹介しよっか?」
と言うと、ペーパーナプキンをすっと取り上げて、自分と環の前に一枚ずつ置いた。
「ん、とねー。まずは名前、年齢、星座、血液型、職業、趣味…」
環が吹き出した。
「何かさー、自分、面白いよね。てか、履歴書みてー」
と言いながらも、私のサラサラ走るペン先を興味深気に覗きこむ。
階堂 由貴
24才
双子座
O型
歯科受付 フリーター 家庭教師
音楽系
「え!24なんだ!」
「何?いくつだと思ったわけ?」
「てか、自分より年上かな、とは思ったけど大学生くらい?」
「ハハッ!がっかりした?」
「全然。」
環はうっすらと微笑むと、私のペンをそっと奪ってペンを走らせた。
思った以上に丁寧な筆遣いで書き上げられていく自己PRに今度は私が驚く番だった。
「え!?18?高校生なの?」
松岡 環
18さい
おとめ座
A型
高校生
音楽系 音楽鑑賞 カラオケ
「がっかりした?」
環が上目遣いで私を見て、くすりと笑った。
「全然!」
私は狼狽えた自分が急に恥ずかしくなり、ツンと上を向いた。
それからの私達は存分に自分達の「告白ごっこ」を楽しんだ。
と言っても、まだまだ真の自分をさらけ出すまでには至らなかったけれど…。