第2話 「被害者と加害者」
「しばらくは入院か~」
「何もすることがなくて暇だな」
するとそこへ、一人の男がやってきた
「336号室の紫香楽鴉さんでございますでしょうか?」
「はい、そうですが」
「私、飲酒運転をし貴方を轢いてしまった轟謙介と申します」
「ああ、俺を轢いた人か入ってくれ」
「失礼します」
俺を轢いた男か、飲酒運転をしていたから柄が悪い奴かと思ったがそうでもないみたいだな
けど許したわけでもない
「紫香楽鴉さん、私は貴方に謝っても謝り切れないことをしてしまいました」
「ああ、そうだな」
「それでこんなものでは許してもらえないと思いますけど受け取ってください」
「私の実家で営んでいる運を良くするお守りです」
「運を良くするだと......!?」
「そいつの効果は絶大なのか?」
「はい、代々先祖から受け継がれてきた代物なので効果の程は保証します」
「そうか......」
このお守りの効果が本物にしろこいつを許せるわけじゃない
だけどこうして謝りに来てるわけだから反省はしているのだろう
「わかった、ありがとな」
「いえいえ、私がしでかした罪は死んでも負いきれません」
「紫香楽さんには許してもらうとは思っていません」
轟謙介といったっけな、礼儀いいしきちんとしてるな
俺の運の悪さもあるだろうし許してやるか
「轟さん、俺の元からの運も悪いせいもあるだろうから貴方に問う」
「飲酒運転をしていた理由はなんでだい?」
「そ、それは......」
俺は轟さんに飲酒運転の理由を尋ねた
なぜならその理由によって本当に許すか許さないか決めるからだ
「言い訳になるかもしれないけど実は会社の上司に酒に付き合えと」
「これから運転するんで無理です、と言ったら俺に付き合えないのか!?」
「と、脅され仕方なく......」
「すいません、どうしようもない理由で......」
「いや、大丈夫だ」
轟さんの会社の上司は昼間から酒を飲んでいるのか......
ブラック企業というやつだな
本人はちゃんと断っているようだし許してやるか
「轟さん、顔を上げてください」
「事情も事情だけど貴方の意思が足りなかった部分もある」
「だけどちゃんと反省もして謝罪もしている」
「だから許そうと思う」
「本当ですか!?」
「ああ」
「ありが...とう...ございます」
彼は泣いていた
それ程までに彼は罪を感じていたのだろうか
兎にも角にも彼は心が少しは楽になっただろうか
彼は俺に2、3度謝りそれから病院を後にした
今回はこの2人がメインキャラですw