第1話 「始まりの喜劇」
......ここはどこだ?
うすらと上の方から光が見える。カーテンから光が漏れているみたいだ。
「そういや昨日酒を飲みすぎたな。そのせいで記憶がちょっと飛んでいやがる」
「前と比べて運は良くなってきたような気がするなー......」
などと言っては、いるもののほかの人と比べて見ると運は全くついていないのだ。
パチンコ行っては当たったことはなし。
それどころかガチャガチャやロトゲーム内でのくじ等の運関係の物は全てハズレている。
「最近は、運もいいし久々にパチンコでも行ってくるかな」
「今日は、ちと曇っているな。まぁいいか」
実は、雨男でもある。これほどまでに尽いていない人などいない。
「っとと、信号赤か。あぶねー渡っちまうところだったな」
ところが、運が尽いていないだけあって飲酒運転していたトラックの運転手が
信号待ちをしている彼に突っ込んでしまった。
「あ、危ない!!!!」
周りにいた人たちが咄嗟に声をあげるものの遅かった。
救急車の音があたり一面に響く。
「・・・・・・ん、体が思うように動かせないな。」
処置が早く救急車も早くついたので彼は助かったが脊髄を損傷していたため
体を思うように動かせないでいたのだ。
「紫香楽鴉くん、驚かないでゆっくり聞いてくれ」
「君の体は、下半身はもう動かせないんだ」
意識がもうろうとしているせいか医師から下半身が動かないと告げられた。
もう一度医師に尋ねてみるが動かせないと言う。
「先生、俺の体は本当に動かせないのか・・・?」
「ああ、すまないがもう動かせない」
「飲酒していたトラックの運転手に轢かれて命は助けられたものの脊髄に傷が負って君の下半身は動かせないんだよ」
いきなり告げられた自分の体が動かないという言葉にショックを受けていた。
当然だろう、そう言われて落ち込まない人はどこにもいない。
「そうですか、わかりました!まぁ仕方ないですよね」
「命だけは助けて頂きありがとうございます」
「いえいえ、それより下半身は義足をつければ歩けるようにはなりますが、どうします?」
「あー、いえいいです。今はこのままで大丈夫です」
「わかりました。では。失礼します」
今までの不運ばっかの彼だったからか物わかりはよかった。
だが、ショックだけは隠せなかった。
「すいません、この間交通事故に会ってこの病院に運ばれた人がいるんですが、どこにいますか!?」
「ああ、紫香楽鴉さんですね。その人は336番号室にいますよ」
「そこの階段を上って右にいったところです」
「ありがとうございます!!!」
いきなりこんな話になってしまいました・・・