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ガラスのラボラトリー(実験室)  作者: けせらせら
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 青い炎をジッと見つめる。

 あの展示会から半月が過ぎた。御鏡の予想通り、加藤の展示作品の多くが割れたという噂を聞いた。もちろんそれは陽子の技法によって作られたものだ。展示会のメインであった陽子の技法で作られた作品が割れたことで、展示会は大失敗となったそうだ。

 雑誌の記事でも、作品の美しさは素晴らしいが、その強度が保てないのであれば何の意味をなさないと酷評されることになった。

 あれ以来、ネット上では加藤への批判のコメントであふれている。噂では各委託販売店の契約も切られはじめているそうだ。

 そして、今日、加藤が警察に重要参考人として同行を求められたという話を聞いた。

 きっと8年前の事件についてに違いない。

 陽子のことを思った。

 本当に陽子がこういう結末を想像していたのかどうかはわからない。

 それでも自分は信じるしかないだろう。陽子が自分のためを思ってくれていたことを。

 自分のなかには、陽子に教えてもらった技術が残されている。

 今、自分に出来るのは、その技術で自分にしか作れないものを作り出していくことだけなのだ。

 陽子のことを思いながら赤いガラス棒を手にする。

 そして、ゆっくりとガラス棒を炎に近づけていった。


         了


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