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告白

 まだドキドキと心臓の音がうるさい。

 顔も少し赤くなってしまっているが、それを気取られないようにフードを目深に被り直した。


「この花冠を贈るのは、好いた相手に愛を告げるという意味があるのですよ」


「え…」


 まだたった2度しか会ったことのない私のどこをそんなに気に入ってくれたのか。確かに鳥を使ってやり取りをしていたが、あまりに性急な申し出にエメラダは困惑する。


「嬉しいですが…」


 言葉を紡ごうとして人差し指を唇に当てられて続きの言葉を遮られる。


「急なことと承知していますが、私のあなたへの想いは本当です。エメラダ…俺は君を好いています」


(好いているって…まだお互い知り合ったばかりなのに…なんだか急ぎすぎな気がするわ)

 だがエメラダは同時に嬉しくもあった。カイニスには会ったばかりなのになぜか他人のような気がしない。


(一目惚れ…なのかしら)


 エメラダもカイニスのことを想っていたのだが、こういうことは急ぎすぎるのは良くない気がしてカイニスの手をそっと離すと言葉を続けた。


「ごめんなさい。私も…正直…あなたに好感を持っていますが、それが恋心なのか、わからないのです」


 一気に言い終えるとエメラダは急に不安に襲われた。エメラダに拒絶されたカイニスが怒ってここにエメラダを置き去りにする可能性があることに気がついたから。


 だがカイニスは優しい表情を崩さずにエメラダに静かに語りかける。


「ええ。わかっています。あなたと俺はまだ知り合ったばかり。それなのに俺の気持ちを知ってさぞ戸惑われたでしょう。ですが、俺の気持ちは本当です。誰よりも貴方を愛しています」


(愛して…そんなに想ってくれているなんて…)

 困惑しつつも嬉しいという気持ちが溢れてくる。でももう少し彼のことを知ってから結論を出したい。そのためエメラダはカイニスに提案をした。


「あの…それでしたら、もう少し貴方のことを知ってからお返事をしてもいいでしょうか?今はまだ。この気持ちが愛なのかわからなくて」


「もちろんです、俺は随分待ちましたから、あと少しその時間が増えても問題ありません」


「?」


 まるで前からエメラダを見ていたようなカイニスの言葉が少し引っかかったが、自分の提案を快く承諾してくれたことに安堵する。



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