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77 愛されたかっただけ2。

【おはようございます、コレから試練を受けて頂きます】


「な、何だコレ」

『ちょっと、コレ、どうなってるのよ』

《何なんだよコレ》


 見知らぬ場所で目が覚めると、僕の首には何かが、それが鎖に繋がって。


【おはようございます、コレから試練を受けて頂きます】


《誰だよこんな事!》

『何なのよココは!』


【ココは試練の間、さ、皆さんの試練のお時間です】


《試練って何だよ!》


【試練、その単語の説明からしなければなりませんか】


『その位は分かるわよ!何でそんな事』


【こなせなければ死ぬからですよ】


 部屋は真っ黒。

 声は何処から聞こえているのか分からない。


《あぁ、アレか、映画のアレかよ》

『アンタ何を知ってんのよ』


《知らないのかよ、罪を告白するか、謎を解けば出れる仕掛けの映画》


『私、そう言う映画、観ないし』

《まぁ、声から察するに女だろうから観ないだろうけど、多分そう言う事だろ》


『だとして、何で』

《ドッキリか何かだろ、さっさと白杖すれば済む筈だ、それこそ放送事故レベルなら放送すらされないだろ》


『罪って、私別に、何も』

《俺は自己啓発系の蘊蓄を売って儲けてた、女に金を出させる方法だ、けど死に追い遣った事は無い。けど反省してる、悪かった》


『アンタ』


 女が何か言おうとした時、ガシャンと音がした。


《ほらな、お前らもさっさと罪を告白して、さっさと出ようぜ》


 男の声が動いている。

 多分、首の装置か何かが外れたんだ。


「お、俺は」

『水商売で稼いで何が悪いのよ!そりゃ、店の規則には反したけど、誰も殺してない!』


 また、ガシャン、と音がした。


《まぁ、生活の為だしな》

『そうよ!!』

「お、俺は、浮気した。けど、本当に誰も死んで無いし」


 ガシャンと音がした。

 鎖が外れた、けど装置は付いたまま。


『はっ、バレるとかダッサ』

《それより、今度はココから出る方法を探さないと》

「真っ暗で何も見えない中でか」


《動ける様になったんだ、手探りでも何かを探さないと出れないだろ》

『勝手にすれば、向こうが音を上げるまで私は何もしない』


《本気か?トイレ探す気も無いのかよ》

『そ、それは』

「俺、映画詳しく無いんだ、どうすれば良いんだ」


《マジか、ハッチかタッチパネルか何かが部屋の真ん中に有るかも知れない、それが部屋の四方八方に有れば移動式の仕掛けだ》


「もし、無かったら」


《どうせドッキリだ、電気ショックとかだろ》

『何で、何でこんな』

「俺は自分が居る壁を探す」


《おう、何か有れば言うよ》

「あぁ」




 壁には手摺り、しかも梯子の状態で設置され、至った先にレバーが有った。

 上へ向かい続ければ、流石に何処かに出るだろ。


 少なくとも、土地の狭い日本で。

 しかもドッキリなら、必ず何処かに限界が有る筈、しっかり反省の態度を見せて。


 そこから提訴だな。


《有ったけど、ソッチはどうだ》

「取っ手みたいなのは有るけど、どうする」

『さっさと開けろよ!』


《同時に開けるぞ、せーの》


 まさか、水が出て来ると思わず、そのまま俺は床に落ちた。

 半ば夢だと思っていたけど、痛い。


『ちょっと!冷たいじゃない!』

「大丈夫か!」

《悪い!足を捻ったかも知れない!》


 気が弱そうなヤツに動いて貰うか。

 あんまり必死な姿はダサいしな。


『ちょっと!本当に』

「コッチは暗くて何も見えない!」

《俺は床のハッチを探す!アンタ達も他のハッチを!部屋の中央だ!》


 真水か、けど冷たいから直ぐに終わるだろ。

 こんなドッキリ、直ぐに終わる筈なんだから。




『ちょっと!どの部屋も開かないじゃない!』

《兎に角移動しよう!浮気君の方へ!》

「コッチだ!」


 何なのよ、探したけど最初に開いた2つだけで、他は全然開かなかった。


『知ったかぶりのせいで凄く迷惑を掛けられたんですけど!!』

《悪かった、元の想定と少し違ったんだ》


『で、凄い寒いんですけど』

「あの、もし、その映画だったら」

《2種類有るんだ、仕掛けを解除するには痛みを伴う場合と、罠が有る部屋に入ると即死》


『何でそんな大事な事!』

《さっさと出たいなら協力しろよ、両方がそうだった》

「仕掛けが有るか分からないだろ!」


《だから、靴を投げるんだよ》

『そんなの無いじゃない!』

「叫ばないでくれるかな!服で良いか、投げ入れるのは」


《あぁ、そうするしか無いよな》

『勝手にして!』

「アンタ出る気が無いのかよ!!」


『どうせ誰かがのヤラセでしょ!私は絶対に協力しないわ!』


《あっそ、なら付いて来るなよ》

『そんなの私の勝手でしょ!』


《まぁ良いや、俺達は協力しよう、先に俺が試す》

「あぁ」


 勝手にして。

 どうせ大掛かりなヤラセ、風邪引いて訴えてやる、絶対に。




《いや、まさか、いや》

「どうしたんだ」


《なぁ、俺の感覚なら連結部分は真っ直ぐだったよな》

「まぁ」


《円形の部屋も、歪じゃなかったよな》

「あぁ、多分」


《濡れてる、戻ってるんだ、最初の部屋に》


 梯子を降り、床を触ると水気が有った。


「けど、単に」

《ははは、だよな、そんなワケが無いよな》


 けれど、本当に戻っていた。


『えっ、何、誰』


 留まっていた筈の女が、次の部屋に居た。


「えっ、動きましたか」

『動くワケ無いでしょ!!』


《ははは、嘘だ、そんなワケ無いだろ》

『何言ってんの馬鹿みたい』


《だよな、まさかな、間違えただけだ》


 そう言った男の言う通り、次は上へと登った。

 けれど。


『きゃっ』


 戻っていた。


《有り得ない、アナタ、仕掛け人ですか》

『それはソッチでしょ!!』

「僕達は確かに上へ登ってたんですよ!」


『そんなの知らないわよ!』


《あぁ、そうか、こう確かめれば良いのか》

「えっ」


 僕は押され、穴へと落ちた。




《違う、組み合わせてるなんて、何で》


 上に移動した時、ハッチは開いたままになっていた。

 映画では違った。


 それにドッキリなら、下に落ちて怪我をすれば中止になる筈。

 なのに。


 男の叫び声が遠のき、近付いてはまた遠のき、その速さが加速する。


「助けてくれ!」

『ひっ』


「頼む!!」

『どうしろって』


「早くなってる気が」

『ねぇ、冗談なら』


「助けてくれ!」

『ねぇ!』


「悪かった!」

『ねぇってば!』


「助けてくれよ!」

《五月蠅い!ならお前が助けてやれよ!!何もしないでごちゃごちゃ五月蠅いんだよ!!》


「助けてくれ!」

『アンタの方が五月蠅いわよ!』


「助けて!」

《出たく無いのかよ!!》


「助けてくれ!」

『出たいに決まってるじゃない!』


「頼むよ!」

《なら協力するか懺悔しろよ!!》


「助けてっ」


 バンっ、と衝撃音と共に、ビシャっと液体が体に掛った。

 そして直ぐに何度もバンバンと音が鳴り、再び液体や固体が。


『何よコレ!』

《体を動かしたせいで、ぶつかって、バランスを崩したんだ》


『えっ、だからって』

《死んだ、彼はもう、死んだ》


 血生臭いだけじゃない、糞の匂いもする。

 死んだ、本当に死んだんだ。


『何で』

《落下し続けたら加速度が増えるに決まってるだろ!!アンタ学校に行って無かったのかよ!!》


『行ってたわよ!』

《なぁ、周りに誰か死人が出たか》


『は、何よ急に』

《俺は、客の恋人が死んだ、俺の客に金を使い込まれた恋人が自死した》


『なら、コレ、アンタのせいじゃない!!』

《金を使い込めなんて言って無い!そんな指導をした覚えも》


『アンタに関わったせいで死んだんでしょ!!』

《ならお前はどうなんだよ、もう知るか。吐けよ、コレはマジだ、冗談でも遊びでも無い状況なんだよ》


 俺は女の背後に回り、鎖で首を絞めた。

 コレはドッキリじゃない、本物だ。


『ぐっ』

《言うなら緩めてやる、全て吐け、分かったなら腕を2度タップしろ》


 馬鹿な女だろうとは思っていたが、何度も何度もタップして。

 だから馬鹿は嫌いなんだ、緩めてやるか。


『言う、言うから』

《次に緩めた後に言え、じゃなきゃ同じ事を幾らでも繰り返す、良いな》


 漏らしやがった。


『うぅ』

《はぁ、言わないのか》


『言う!ごめんなさい言うから!』

《で、お前は何をした》


『男に金を貢がせただけよ!!うぐっ』

《あのな、詳しく言えって言ってんだよ、それと死人が出たかどうか。な?良いか?分かったよな?》


『言う、言うから』

《次は腕を折るか髪を抜く、良いな?》


『わ、分かったから』

《ほら、さっさと言えよ》


『家を、抵当に入れてて、その金を、貢がせて、別れた』

《既婚者か》


『けど、奥さんは、死んで無い筈』

《お前が知らない間に死んだか、その男の親が死んだのかもな》


『そんなの』

《あのさ、お前がされたら嫌じゃないのか?》


『だって、まさか、家を抵当に入れてるなんて』

《仕事だとかで大体の稼ぎは分かるだろ、ヤバい金額引き出させてたって気付かなかった、とでも言うのかよ》


『そんなの分かるワケっ』

《口の利き方に気を付けろよ、今はどっちが主導権を握ってるか分かるよな?ハイは2回だ、良いな?》


 学習しない女だな。


『出たら』

《それだけ恨まれる様な事をして、まだ無事に生きて出れるとまだ思ってんのか、何処までも馬鹿だな》


『そんなの、さっきのは、何か仕掛けが』

《あぁ、偽物の血かどうか分からないか》


 俺の袖口に染み込んでいた体液を、女の口に垂らしてやった。

 匂いだぬめりだで、流石に女なら分かるだろ。


『何すんっ』

《お前、生理も無いのか?分かるだろ、コレは人の血だ、それとも分かるまで床を引きずり回してやろうか?》


『分かった、分かったから』

《なら答えろ、悪かったと思って無いよな?》


『思ってるわよ』


 そう女が言ったと同時に、全てのハッチが閉まる音がした。

 あぁ、嘘もダメなのか。

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