74 休暇。
《ふふふ、お疲れ様です》
ネネ様は、すっかり私に懐いて下さいました。
ざまぁ、ですねお兄様。
「ちょっと暫くは感情を平坦にします、落差で知恵熱が出そうです」
確かに、幾ばくか気配が有りますね。
《あら》
「いやまさか」
《冗談ですよ、ふふふ》
「あー、知恵熱出ちゃうー、出ちゃいますよー」
《大丈夫です、なんせお兄様の加護が有るのですから》
「お元気でしょうか」
《ええ、楽しく諸国漫遊してらっしゃいます》
ネネ様と一緒に、ずっとお傍に居りますよ。
「心配を掛けない様にしないと」
《そうですね、明日はダラけてしまいましょう、水浴びをし食べて寝てゆるゆると過ごす》
「ですね、皆さんも暫くお休みで、ユラちゃんもお休み。どう過ごしますか」
お優しいネネ様。
心根の良いネネ様。
《では、私は違う場所で水浴びを、これでもかとダラけます》
「では各所に伝えましょう」
《はい、ありがとうございます、如何にダラけたか競いましょうね》
お休みを頂いてしまいました。
『はぁ』
《お母さん、ネネ様は大人だよ?》
『それでも、ほら、幼く見えてしまうじゃない?』
《分かるわ、本当に》
『もう、お母さん、ネネ様に失礼だよ?』
《そうそう、ネネ様を子供扱いして良いのは、ユラ様か魔獣達だけなんだから》
『悔しいけど』
《私達は年下だし》
『お母さん達はある意味で教育係りだから』
《ネネ様は区分けを大事になさるし》
《あ、ダメよ、ダメダメ。休みの合間の、ご報告をしないといけないんですもの、切り替えましょう》
『はーい』
《お母さんもね》
『そうね、ふふふ』
お心遣いが繊細でらっしゃる方。
早くお幸せになって頂きたいものです。
『僕は良いんですね?』
「弟に気を使う姉は居ません」
『ネネ様居ませんよね?弟様』
「居ませんが、今は妹に若干の緊張感が有りますが、弟に緊張はしません」
『口調は堅いままですけどね』
「母国語じゃないので調整が難しいんです、いきなり付属した特性ですし」
『じゃあ、練習で』
「いやだー、ダラけるんですー、練習なんかしませーん」
『不真面目で不誠実なら、もう既にこう過ごすだけで良いのに、どこまでも誠実で真面目』
「弟に言われていると思うと、上手く流せる、感情が揺れない」
『確かに、砕けようとするとぎこちなさが出ますね』
「そうなんですよ、元から母国語だけでしたし、やっぱりまだ少し他人なので」
『本当に弟にしちゃいます?』
半ば戯れに言ったんですけど、割りと真剣に悩んでらっしゃる。
「割りとアリ」
『相談してみますね』
「追々で、今日は休みです、実務禁止」
身内となれば、ネネ様は直ぐに打ち解けて下さるのに。
一体、何故、殿下達はそうしないんだろう。
『はーい、じゃあウ◯コしてきます』
「はいはい、行ってらっしゃい」
何故、身内として振る舞わないのか、と。
《ネネは、家族には絶対に手を出さない性分だからね、身内となるのは弊害が大き過ぎるんだよ》
『成程、しかもコチラから立場を崩すのは難しい』
《僕が弟の様になってしまったら、ネネは姉になってしまうからね》
『しかも歪みのない家族像が有りますしね、成程、僕が義弟になりますけど宜しいですかね?』
ノーク王子は、本当にネネの弟になるつもりらしい。
《僕は構わないよ》
『ではレオンハルト様はどうですか』
『ルーイと争わず、ネネが良いと言うなら』
『ではその様に、失礼しますね』
《あぁ》
『ルーイ』
《ネネは家族を得て安定した、確かに不安定なネネも可愛いけれど、安定したら離れてしまうかも知れない》
『俺はノークとアナタが争わないかが心配なんですが』
《争うとしてもそれはネネの為、ネネを傷付け無い様に、適度に争うよ》
『あまり策略を絡めるのは』
《何故、周囲がノークと会わせなかったか分かる?相談しなくても息が合うからだよ、ふふふ。大丈夫、策略は巡らさないよ》
『だとしても、誤解される様な事は控えて下さい、アナタにも傷付いて欲しくは無いんですから』
《ありがとう、レオンハルト》
あの当時のアナタは、元婚約者に責められ、酷く傷付いた顔をしていた。
例え演技だったとしても、見るに堪えない悲壮さだった。
《大丈夫かい》
また、同郷の女性が現れた。
けれど今回は即座に眠らせ、部屋へ。
合間に元老院の資料を見せて貰ったが、明らかに来訪の頻度がおかしい。
何だ、何が起こっているんだコレは。
と言うか、黙ったままって。
もしかして、口が利けないんじゃ。
大丈夫かルーイ氏。
様子を伺っているみたいだけど、もう既に、見当が付いているんだろうか。
『あ、あの、ココは』
やっと喋った。
《ココは帝国領だよ、君の名前を良いかな》
また、間が。
コレは、違う意味で苛立ってしまうかも知れない。
今回は関わるのは控えよう。
「失礼し、もしかして、あのユノ・ナダギっすか」
ナイスタイミング、ケント氏。
そして内容も完璧、反応が有ったから確実に関係者だ。
『あの』
《僕らはユノ・ナダギを探しているんだ、ずっとね》
まさか、コレを悪い意味で捉える者は居ないだろう。
うん、コレでユノノートが見れたら良いんだけど、心に悪いって読ませて貰えないまま。
過保護だ、過保護が過ぎる。
って言うか、本当に長考で困る。
あ、泣いた。
「あー、先ずはココをご案内すべきっすかね」
《あぁ、それと彼女専用の侍女も頼むよ》
「うっす」
取り敢えず安全に収容は出来た。
後は様子見次第で、彼女は死ぬ事になるかも知れない。
良い子なら安心なんだけど。
アレはちょっと心配だ。
「見当が付いてますか」
《そうだね》
「星の子ですか」
《折角だし、ネネも見極めてみたら良いんじゃないかな、この世界のモノになったんだし》
「意地の悪い事を言うっすねぇ」
《そう?》
「見ていられないので無理です」
《嫉妬?》
「いいえ、当ててみて下さい、今回は控えに回ります。では」
ネネが示した感情は、羞恥心。
けれど、何故なのか。
「拗ねては、いないっぽいっすけど」
《そうだね、無理はして貰いたくないし、休暇中だからね。今回は控えで居て貰おう》
遊園地に関わるのは、やっぱり楽しい。
4号の様子見のついでにとエル様にご挨拶すると、中庭へ案内され。
「噴水、素敵です」
《ふふふ、ありがとうございますお姉様》
遊園地は各国で作られる事になる、その主導は帝国。
そうして先ずは郊外に見本となる遊園地を作り、以降は各国が思う通りの、個性豊かな遊園地を各所へと広めて貰う。
完璧。
「コレだけでも永住の理由になりますね」
《ではもっと、頑張らないといけませんわね》
今は遊園地の顔となる、入口から入って直ぐの広場を設計中。
と言うか、先ずは現物をと、噴水を見せて貰った。
流石、魔法が有る世界。
早い、既に遊園地の地図の半分以上が埋まっている。
ダラダラが捗る。
プールで妄想し放題。
プール。
遊園地と言えば、プール。
「公共の水浴び場は、有りますか」
《お姉様、何か思い付きましたわね》
ええ、盲点でした。
《結局、ネネが真っ先に約束を破ったね》
「緊急事態で事故ですし、直ぐに休みに復活しましたし」
《無理しなくても良いんだよ?》
「上澄みは出し切ったので大丈夫です、コチラは心配なさらず、ゆっくり吟味下さい」
どうやらネネは、あの4号に自身を重ねているらしい。
だが、私ですら思い当たる部分が無い。
一体、ネネに何が有ったと言うのさろうか。




