表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

61/100

61 ユノの方。

《へっ、あれ》


 戻ろうとか思って無かったのに。


 いや、でも先ずはネネちゃんの安否確認。

 電話、忘れない様に電話と、メアド。


 よし、覚えてる。


 兎に角落ち着こう、うん。

 ネネちゃんに電話、電話。


【はい、もしもし】


 あれ?


《あ、あの、音一 音々さんの番号で宜しかったですか?》


【はい、そうですが】


 あれ?

 予想と全然違う。


 どうしよう。

 なんだろうコレ、どう言う事だろう。


《あー、あの、〇〇さんの事でお伺いしたくて》


【あ、あぁ、詳しくは弁護士に任せていますので】


《あ、じゃあ、弁護士の方のお電話番号宜しいですか?》


【あの、この番号を何処で】


 あー、どうしよう。

 ネネちゃんが生きてるとか、コッチが分からないとか想定して無かったよぉ。


《すみません、その、〇〇(元カレ)さんからで》


【成程、分かりました、電話番号お伝え下さいします】


《はい、すみません、ありがとうございます》


 あぁ、どうしよう。

 不信がられただけだぁ。


 寂しいなぁ。

 話し合えたらって思ってたから、全然、予想して無かったなぁ。


【あ、あの】


《はいはい?》


【お名前を、お伺いしても】


《あ、すみません、ナダギユノと申します》


【ユノ】


 あれ、何か憎悪籠もって無い?


《あのー》


【今、どちらに、お会い出来ませんか?】


《あ、すみません、今は海外でして。もし良ければ、帰国次第、お会いする事は可能なんですが》


【あぁ、そうなんですね】


《はい》


【では、また、ご連絡しても構いませんか】


 困るなぁ、嘘言っちゃったし。


《コレから先移動日が続くのと、時差で難しいかもなんですけど、はい、時間が合えば》


【分かりました、では】


《はーい、失礼しまーす》


【はい、また】


 はぁ、何だったんだろ。

 何か変だったな。


 何だろ。


 ネネちゃんなら、もしネネちゃんが私だったら。

 多分、最悪の想定をする筈。


 でも、最悪って何だろ。


 最悪。

 ネネちゃんの最悪の状態。


 まさか。


 まさか、ネネちゃんの体に、偽ユノが。


 有り得る。

 ネネちゃんは向こう、しかも押し出し式で偽ユノが戻ってたなら。


 どうしよう、有り得そう。

 でも有り得たとして、私、どうすれば。


 魔法。

 出来るのかな、魔法。


 いや、モノは試しだ、うん。


《ニャルさん、お願い!》




 何ココ、知らない場所なんだけど。

 何処の映画館だ。


 で、知らん女。


『誰、君』


《ぅうっ》

『えっ、いや』


《ニャルさんなのに、違うぅ》


 あぁ、違う俺を知ってんのか。

 しかも俺を頼るとか。


 この女ヤバ過ぎじゃね。


『いや、確かに俺はニャルラだけど、違う次元の俺じゃね?』


《ぅう、だと、思いまず》


 クソ泣くじゃん。


『で、どう困ってんの』


《ヤバいのが転移しまくってて、友達の空いた体に、多分入った》


 嘘は無い。

 となると。


『マジか』

《確証は、無いですけど、最悪は、最悪だなと、思って》


『そう言う勘は大概当たる』

《ぅええ》


『面白そうだから手伝ってやる』


《ぅ、ぁ、ありがどうございまず》


 クソ泣くじゃん。

 大丈夫かコイツ。


『お、おう』




 ユノ、ユノナダギ。

 マジで変な運だけど、面白いわ、マジで。


 何度転移しても変な世界で、やっと良い家の女に、現代に帰って来れたっぽいって時に。


 ユノ。


 思えばこのクソ女の偽名を使ってたせいで、こうなったのかもだし。

 マジで仕返ししてやろ。


 この女、家が金持ちだし。


 まぁ、顔はクソ不細工って程でも無いし。

 整形すれば、かなり売れそうだし。


 つかしとけよなマジで。

 コイツだけ平凡顔とか、どんな頭してたら平気で生きてけんのか、マジで分かんないんだけど。


 まぁ、良いか。

 どうせ、バカなんでしょ、学歴も大した事無いし。


 はぁ、姉とかならなぁ。

 いや、既婚者とか面倒か。


 次こそ完全に猫被って、絶対にバレ無い様にしないと。


 しないと。


 誰に?


 何だろう。

 何か忘れてる気が。


 大事な。


 いや、まぁ、そのウチ思い出すか。


『ネネ、起きてる?』


「はーい」




 ウチの子が、まるで別人に見えるだなんて。


『アナタ、私、病院に行こうと思うの』


《母さん、どうしたんだい》

『あの子が、ネネがまるで別人に思えて。そう言う病気が有るそうだし、行こうと思うの』


《僕も少し、そう思えてならないんだ。直ぐにでも、3人で行ってみよう》

『ごめんなさい、ありがとう』


ーーピンポーン


 まさか、私達が霊能者を家に上げる時が来るなんて、思ってもいなかったわ。

 けれど、必死だった。


《はい》


 『どうも、本物の音一 音々さんから頼まれました、鳴神 東穂です』




 私の目の前には、映画のスクリーン。


 で、倒れてる私とネネちゃんの家が半分ずつ映ってて、隣にはニャルラさんがグッタリしてて。


 便利。

 コレ、どんな魔法なんだろう。


 『あの、本物のネネに頼まれたって』

 『最近、突然お子さんが別人に思えたのでは。その、本物のお子さんに頼まれたんです、体を奪われた、と』


 《もう少し、踏み込んだ証明が貰えるなら、上げるが》

 『ユノ・ナダギ、この名前を知らない、と言うか。若しくはどんな言い訳をするか、ですね。コチラはあくまでも本物の娘さんの代理、ですから』


 《分かった、暫く待っていてくれないか》

 『その合間に電話番号をお見せしますから、終わり次第、お電話下さい。お話は外でも構いませんので』


 《分かった、君はコッチを頼むよ》

 『はい』


 ママ美人、パパダンディ。

 うん、確かにこんな家族に囲まれたら、自信無くしちゃうの分かるかも。


 《ネネ、少し良いかい》




 娘は、辛い目に遭った。

 だからこそ、変わってしまっても無理は無い、とは思う。


 だが。


「何?」


 今まで好まなかった化粧、髪型、服装。

 話し方、食べ方。


 そのどれもが、ネネとは思えない。


《ユノ・ナダギさんについて、何か知っているかい》


 ネネとは違い、分かり易い。

 この女は、知っている。


「何か電話来たけど、知らない。って言うか整形したいな、良いよねパパ」


 電話が来た程度では無い程、何かを知っている。


 この女は、娘では無い。


《そうか、幾らだい》

「取り敢えず目と鼻で、バランス見て次は口だから。んー、分かんない」


《先ずは見積もりを貰いなさい、大事な事だ、何ヶ所かお願いしてきなさい》

「うん、行ってくるからお小遣い欲しいな」


 ネネは全て自分で管理していた。

 この女は、誰だ。


《待ってなさい、持って来る》

「はーい」


 悪霊だとして、何故、寧ろ娘のフリをしない。

 そして一体、ユノ・ナダギとは、誰なんだ。




『はい、行ってらっしゃい』


 不味い。

 不味い不味い不味い。


 何処から漏れた。


 早い、早過ぎる。

 いや、前も単に泳がされてただけ?


 クソ。

 逃げないと、逃げないと、今度こそ痛い目に。


 痛い目に、誰に、遭わされる?

 誰に?


 つか、何で?


『凄い神経だなおい、散々酷い事をしといて、何で。かよ』


 ぁあ、コイツだ。

 コイツが私を酷い目に遭わせるヤツだ。


 クソ、何で。




「何で、私ばっかり」

『キッモ、いやガワじゃなくて中身な、クソキッモ。流行りに乗るとか超絶キモいわクソ女』


「キャ」

『キャーこの人、痴漢でーすってか。古いわ手口が、もっと斬新な手口披露しろよ内面ブス』


「あ、アンタ」

『前と口調が違うってか、あぁ、でしょうよ別人だし。いや、別人も語弊が有るな、異人、異次元人的な?まぁ、別人は別人だな、俺は敢えて逃がすとか趣味じゃねぇし』


「敢えて」

『おう、クソ焦ったろ、違う俺はソレをクソ楽しんだんだと思うけど。まぁ、違う狙いも有ったかもな』


「はっ、何それ、意味分かんないんですけど」

『はいバカー、察せれないクソバカ確定ー。つかコレに蹂躙される世界とか、強度無さ過ぎじゃね?神とか居ないワケ?え、居ないとかクソ悲劇じゃん。あ、あぁ、そう言う事、成程ね』


「アンタ、何処の電波受信してんの」

『バカは煽るの好きだなぁ、相手を見てケンカ売れよ、ニャルラさんだぞ?』


「何、誰それ」

『それな!知名度!低い!素人だとか一般人の知名度低いんだわマジで、こんなんじゃ世界征服とか。いやいや、冗談だって、世界征服とかクソ面倒臭いしか無いわ』


「マジで、なんなのアンタ」


『あぁ、暗示ってか呪いか。物語で言う傀儡回し、いや狂言回しだっけか、うん、そうそう』

「だからアンタ、一体誰と」


『さ、誰でしょうか、2択だから簡単だよな』


「音一」

『ぶっぶー、バーカバーカ、だから刺されんだよバーカ』


「ユノ」

『はい正解。いや、マジでコレに蹂躙される世界とか本気で大丈夫か?征服してやろうか?いや、別に、軟弱さがクソイライラするだけで。だから別に、あぁ、確かに追い掛けんの面白そうだわ。分かった分かった、無事に確保な』


 何で逃がしたか、今分かったわ。

 何回追い詰めれば改心するか、だろ。


 無いね、コイツに改心とか絶対無い。


 無いけど。

 まぁ、俺が俺の邪魔するとか無いし。


 違う俺に恩を売るとか、超面白そうだしな。




「何で私ばっかり!!」


 皆、どうせ裏でも似た様な事してる筈なのに。

 どうして私ばっかり。


『無いわー、マジで無いわ。俺は知らないけど、その体の持ち主は、清廉潔白品行方正らしいし。ねぇよ、他人の本名風俗の源氏名にするとか、枕しまくって客に性病移すとか、それで不妊になって逆恨みとか、脅迫して刺されるとか一般人はねぇし、ヲタクに至ってはもっとねぇわ』


「でも、だって、居るじゃん。男に逆恨みされて刺されたとか」

『激レアだわ、つか、それお前だろ』


 大画面に、前の私の顔と、名前が。


「違う」

『いやマジで、アレお前だって』


「違う!そんなに悪い事」

『してんだわ』


「違う、私、あんな顔じゃない」

『整形後はな』


「整形の何が悪いのよ!」

『いや一言も整形が悪いとか言ってねぇし、幸せになる手段は其々だろうがよ』


「なら、別に、私だって」

『凄いな、こんだけ言ってもマジで伝わらないとか、そら地獄の最下層にも行くわな』


「えっ」

『いやー、いつか行こうと思ってたんだけどさ、タルくて。うん、そこは助かったわ、良い切っ掛けだった』


「熱っ、何、何コレ」

『コレから全ての苦痛を味わうんだ、ま、頑張れ』


「私が悪かった!ごめんなさい!!ねぇ!聞いてるの!」




 世の中には、大々的に表には出ない不思議な事が有る。

 起きて直ぐに急いで帰国して、偽ユノの病院に行ったら、空だった。


 そして偽ユノは、どう抜け出したのかネネちゃんの家の近くで倒れていて、ネネちゃんの服を着ていた。

 そして、亡くなった。


 そして本物のネネちゃんは、行方知れず。


『いや俺じゃねぇから』

《じゃあ、何で?》


『さぁ?』


『あ、あの』

《鳴神さん、ですか》

『あぁ、どうも、何とか無事に払えましたけど。娘さん、まだ旅に出てるみたいですね』


『ぁあ』

《ありがとうございます》

『で、今回の報酬はコイツで、異変を察したのはコイツ。ユノ・ナダギですから』


《あぁ、アナタが》

《あ、いや、私は何も》

『構いません、ありがとう、ユノさん』


 何にも言えなかった。

 知り合いの電話番号に掛けたつもりが、偶々、ネネちゃんの番号に繋がったって嘘を言った。


 確かに不思議な事が多いけど、娘さんは異世界ですよ、なんて言える雰囲気じゃなかったし。

 戻って来たネネちゃんは覚えて無いかも知れない、しかも、戻って来るかも分からない。


 このまま行方知れずなら、多分、このままの方が良い。 


『じゃ、お疲れー』




 情緒がねぇ。

 電源落としてはい終わり、とか。


《じゃの!》

『ひっ』


《ニャルラに、ひっ、とか言われるとか心外なんじゃが》

『何、誰、お前』


《ネネがどうなったか気にならんのかえ?》

『いや、先ず向こうがどうなるか、だろ。どうすんだよ、時間軸だの何だの、整合性取れんのか?』


《そんなもん、こうじゃよ》

『一時停止かよ、単純か』


《じゃの、シンプルイズベストじゃよね》

『いや、クソネタバレ食らったんだけど。コレ、ネネが戻るんだろ』


《さぁ、どうじゃろね》

『マジか、じゃあどうすんだよ』


《先ずは、こう》


 画面、振りやがった。


『あぁ、お前もクトゥルフかよ』

《うむ、当ててみい》


『シバッカルだろ、けど災害起こすとか、お前本当にシバッカルか?』

《災害は既に確定しとる事じゃし》


『あぁ』


《くふふふ、まぁまぁ、先ずは続きを観てからじゃよ》


『あぁ、どうせ終わるまで動けないんだろ、観る観る、観ますよ』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ